平成9年10月

平成10年度 ODA予算の見直しを求める要望書

 

 政府は来年度の政府開発援助予算を10%削減することを閣議決定し、これを受けて外務省は、総額5,266億円の平成10年度ODA予算概算要求をまとめた。その内容は一律10%削減をはるかに上回り、特に国際機関への任意拠出金が大幅に削減される結果となっている。まことに遺憾である。援助の質の向上という点からも、又、国際社会における日本の存在感という視点からも、ODA予算の早急な見直しを求めるものである。以下に、その具体的理由を述べる。

 

I.  平成9年度政府ODA白書においては、途上国における貧困や環境の問題に特に焦点をあてることが必要であると明記されており、効果的かつ効率的な援助の必要性もうたわれている。更に重点事項として、日本の存在感が感じられるODAを実施することが挙げられている。そのためには、引き続き優先分野をしぼった、日本の顔のみえる援助が絶対に必要である。

II.  なかでも貧困撲滅や、子どもや難民を救う活動に取り組んでいる国連機関に対する日本政府からの拠出金が、大幅に削減されている。削減額は国連ボランティア (UNV) は18%減の2.6億円、国連開発計画(UNDP)は37%減の70億円、国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR) は39%減の57億円、国連児童基金 (UNICEF) は41%減の18億円、世界食糧計画 (WFP) は45%減の13億円である。これらの機関は特に草の根レベルでの援助を行っており、日本政府としての優先的なバックアップが必要とされる機関である。

III.  1990年に開催された「子供のための世界サミット」において日本政府が提出した行動計画には、「我が国の経済力に相応しい貢献を行うべく、UNICEFに対する一般拠出を増大させる」と明記されている。具体的には、UNICEFへの拠出総額に占める日本のシェアを当時の5.5%から、日本の国連分担率である12.45%に近づけたいとある。ちなみに、UNICEFに対する日本の来年度の拠出額が18億円となるのに対し、米国は今年度約120億円の資金協力を行っている。

IV.  去る9月23日、日本政府はニューヨークで開催された第52回国連総会において、2001年を国際ボランティア年に制定すると提案している。これは日本政府が国連ボランティア (UNV) とともにすすめてきた企画であり、国際協力の場に草の根の人々の視点を取り入れようとする意義のある試みとして、そのリーダーシップが高く評価されている。このような状況に鑑みて、国際機関に対する日本政府の拠出金の大幅な削減や聖域を設けない一律カットは、日本政府としての「2001年を国際ボランティア年に」という提案の主旨に反するといわなければならない。

 

 ここに、政府開発援助予算、なかんずく社会的人道的支援に関わる国連機関への任意拠出金の抜本的是正を求めるものである。

 

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