広中和歌子FaxNews第32号(2002年10月21日)
《北朝鮮問題》
9月19日、日本国中が注目する中、小泉総理の北朝鮮訪問が行われた。長いこと懸案であった拉致問題を全面に押し出しつつ、北朝鮮との国交樹立交渉を再開するための訪問ということであった。そうした大切な会合がたった一日ということは驚きだったが、恐らく金正日総書記との中味の濃い会談が予定されているのだろう。その日は誰もが早朝から会談の行方に気をとられていた。
しかし、具体的な結果が出たのは午後もかなり遅くなってからのニュースで、13人中8人もの方が既に亡くなられているということ、その中には横田めぐみさんや有本恵子さんが含まれていた。先国会中、外交防衛委員会で参考人としてお二人のご両親をお招きした際、お子様の安否を気遣い、切々と訴えられていた姿を思い出し、胸がつかえた。
次に両首脳が合意した会談の中身が読み上げられた。驚くべきことに、金正日総書記は拉致問題を率直に認めた上で謝罪を表明。不審船問題についても再発防止を約束、またミサイル発射実験の凍結期間の延長や核関連施設へのIEAによる査察受け入れにも明確な意志を示したという。これまでの北朝鮮の行動、態度からは考えられない変わりようである。にわかには信じ難く、私はこれをどう受けとめてよいのか、しばらく思考停止の状態になってしまった。
アメリカのブッシュ大統領は、その「悪の枢軸」発言で北朝鮮をイラク、イランと共に名指しで批難し、その一つイラクへの武力攻撃をちらつかせていることなど、その強硬姿勢の効果が北朝鮮に及んでいるのか、それとも北朝鮮の経済・食糧事情がそれほど悪化しており、現体制のままでは国として、立ち行かなくなっていることを示しているのか、あるいはその両方なのか。いずれにせよ、今回の小泉総理の北朝鮮訪問、金総書記と交わした合意文書は瞠目すべき内容を含んでいたと思う。
尤も、北朝鮮がこの合意文書を守る意志が本当にあるのかどうかは、これまでのこの国の態度や行動から見て皆目分からない。早速、今月3日北朝鮮で行われた米朝高官協議で、北朝鮮側が数年前から核兵器のための濃縮ウラン開発を進めている証拠を米側から突きつけられた。それに対して北朝鮮はそれをあっさりと認め、1994年の米朝枠組合意が無効との立場を示したという。尤も、米側からその事実について発表されたのは会談の二週間後であったことも意味深長だ。
そんな中で、今後日朝国交正常化交渉の行方、そしてそのことへのアメリカの反応は今のところ分からない。折からインドネシアのバリ島でのテロ事件で多数の死傷者が発生。イラク問題とからんで世界情勢には複雑な緊張が続いている。
小泉訪朝によって、これまで喉にささった骨のように東アジアの平和と安定にとって不安材料であった北朝鮮を、交渉の舞台にひっぱりだしたことは評価されるべきであろうが、独裁者金正日総書記体制下での今後の北朝鮮の予期せぬ変貌を、かつてルーマニアや東ドイツの辿った道と重ねつつ、拉致された人々の身の上を思う。
《臨時国会開会》
10月18日、第155回臨時国会が開会。総理の所信表明があり、そして週明けの21日、衆議院で各党の代表質問が始まった。民主党からは鳩山代表と中野幹事長がバッターとなり、鳩山氏は現下の経済状態と外交問題を中心に質問を展開。中野氏は需要と雇用の創出などの景気対策、年金・医療改革問題、有事法制と沖縄問題等を質問。
しかし、小泉総理の答弁は所信同様あまりにも素っ気ない。"改革はすぐには達成できない。数年間の痛みが伴う"の一点ばり。
《民主党代表選挙が終わって》
9月23日行われた民主党代表選挙は鳩山氏で決まり、政治経験豊な中野寛成氏が幹事長に指名された。若手の多い民主党の要となってくれるだろう。私自身は国家基本政策委員長の任期を終え、再度、民主党副代表に任ぜられた。
民主党は成立してわずか4年。その間衆参3回の選挙を経て183名の大所帯となった。そのうち三分の二は当選1,2回生。若い力が結束すればすごい威力を発揮するが、さもないとばらけてしまう。結束なしには政権交代なし。政権交代なしには日本は変わらない。
目下、全国7ケ所で衆参補欠選挙戦が行われており、10月27日(日)が投票日。投票所に行きましょう!