第156回 外交防衛委員会
2003年3月26日(水)

○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

☆答弁者

川口 順子 外務大臣
石破 茂 防衛庁長官 
赤城 徳彦 防衛庁副長官
海上保安庁次長 津野田 元直 君


広中和歌子君 民主党の広中でございます。
 昨日に続きまして質問させていただきます。

 まず、外務大臣、予算書でございますけれども、国際社会全体の平和と繁栄の実現という項目におきまして、いろいろな、 七百三十五億円が計上されております。これはODA予算とは別に考えていらっしゃるんでしょうか。

 例えば、人間の安全保障への取組のための経費等というふうにおっしゃっていますけれども、ODA関係ではなくて、別に七百三十五億円を計上していらっしゃる。その中にはTICADV、東京アフリカ開発会議も含まれております。それから、グローバルな安全保障問題への対処のための経費、地域紛争の対処のための経費というふうにおっしゃっていらっしゃいますけれども、こうした予算の中には今度のイラク問題等も、復興支援も含めて人間の安全保障にかかわりますから、含まれていると考えてよろしいんでしょうか。これは質問通告しておりませんけれども、たまたま伺ったので、お伺いいたします。

国務大臣(川口順子君) まず、国際社会全体の平和と繁栄の実現、これに七百三十五億円ということですけれども、これの中身はいろいろございますが、グローバルな安全保障問題への対処の経費、例えばアフガニスタンの復興支援、和平プロセスの促進の費用とか、それから、そうですね、中東和平の推進を支援する費用とか、そういうものが入っております。それから、その中に人間の安全保障的なものも入っているというふうに書いてありますが、例えば世界エイズ・結核・マラリア基金拠出金とか、そうですね、麻薬対策無償とかそういうことが、感染症への対策とか、入っています。

 それで、ODAとの関係では、ODAという項目で予算項目一つ立てているわけではありませんので、この今申し上げた国際社会全体の平和と繁栄の中には、ODAに分類されるものもあるし分類されないものもあるという考え方だと思います。

 それから、イラクへの費用、これも具体的に何かということによってこの中で支出できるものもあるというふうに思います。

広中和歌子君 それでは今度、防衛庁長官にお伺いいたしますけれども、この予算でございますが、GDP一%の範囲内に収まっていると理解してよろしいでしょうか。

国務大臣(石破茂君) そう御理解いただいて結構です。

広中和歌子君 GDPが去年から今年に掛けて下がりましたし、今後の推移というのも心配なところでございますけれども、ともかくそういう中で防衛費のGDP一%ルールというのは、これまで我が国が守ってきたルールであり、守るべきではなかろうかと思うわけでございますが、そういう中で是非効果的な、効率的な運用をお願いしたいと思います。もしコメントがあればお願いいたします。

国務大臣(石破茂君) GDP一%を超えたことはございます、かつて。これは先生御案内のとおりであります。今年は超えておりません。

 確かに、一つの目安というのか、それとしてGDP比一%という議論は意味のあることだろうと思っております。しかしながら、本当に四海波静かで全く脅威がないというようなことであれば、それは防衛費はどんどん減らさなければいけません。しかし、我が国に対する脅威というものが、危険というものが、あるいは懸念される材料というものが増した場合に、しかしながらGDP比一%なんだからというふうな議論というのは、これはまたいかがなものかというふうに考えております。

 私ども政府といたしましては、いずれにせよ、節度ある防衛力の整備ということを言っております。それは、侵略的なものも持つことはいたしませんし、そしてまたやみくもに防衛費を増やすというような考え方は持っておりません。そういう意味で一%ということは、積極的な意味を私は否定をするものでは決してございません。

 しかし、周りの状況というものに防衛費というものはやはり関連を持つものであろう。あわせて、経済が非常に厳しい中にあって、その中における防衛費の在り方というものも、当然私どもは無駄遣いをしないように、合理化、効率化というものに努めていかねばならないというふうに心しておるところでございます。

広中和歌子君 大変重要な御発言をなさったと思いつつ、しかし、おっしゃることも理解いたしますので、願わくば、これから我が国が直面する危機というものが、何というんでしょう、直面するであろう危機が重大なものでないことを期待する以外ないということなんではなかろうかと思います。

 それから、この二ページですけれども、「この予算の内容について申し上げます。」という第二の項の第一というところで、同時多発テロ事件や炭疽菌事件、それから九州南西海域不審船事案等を踏まえ、不審船等への対策云々と書いてございますけれども、ということは、我が国の海域を守るのは一義的には海上保安庁の役割であったわけでございますけれども、この方面にも積極的に目を光らせていただけると期待してよろしいんでしょうか。

