広中和歌子FaxNews第13号(2001年2月22日)
三宅島噴火、インド西部地震等、大自然の偉力の前に人間はいかに小さいものかと感じます。
1月31日に開会した第151回国会は、KSD問題、外務省機密費流用事件に加え、ハワイ沖の米潜水艦衝突事故での総理、官邸の対応のまずさで政局は大荒れ。民主党は衆議院の予算委員会や党首討論で与党を激しく攻撃、政権に揺さぶりをかけている。
そうしたなか参議院では、連日朝8時から数々の政策勉強会が開かれている。全部カバーしきれないのが残念だが、そのうちの一つ、中小企業部会主催、地域経済研究会での島田晴雄慶大教授の話は面白かった。
かいつまんで言えば、日本には1300兆の預金がありながら、消費は低迷、デフレ傾向でさえある。預貯金を持っている人の多くは高齢者だが、彼らには買いたいものがない。何故なら、彼らの生活を豊かにする社会資本は貧しく、マーケットも形成されていないという。こうした分野にこそ新産業創出があると、島田教授は言われる。
例えば住宅市場。多くの日本人にとって住宅取得費は先進国の中でも非常に高く、一生ローンに縛られる。ライフステージに応じての住み替えが理想だが、中古住宅の売買市場が未発達であり、住宅の寿命が欧米に比べて短い。そのような住宅しか提供されていない日本人は、老後、自分の家を売って高齢者用の住居に移ることも経済的にままならない。公的機関が経営する特別養護老人ホームに入れればラッキーだが、需要に供給が追いつけない。従って、多くの高齢者は将来への不安を抱えたまま、お金が使えない。
長い間海外で暮した経験のある私は、こうした住宅事情について以前から気になっていた。また、議員になってからも先進国を訪れる際、時間を見つけては老人ホームや高齢者タウンなど見学してきた。いずれも中流の人達が支払える範囲の施設だが、個室も広々としてサービスも行き届いているように見える。フランスのある郊外の場合には、かつて織物工場で働いていた女工さんの寮が高齢者施設に改造され、敷地内には託児所、幼稚園もあった。
3年前、参議院選挙で千葉県各地をまわった際、県営や市営のアパート群の多くが郊外の緑豊かな場所に立地していることに気がついた。戦後まもなく建てられた4階建てぐらいの集合住宅は、型も古く、恐らく室内も現在建っているマンションのように広く便利にはできていないだろう。しかし、敷地は広く、生垣や樹木が生い茂り、集会場のスペースもあり、生活環境としては決して悪くない。そこの住民の多くは住宅と共に年をとり、年配の方々が多いと伺ったが、それならそれで高齢者住宅に改造し、グループホームのように使えれば、住んでいる人々にとってもどんなに安心かと思われた。
そのことをある建設省の方に指摘すると「高齢者用に居住空間を改造し、緊急の場合のためにベルをつけることは簡単ですよ。しかし、ベルを鳴らした先に対応してくれる人がいないとね。」と言われてしまった。つまり、建設省と厚生省の間の連携の問題だという。
ところが、最近事情が少しずつ変わってきているらしい。地域を中心に公営住宅を高齢者用に転用する動きがあり、その気になれば様々な取り組みができるらしい。千葉県でもそうした動きがすでに始まっている。島田先生にそのことを申し上げると「“公的施設の有効利用を促進するための基本法”を国会で作って下さいよ」と言われた。早速参議院の法制局に問いかけると、公営住宅を高齢者住宅に再利用する場合、“高齢者の居住の安定確保に関する法律”があり、55条に公営住宅の転用が記されているという。又、古くなった学校を教育以外、例えば福祉の目的に使用する場合、仮にその学校が文部省の補助金で建てられていても、補助金適正化法の例外として10年以上経っていれば、使うことができるとのこと。但し、監督官庁(文部省)の承認が必要だという。つまり、法律も運用する気があるなら、かなり流動的に使えるらしい。
それなら、なぜそういう動きが今まで少なかったのだろうか。これはまさに今後の課題だが、私の想像するところ、予算についてもこれまで新築には補助金が出やすかったこと、建設会社にとっても内装を変える工事より、丸ごと新築する方が易しいし、儲けも大きいということなのか。
数日前の民主党地方分権委員会で、川崎市で高齢者住宅を担当する伊藤和良氏の話を伺った。スウェーデンの例を挙げながら、地域住民の声と行政が一体となった時に物事は進むのだと、熱を込めて語られた。これまで行政任せであった地域住民がそのニーズ、ウォンツをはっきり声に出し、そうした動きに行政が対応する新しい地方分権の時代が始まるかもしれない。要は、住民と行政のやる気であろう。
≪知事選は若井康彦氏に≫
3月8日は千葉での知事選の告示日。民主党は民間人で都市計画の専門家の若井康彦氏を推薦した。彼の子供時代、千葉の人口は200万人。それが今や急速に膨れ上がり600万人近くとなり、新しい千葉県民が生まれ育っている。彼らの暮らしがより豊かになるよう、千葉県知事となって、是非強力なリーダーシップを発揮してほしい。