イラクへ自衛隊を送り出すのはアメリカとのお付き合い、
理念なき外交は必ずや世界から軽蔑される。
《イラク特措法》
6月18日第156回通常国会が終わり、40日間の会期延長が決定された。その主たる目的はイラク復興支援活動と安全確保支援活動に関する特別措置法案(通称イラク特措法)を成立させるもの。民主党の対応に政府与党は神経を尖らせている。
そもそもイラクへの自衛隊派遣については、小泉首相が訪米の際ブッシュ大統領に約束したもの。政府与党としては絶対に守らなければならない。しかし、自民党の中に異論があり、その法律の目的の一つ、大量破壊兵器処理支援活動を削除することで党内がまとまり、閣議決定がなされた。こうした問題の多い法案に、先の有事法制同様、野党第一党の民主党が賛成してくれれば、自分達の国民に対する責任が少しは軽くなるということなのだろう。
民主党外務・安全保障合同部会としては、イラクにいち早く議員団を派遣し、現状報告を聴いたりして、復興ニーズの把握と対応について検討を始めている。
賛否に関する結論は今の時点では明らかになっていないが、自衛隊でなくても日本ができる支援は数多くあり、逆に自衛隊でなければ行えない支援は、治安の悪い場所であり、自衛隊が法的に許されている活動能力を超えるものである。
民主党としては、そもそも国連の承認を受けていない米軍等による今回のイラク侵攻には反対していたのであり、 しかも、大義名分とされている大量破壊兵器は見つかっていない。戦後復興に人道的視点から手を貸すのなら兎も角、自衛隊派遣のニーズも明らかでない場所に、自衛隊の青年達をやたら送り出すことは憲法上もできないのではないか、と私は考える。
《北朝鮮問題》
イラク戦争を通して日本人に強く迫っている課題は北朝鮮問題である。イラクの場合、核がなかったこと、査察を十年間受け入れている間、軍事力が骨抜きにされてしまったことが、イラク侵攻につながったといわれる。核も軍事力もそれなりのものをもっている北朝鮮の場合は、そうは簡単に武力行使とはいかないことは明らかだ。
最近、外務大臣は「対話と圧力」は外交の要諦といっているが、そもそも日本の外交には、少なくとも北朝鮮に関する限り、「圧力」など存在しなかったのではないか。だから、麻薬や武器密輸、拉致さえも、これまで大手をふって行われてきたのではないか。
最近ようやくアメリカの影響で領土周辺の取り締まりを強化し、その一環として万景峰号の入港が延期されたが、北朝鮮からは、この船だけでなく、年間大小合わせて1400もの船隻が日本に入港し、その多くが港湾規制を守っていないことがつい最近分かった。日本の国土周辺の安全も満足に守ってこなかった国が、自衛隊を遠い他国に送り出してどんな役に立てようとするだろうか。
《日本的雇用の行方》
解雇・リストラと働く者にとって厳しい状況が続く中、通常国会で労働者派遣事業法、職業安定法等が審議された。時代の流れは好むと好まざるとに関わらず、労働力の流動化である。かつて'70年代、日本の経済の強さは安定した労使関係にあり、働く者は終身雇用、年功序列賃金、企業内訓練と企業内組合で守られているといわれた。そうした前提がくずれかけている今、つらつら考えてみると、企業は経済成長期、労働力が足りない時には終身雇用と企業内訓練で労働移動をしばり、年功序列賃金という
"にんじん"をぶら下げて低賃金で若年者を働かせた。
そして、経営が危なくなると、そうした"日本的労働慣行"は忘れたような顔をしている。労働者は景気のよい時も悪い時もいつも受身である。
流動化する労働市場の中で、今ほど組合の団体交渉権と、いざという時のため、個人として自立できるだけの能力、経験、資格、今はやりの言葉でいえば、人材としての
“市場価値"を高めるに必要な時はない。
《三位一体改革》
田中康夫長野県知事が民主党の勉強会に来られ、国民の関心を集めている三位一体改革について話をされた。
三位一体改革とは税源移譲と補助金、地方交付金カットをセットにして行う。その目指すところは国の地方への全国画一的な関与を廃止し、もって財政を眞に地元のニーズに合ったものに改革すると共に、地域の多様な産業振興や街づくりを可能とするものである。
田中知事は長野県の小・中学校の建替えと補修を例にひきながら、補助金と交付金VS地元負担の実質市町村負担は、建替えの場合には26.7%、補修の場合は66.7%。従って、補修よりも建替えを選択する構造となっていると指摘。道路の場合も、大規模な補修となれば県負担は40%なのに、補修であれば100%負担となる。つまり、こうした補助金、交付金制度によって、修復よりも全面造り替えが選択される。だから、こうした財源構造がこれまで公共事業のムダを生み、歴史的建造物を壊してきたのだ。