国務大臣(石破茂君) これは、第一義的に海上保安庁が担うべきことは今日においても全く変わりはございません。

 しかし、例えて申しますと、九州南西沖で起きました不審船・工作船事案のように本当に強力な装備を向こうが持っているというような場合に、海上保安庁だけでは対応できないということがあり得ることであります。海上警備行動の下令ということが必要になることもあるわけでございます。そうしますと、私どもが持っております例えば海の装備というものが、非常に俗な言葉で申しますと重厚長大であって、そういう本当の、向こうの駆逐艦であるとか巡洋艦であるとか、そういうものには対応できるが、ああいう工作船のようなものには対応できないというようなことであるとするならば、それは海上警備行動という条文があっても実際の実効性を持ち得ないというようなことだろうと思っております。これは、陸上におきますテロやゲリラにおいても同様のことでありまして、いきなり戦車が出てくる、こういう話には相なりません。

 そうしますと、そういうような非対称的脅威のようなものにも対応できる装備というものをきちんと作りまして、もちろん二重投資のようなことは避けるべきだと思っているんです。海上保安庁も持っているようなものを自衛隊も持つとか、あるいは警察も持っているようなものを自衛隊も持つ、そういうような二重投資は国家資源の有効配分という観点からもいかがなものかというふうには思っておりますが、治安出動や海上警備行動という、条文に定められた私どもの任務がきちんと果たせるようなものは、節度を持って整備をしてまいりたい、そういうことでございます。

広中和歌子君 どうもありがとうございます。期待しております。
 それでは、平壌宣言のその後についてお伺いさせていただきます。

 まず第一に、平壌宣言で触れられていたと思うんですけれども、以降、不審船の出没というのはあるんでしょうか、伺います。

政府参考人(津野田元直君) 海上保安庁の方におきましては、日朝平壌宣言以降にいわゆる不審船を確認したということはございません。

広中和歌子君 防衛庁の方でもそうですか。確認していらっしゃいませんか。

国務大臣(石破茂君) さようでございます。

広中和歌子君 南シナ海に撃沈し、引き揚げられた船は北朝鮮のものであったということでよろしいんですね。

政府参考人(津野田元直君) 北朝鮮籍であるというふうに特定いたしております。

広中和歌子君 どうもありがとうございました。
 それで、平壌宣言以降なんでございますけれども、福田官房長官がこういうふうに発言していらっしゃるということが新聞に書いてありました。つまり、北朝鮮が弾道ミサイル発射をし、あるいはプルトニウムの抽出を行ったならば平壌宣言の破棄もあり得ると。これは、真意はどういうところなんでしょうか。官房長官にはここにいらしていただいておりませんけれども、外務大臣の範囲でお答えいただければと思います。

国務大臣(川口順子君) 今、広中委員が引用なさった福田長官の御発言が、参議院の予算委員会でなされたもののことを指していらっしゃるんでございましたら、その真意は、日朝平壌宣言を破棄することを検討するということではなかったと私は考えます。

 これは、北朝鮮の一連の行為、行動が日朝平壌宣言の精神に反するのではないかという意見が多いというのは当然だということをおっしゃった上で、北朝鮮の行為が日朝平壌宣言の精神に反しているかどうかという判断は、まず全体の状況を見て行う必要があるということ、そして他方で、今の時点で、現時点でそのような判断を行うべきではなくて、これから粘り強く交渉をしていく、引き続き粘り強く交渉をしていくということが、そういう姿勢が重要であるということを述べられたと、そういう答弁であったというふうに思います。

 いずれにしても、私、日本国政府のこの日朝平壌宣言あるいは北朝鮮との関係についての方針、これは先ほど別な委員の御質問で申し上げましたけれども、今後の日本の日朝関係を包括的に、包括的に取り進めていく上での方向性を示した重要な文書であるという認識を持っていまして、これをてこにして、北朝鮮側がそこに書かれているいろいろな事項を実行していく、実行させていく、そういうことのてこに使っていく、そして履行を求めていくと、そういうことでございます。

広中和歌子君 平壌宣言が結ばれました後、国民はそれを期待したわけでございますけれども、現実には、拉致被害者の一部が日本に帰国されたことから、要するに日朝関係というのはむしろ暗礁に乗り上げていると、そういうような印象を持つわけでございますけれども、これから先はどういう進展があり得るのかお考えをお聞かせいただきたいと思います。

国務大臣(川口順子君) 平壌宣言以降、五人の拉致された方が日本に帰っていらしたというのは一歩前に進んだということですけれども、残念ながら、そのほかのことについては進展を見ていないということです。

