広中和歌子Fax通信 第58号 ( 2005年2月23日)


ノーベル平和賞が環境分野に!
戦争は最大の環境破壊。破壊された環境からは人々の平和な暮らしは望めない。


   

《マータイさんとのシンポジウムに出席》

「マータイさんと語る環境と平和」(毎日新聞社主催)で、私と同じく元環境庁長官の清水嘉与子参議院議員、歌手で国連環境計画(UNEP)親善大使の加藤登紀子さん、ジャーナリストの幸田シャーミンさんと共にシンポジウムのパネリストとして出席。

まず、マータイさんから「グリーンベルト運動に見る環境・平和・女性」というテーマでの講演を伺った。「グリーンベルト運動」とは砂漠化の進むアフリカに、貧困にあえぐ女性の手で植林を進め、あわせて女性の自立も目指そうという運動。

アフリカの黒人女性としては初めてノーベル平和賞を受賞されたマータイさんについては、来日以来テレビなどでその功績や人柄が知られているせいか、1,200人を
超える聴衆が集まった。

私はマータイさんとは「地球憲章」の作成過程で知り合った。地球憲章では地球の恵沢を現世代だけでなく
子や孫の世代にも残そうと謳い、全ての人に公正で、
持続可能、かつ戦争のない平和な社会を強く訴えている。

マータイさんは植林を通じて自然の回復を計ってきたが、女性達に植林という仕事を与えることで、経済的自立と人間としての尊厳を植えつけたその功績は大きい。

「19世紀から20世紀にかけて人類は資源の争奪に明け暮れていた。大国は発展途上の国々を植民地化し、あるいは経済的に有利な条件で途上国の資源を買いあさってきた。そうした覇権主義の結果として二つの世界大戦と多くの地域紛争が起こったが、21世紀は国と国、人と人が争う時代から、環境破壊を人類の共通の敵として平和と共生の世紀にしなければならない。世界の先進国は軍事費に約90兆円を使っているが、途上国支援は約7兆円(685億ドル)に過ぎない。せめて軍事費の10%を削減し、貧困の解消、環境保全などに使う事ができればと切に願う」と、私は発言した。
  「人々の意欲をどう引き出すか」という会場からの質問に、マータイさんは「人は社会が悪い、政治家が悪いなど自分以外のせいにするのが常だが、何が問題なのか、その原因はどこから来たか、自分はどう関わっているか、

を考えさせる。すると自分もその問題の一部であること

を認めざるを得ない。それならその解決にも自分が関わるべきだということに人は納得する」と述べていた。人々の無気力をエネルギーに変える、ご本人もエネルギーとパワーにあふれた人だと感じた。

《経済産業雇用調査会:京都視察》

参議院経済・産業・雇用調査会は本年度の視察地として京都府を選んだ。京都には歴史文化に育まれた西陣織のような伝統産業が多く存在する一方、京セラ、オムロン、村田製作所、島津製作所など世界に誇る先端産業が新しいことに挑戦している。

京都府と京都商工会議所からはバブル崩壊後失業率がワースト3になる中、「小規模応援融資制度」の創設や京都の観光振興を目的とした「京都観光文化検定試験」、又若年者就業支援センターなどの取組み等について伺った。

西陣織で有名な室町では今や現場で織っているところはごく少なく、多くは海外で製造しているという。最近、魚や農産物に生産地表示がされているように、織物にも同様の処置がとられるべきだと西陣織工業会の関係者は訴えていた。

先端産業の代表として島津製作所も訪れた。1875年設立の伝統あるこの会社は、計測、分析機器から先端医療機器まで幅を広げている。ノーベル賞の田中耕一さんがタンパク質の質量分析装置について、分かりやすく説明して下さったのには感激。彼の研究の成果が実用として利用されるまでに十数年の年月が経っているという。先行投資を行う企業の先見性とリスクについて考えさせられる。

《京都議定書ついに発効

京都の名を冠する温暖化削減条約がロシアの参加を得ていよいよ発効した。最大のCO?排出国アメリカや、
経済発展めざましい中国の入っていない議定書は意味がないと言う人が少なくないのは当然として、そのことによってわが国が削減努力を怠る口実にしてはならない。
生活の利便性に関わる分野でCO2の排出が増えているというのが、国民一人びとりが「もったいない」の精神で削減努力することが必要である。マータイさんは日本で「もったいない」文化に感銘を受けたというが、それを忘れてならないのは日本人の方だと思う。