広中和歌子FaxNews第18号(2001年7月24日)


7月29日 21世紀初の国政選挙。参議院選挙の投票日です。

 自民党は実に生命力の強い政党だ。ロッキード事件で田中内閣がつぶれれば「信なくばたたず」の三木さんを担ぎ出し、リクルート事件で竹下内閣が崩壊すれば、同じ三木派の海部さんで凌ぐ。

 細川内閣に政権を奪われれば、長年の政敵、社会党の党首村山さんにお願いする。そして、森内閣でついに支持率10%を切ると、今度は党内で変人扱いをされてきた小泉さんに党の命運を委ねる。小泉さんはいわば自民党の生命維持装置だ。その小泉さんは自ら20数年過ごした自民党を全面否定し、民主党の掲げる改革の良いとこ取りをする。もっとも村山内閣でも橋本内閣でも小渕、森内閣でも一応“改革”を訴えてはいた。

 しかし、彼らの改革は達成されたのか?バブル崩壊後の自民党政権下で日本経済は少しは良くなったのか?景気は悪化の一途、失業率は5%を越え、倒産は増え、自殺者は3万5千人を数える。この責任を問わずして国民の小泉人気とは一体何なのか?

 外国のある大使が私に尋ねた。「日本人は教育もあり、教養もあり、伝統文化もあるのに、何故こう大きく振れるのか。小泉内閣の閣僚7人は森内閣の閣僚の横すべりだし、小泉内閣を支える自民党議員は森内閣を支えてきた同じメンバー。それなのに何故森内閣の10%の支持率が小泉内閣に代わったとたんいきなり90%近くになるのか?」私は「わかりませんね。熱暑のせいか、いずれクールになると思いますが」としか言いようがなかった。

 本来改革なんて、政権交代による人心一新なしに成すことはできないことはこれまでの歴史が証明している。徳川十五代将軍慶喜だって、黒船の来襲でこのままでは幕藩体制は続かないと腹を固めると、自ら改革に挑んだ。しかし、守旧派に阻まれ、抜本改革はできず、結果として薩長連合主導による明治維新と相成った。

 第二次世界大戦直後も、敗戦後の日本を改革すべく当時の東久邇内閣の国務大臣近衛文麿が憲法改正案の起草にあたったが、連合軍の賛意を得られず、結局新憲法は連合国側の意向を反映する主権在民の平和憲法となり、その後の日本の発展に連がる。

 さて、小泉氏は自民党政権の中で構造改革を成し得るだろうか。骨太の改革といいながら、具体案は見えてこない。はっきりしているのは“国民も痛みを”と“自己責任”ということ。外交面でも小泉・田中ラインは結局アメリカべったりの従来型。温暖化防止を実効あらしめる京都議定書についても、アメリカに気をつかい、独自外交も打ち出せない。

 小泉さんは福田派の流れをくむ保守本流だ。だからかどうか、昨年の加藤紘一氏の乱でYKKの盟友を裏切ってでも森内閣を支えてきた。尤も加藤氏自身も自民を割って出る勇気がなかったのだが。

 しかし、保守派に改革ができないということはない。アメリカのレーガン氏も、イギリスのサッチャー女史も共に保守派だが、立派に改革を成し遂げた。

 では、小泉氏の場合はどうだろう。

 上記の政治家と小泉氏の違いは明らかである。つまり、彼らには党内基盤がしっかりしていたが、自民党の反逆児小泉氏にはそれがない。

 改革案を掲げても、いざ実行となると、自民党議員の多くは反対にまわるだろう。現在は参議院選挙の前だから、おとなしくしている面々、小泉さんと一緒に写真を撮って選挙を闘っている人々も、当選したあかつきにはどういう反応をするか、想像に難くない。

 その後の小泉さんの運命やいかに?そして、“大山鳴動ねずみ一匹でめでたし、めでたし”で、自民党は旧態依然とした長期政権を続行するだろうか。

 それでもようござんすか?と問われているのが、今度の選挙。国民の覚めた目、良識が問われている。

≪京都議定書について日本の世論をアメリカで説明≫

 去る3月ブッシュ大統領の京都議定書反対表明以来、日本の国会では衆参両院で日本が一日も早く批准することによって議定書の早期発効を求める国会決議を満場一致で行ったこと、又、GLOBE・Japan(地球環境国際議員連盟・日本)としてもブッシュ大統領にいち早く抗議の手紙を送ったことなど、アメリカ人に是非日本の温暖化に対する考えを知ってもらいたいと、選挙の最中ではあったが、私は渡米し、7月16日ワシントンのナショナルプレスセンターで記者会見を行った。

 アメリカの議会でも民主党の8割が議定書に賛成、共和党の議員の中にも賛成者は少なくない。地球環境問題は日本がリーダーシップをとれるすばらしい分野、新産業発展、雇用創出にもつながる。小泉総理の一日も早い決断を促したい。