GLOBE 世界総会 
(ボン、1999年8月22日〜26日)

DRAFT ACTION AGENDA
FOREST AND TRADE(森林と貿易)
(GLOBE Japan, 広中和歌子議員提出)

ウルグアイラウンド交渉の結果、1995年に世界貿易機関(WTO)が設立されたときには、自由貿易に環境への配慮を組み込むための取り組みがなされるだろうと強く期待された。経済発展と環境の持続可能性とのバランスをとるための方法を追求するために、WTO内に貿易と環境委員会(CTE)が設立されたが、残念ながら今のところこの委員会によって具体的なアクションは何もとられていない。

1999年6月のG8ケルンサミット後に採択された共同宣言によると、G8各国は、首尾一貫し、グローバルかつ環境問題に対応しうる多国間協定や制度の枠組みを作ることで、環境保護に取り組むことを約束した。各国はまた、WTO次期ラウンド交渉においては、多国間環境協定及び主要な環境原則とWTOルールとの間の関係の明確化も含めて、環境に関する検討が十分考慮されるべきことに合意した。

このような議論の前進にも関わらず、1999年6月の貿易と環境委員会(CTE)の会合では期待通りの結論には至らず、むしろ環境と貿易問題への先進国と発展途上国の態度の違いがあらわになった。環境と貿易委員会は、このような先進国と発展途上国の溝を調整し克服することは不可能であるということを示す結果となった。

WTOは経済成長を刺激するために、自由市場の創造を促進する役割を担っており、経済的利益が必ずしも環境保護の犠牲になるべきではないとの立場に立っている。WTOの自由貿易のルールが国際的な拘束力を持つ以上、自動的にWTOルールは国内の環境政策を制限しうる。どの国に属しているかに関わらず、森林は世界全体に、共通の環境的恩恵をもたらしている。従って、WTOの自由貿易の原則に例外を設けなければ、森林のような世界中で共通に利用される資源は重大な危機にさらされ、結果として経済成長にマイナスの影響を及ぼすであろう。

以上の点を考え合わせ、我々GLOBEメンバーはWTOに早急に以下のようなアクションをとることを要求する。

1. WTOは自由貿易の促進の結果として生じる森林問題の解決にむけて、より強いイニシアティブをとるべきである。

2. WTO原則が多国間環境合意の基本原則と矛盾することがないように、WTOはそれらの合意を十分に考慮するべきである。

3. 世界の森林を取り巻く状況の危機的状況を認識し、WTOは林産物の貿易において、予防的なアプローチをとるべきであり、WTOの政策や原則に例外を設けるべきである。

4. WTOは、森林保護のコスト、そして森林のもたらす環境サービス、社会サービスなどの全ての価値を反映させるために、それらの外部化された環境の価値を林産物の価格に内部化するための適切な方策について考慮すべきである。

5. 4への解決策として、WTOは輸入国、及び/もしくは、輸出国による森林伐採や林産物への課徴金を認めるべきである。

6. この課徴金によって得られる収入は、国内外を問わず、森林に関連した環境保護、植林そして森林保全に確実に充て、政府開発援助への追加資金としても使用すべきである。

背景

日本は、丸太、材木そして木材チップの最大輸入国である一方で、森林が国土全体に占める割合が先進国の中でも最も高い国の一つである。これは、一つには日本列島が山がちで耕作やその他の土地利用に適していないことによると思われる。日本の一億二千万の人口は、概ね低地にある大都市または中規模都市に集中しており、斜面の大部分はまだ森林に覆われている。

地球環境が重要な国際問題となるにつれ、森林及びその生物多様性や森林に依存して暮らす人々を保護することは、倫理の問題であると同時に重要な環境問題になっていった。国際社会はこれまで、森林保護のために様々な取り組みをしてきた。そのような取り組みの例としては、国際熱帯木材機関(ITTO)の設立、森林に関する政府間パネル(IPF)における協議、森林と持続可能な開発のための世界委員会(WCFSD)における取り組み、NGOによる森林問題への積極的な取り組みなどが挙げられるであろう。持続可能な方法で生産された木材にエコラベルをつけることも提案され、何度か実行に移されたこともあった。日本は、林産物の最大の輸入国として、世界の森林減少とその質の低下に歯止めをかけようと、様々な国際機関やNGOなどに植林のための資金援助をするなどの多様な取り組みをしてきたが、輸入自体を抑えるための効果的な方策はこれまでとられていない。

国内そして海外の木材貿易業者だけでなく政府関係者までもが「林産物は自由貿易品目である」と主張することで、毎度毎度、自由貿易を隠れ蓑にしてきた。しかし、この林産物の貿易は、市場原理にのみ委ねたままで良いのだろうか。

日本は海外からの林産物への需要が大きい。外国産品の値段が低いときなどは、さらにその需要は膨らむ。輸入される丸太、材木そして木材チップは国内産に比べて安いため、日本の材木産業は、戦後ますます輸入品に頼るようになった。住居建築や木材を利用する他の様々な産業のために消費される木材のうち、国内産が占める割合は、70年代から80年代半ばにかけては30-35%であったのが現在は20%にまで低下した。かつての1ドル360円から現在の1ドル120円前後までという大幅な為替変動の結果、国産品の競争力がますます低下したのだった。日本の労賃の上昇もその一因である。このような変化が、国産品の利用を抑制して輸入を拡大するという当然の帰結をもたら

したのである。

日本はこの結果に本当に満足しているのだろうか。日本は木材輸入国からの輸入拡大によって、自分の森林を守っていると主張する外国人もいるが、これは必ずしも正しいとはいえない。日本は全国土の67%が森林に覆われてはいるが、問題にすべきなのはその森林が健全な生態系を維持している持続可能な森林であるかどうかということなのである。国有林を含めた日本国内の森林は、間伐が充分行われていないため木々は密集し、細長く不健康である。