広中和歌子FaxNews第30号(2002年7月31日)
《第154回通常国会を終えて》
通常国会会期内で処理しきれなかった4つの重要法案。その処理のため42日間会期が延長された。結果は郵政改革関連法案は何とか通過、医療制度改革関連法案は厚生労働委員会で野党反対、欠席のまま本会議で可決された。しかし、残りの2法案、有事法制関連法案と個人情報保護法案は継続審議することとなった。
医療制度改革法案については民主党を中心とする野党は始めから反対。その理由は、医療制度の抜本的改革なしに保険料負担が2割から3割に増えるなど、総額1兆5000億円の国民負担増になるからだ。
法案の委員会強行採決の日、国会の周辺では連合を始めとする幾つかの団体による反対の座り込みはあったものの、国民の関心は薄いように思えた。
多くの人は保険料は給料から差し引かれているため、実感がないのだろうか、「足りないのなら保険料か税金で結局我々が払わなければならないのですから」とあるサラリーマンは鷹揚に言っていた。「あまり医者にかかったことがないので」とも。しかし、いざ大病したら、或いは退職して高い保険料を会社負担なしで自ら支払う立場になったら、はじめて医療費の重味を感じるのだろう。
この法案はそれぞれ衆・参の厚生労働委員会で審議されたが、参議院では公聴会も開かれず強行採決された。わが党の今井澄議員(医者出身)の地域医療の専門家としての発言は、傾聴に値した。その一つ、医療費、薬剤費について、日本動脈硬化学会が昨年コレストロールの基準値を20上げることを提案しているのに実施されていないことに触れ、もし実施されれば、これまで2300万人に処方されているといわれる薬を約1000万人の人が不要になる。そうなると薬剤費は約三百数十億円以上の節約となると厚生労働省の役人は答弁していた。
《外交防衛委員会にて》
今国会における外交防衛委員会は昨年に引き続き、多くの大きなテーマを抱えたものとなった。昨年暮れの不審船事件とその引き上げ問題に続き、イスラエル・パレスチナ問題、インド・パキスタン間の緊張、中国・瀋陽事件、そして外務省と鈴木宗男議員にからむ数々の不祥事と外務省改革、その他に京都議定書をはじめ幾つかの議定書の審議があり、外交防衛委員会はほとんど毎週2回開催された。テレビ・カメラの数は田中外務大臣の更迭以後、5台から1台に減った中、川口外務大臣は手堅い答弁に終始。果たして外相のリーダーシップで外務省を変えられるのか大きな課題を残して今会期は終わった。
《地域金融について》
これまで無担保の小規模金融(マイクロ・クレジット)制度について、私は途上国支援の立場から関心を持ち、応援してきたが、わが国の現下の不況、特に地域の商工業者が取引銀行の貸し渋りや貸剥がしにあって倒産していく現状、更には失業した中高年の人々や女性達がビジネスを始めたくても資金が得られないことを考えると、わが国にも地域に根ざしたマイクロ・クレジットが必要だと思うようになった。アメリカ、カナダ、韓国でも既に始まっており、多くの起業を助けていると聞く。
国会の議員会館でNPO「女性と仕事研究所」代表の金谷千慧子先生等から日本における女性企業家支援の話を伺い、これを広く女性や中高年の男性にも広げていけないか、国会の中でも運動を展開していくことをお約束した。
これまで民主党でも櫻井充議員が地域金融に関心を持ち、アメリカの地域開発金融の例を引きながら、経済金融特別委員会などで既に問題提供をしていたので、私も先週同じ主旨で質問に立った。
たまたま私のボストン時代の友人で銀行の頭取をしている方が休暇で日本に来られているので、民主党の勉強会で現下の金融事情について、話を伺った。
全米で2000以上もある銀行の中で、彼の銀行はトップ20行の中にあり、彼が頭取になってから過去10年間で10倍に成長したという。因みに自分の銀行は地域の人々の預金を、地域の人々に貸すという銀行本来の業務以外していないと断言していた。そして、健全な金融機関なくして、健全な経済発展がないとも。
《今月の講演活動》
民主党男女共同参画プログラムの一環として、千葉で「これからの教育」について講演する機会を頂いた。
戦前に生まれ、戦中、戦後と激動の時代を生きた人間として、これからも多様に変化していく世の中で、最も大切な身につけるべき資質は学び続ける力、選択する眼、適応する能力であることを強調した。そして、"気に入らなければ変えてみよう。変えられなければ楽しもう"(ユダヤ格言)という楽天性だとも。
国連大学主催のシンポジウム、"ヨハネスブルグ・サミットに向けて"においては、主として地球憲章について、今なぜそれが必要なのかを述べると共に、日本の21世紀は環境技術と環境産業、ノウハウで世界に貢献すると共に、日本を豊かで美しいエコ・カントリーとして発信していく気概が必要だと発言。8月末開催のヨハネスブルグの環境開発サミットには同僚議員と共に参加する予定。