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《タテ割りの弊害を超えて》 働く女性の7割が出産を機に職を辞している、という厚生労働省の調査がある。いったん職を辞すと、再就職の際には賃金の低い非正規雇用となる可能性が高い。働き続けた人に比べ、生涯賃金や人生の生き甲斐に大きな格差が生じる。これではなかなか出産に踏み切れない。少子化の原因はこのあたりにあるのではないか。職を辞さずとも出産・子育てをしやすい環境を整備すれば、少子化対策にもなり、また女性の就業を促して労働力対策ともなる。もちろん女性達は子供を産み育てる喜びと、仕事を続ける生き甲斐を両立できる。ところがこれがむつかしい。育児休暇の制度は存在しても、取得しづらい雰囲気があると聞く。まして男性は・・・。 そうした中で、経済財政諮問会議の要請を受け、幼保一元化の「認定子ども園法案」が提出された。 幼保一元化となれば、保育所の数がふえ、0歳から小学校に上るまで、誰でも子どもを預けられる。これからは、フルタイムで働くお母さんだけでなく、パートで働きたい人、勉強したいお母さんも子どもを預けることができる。歓迎される法案だと思った。 しかし、よくよく検討すると何がどう変わるのか分からない。新しい法律では、幼稚園で保育を行うことができ、保育所でも母親がフルタイムで働いていない子ども達も預かることができるとされているが、現在でも、幼稚園は時間外に子どもを預かってくれる。保育所も子どもに幼稚園的教育を行っている。この法律が通れば、親にも子にも更に使い勝手が増えるのか。そして何より都市部に数多く存在する待機児童の数は減っていくのか。私は、こうした疑問を抱きながら、文教科学委員会で質問に立った。明らかになったのは、この法案は従来の保育所・幼稚園制度を前提としており、予算も従来のままで増えない、待機児童もどの程度減るのかわからない、つまり何も変わらないということだ。原因は、タテ割り行政。幼稚園を所管する文部科学省も、保育所 を所管する厚生労働省も、自らの権限がなくなるの
を恐れて、既存の制度を温存しようとしたのだ。これでは幼保二元のままだ。 民主党は内閣府の下に幼稚園及び保育所に係る事務を移管する対案を提出した。今、必要なのは、タテ割りの弊害を超えて、何が国民のためになるのかという視点にたった改革である。今回の法案の審議をとおして、役所に丸投げしている小泉政権の本質を見た思いがした。 《教師の交換留学制度》 米国に戦後日本から約6800名の留学生を招き、勉学・交流の機会を与えてくれたフルブライト交換留学制度が、1996年に50周年を迎えたのを機に、日本政府の拠出金によって日本フルブライトメモリアル基金が設立された。毎年米国の初等・中等教育に携わる教師600人を日本に招き、日本の政治・社会・文化・教育を知ってもらうというプログラムに、私は自民党の津島議員と共に講師として招かれて数年になる。全米から参加した米国人教師を前に約1時間半にわたり、それぞれ、与党・野党の立場から日本の政治について説明し、その後活発な質問を受ける。私がこのプログラムをすばらしいと思うのは、かつてボストン滞在中、米国の教育を学ぶためにやってくる日本の学校の先生方の学校訪問をお手伝いした経験があるからだ。好奇心あふれる先生方の熱心な質問を通訳しながら、彼らが異文化から多くを学び、吸収されていること、帰国後は、その体験が教室の中で生かされることを確信したからである。3週間という短い滞在ながら、米国の先生方が日本で学ぶこと、感じることは多いと思う。そうした体験が彼らの見る目を変え、帰国後は米国人の生徒達に日本への関心を高めてくれることだろう。かつて私はフルブライト氏にベトナム戦争の後遺症の色濃く残るワシントンでお目にかかり、じっくりお話を聴く機会を頂いたことがある。米国の大国主義を批判し、力の横暴を憂う氏は「平和は個人による地道で気長な文化交流以外にない」と語られていたことを今も印象深く思い出す。 |