 それで、今、拉致の問題については、政府としては、この五人の北朝鮮に残された家族の方々が日本に帰ってきて自由な環境の下で意思決定をしてもらうということが重要であると考えておりまして、北朝鮮に、家族の人を日本に戻すようにということと、それから拉致問題について、ほかの方もいらっしゃいますので、事実関係の解明を強く求めているということです。

 それから、安全保障については、これは日本だけではなくてほかの国も非常に関係、関連を持っていますので、この地域の平和と安全が増すような形で安全保障問題については取り組んでいくということで、これは韓国、アメリカ、そして中国、ロシア等とも話をしながら、またIAEAや国連の場での議論をしながら対応しているということでして、粘り強く進めていくということが大事であると思っています。

広中和歌子君 何か、これは新聞情報でございますけれども、ともかく北朝鮮というのは日本を相手にしていない、アメリカが相手なんだというふうに言いますけれども、要するに日本というのは当事国でございますから、当然日本がイニシアチブを取らなきゃいけないんではなかろうかと思います。そういう中で、米韓はもちろんですけれども、中国、ロシアなどとの話合いというものを既に始めていらっしゃいますか。

国務大臣(川口順子君) 日本がイニシアチブを取らなければいけないということはおっしゃるとおりで、外務省としても、私もそう思っています。

 それで、そういう観点で韓国、それからアメリカ、中国、ロシア等と北朝鮮の問題についての話合いは緊密にやっています。また、IAEAや国連、IAEAの場では特にそうでしたけれども、我が国が相当のイニシアチブを取りました。これ以外の国々とも北朝鮮の問題については時々話合いをやっておりますし、この問題についての我が国のイニシアチブは、国際的にもこういった関係国の中ではきちんと認知をされていると考えております。

広中和歌子君 アメリカのパウエル国務長官は、北朝鮮が核兵器開発の放棄をすることなくしては協議なしと言いつつ、しかしながら北朝鮮とは平和的な解決を目指すと言っているわけなんですけれども、イラクと北朝鮮へのアメリカの対応の差というのはどういうふうにとらえていらっしゃいますか。

国務大臣(川口順子君) 北朝鮮に対しては、今、委員がおっしゃったように、それから先ほど別な委員もおっしゃいましたけれども、再処理施設、これの稼働をしてはいけない、そしてもう一つはミサイルの、弾道ミサイルの発射実験をしてはいけない、この二つはしては絶対にならないというメッセージは日本も送っていますし、ほかの関係国もみんな送っています。そして、問題を平和的に解決する必要があるということについても、世界じゅうの国と言ってもいいと思いますが、みんな一致をしているところです。

 それで、このイラクとの違いですけれども、そういう意味では世界の国々が全部この問題は北朝鮮は平和的に解決をする必要があると思っているということです。大量破壊兵器にかかわる問題についての懸念、これはイラクの場合には生物兵器、化学兵器である方が核よりは大きな問題になっているわけですし、北朝鮮の場合には各国の懸念は核にあるわけですけれども、そういった違いはありますが、大量破壊兵器の問題についての懸念であるということは同じ懸念であるかもしれませんが、解決方法について、これは異なるということはみんなが共有している認識だと思います。

 それはなぜかというと、イラクについては、一連の十二年間の、イラクが国連の過去の決議を守ってこなかったという実態があるわけでして、昨年、最後の機会を与えられて、それでもなお動かなかったということがあるわけですが、北朝鮮の場合には、例えば六七八に当たる決議があるわけではないというようなことで、問題の、それで査察も最近まではいたわけでして、大分形態といいますか、性格が違うということだと思います。

広中和歌子君 片や疑惑であり、片や本当に核を持っている国、その、それによっての対応の違いではなかろうかななんて思ってしまいます。

 ところで、防衛庁長官にお伺いしたいんですが、一九九八年でしたか、ノドン、テポドンでした、テポドンが撃たれましたよね。そのとき、防衛庁はどういうふうにそれを受け止められ、そして、その後どういう対応を取られたのでしょうか。そして、今後そうした、彼らの意図なりなんなりは実験だというようなことなんですけれども、またそのような脅しともからかいともつかないようなことをされたときの、我が国の対応というのはどういうことになるんでしょうか。

副長官(赤城徳彦君) お尋ねの、まず平成十年のミサイル発射のときの対応についてでございますけれども、八月三十一日にミサイルが発射されました。防衛庁としては、平素から警戒監視に努めておりまして、海上自衛隊の哨戒機、P3Cですけれども、これが我が国周辺の海域における状況を監視するとか、そういう艦艇を配備しております。そのときの、弾道ミサイルの発射に関する情報を得た場合、その艦艇や航空機の監視体制を強化すると、こういうことでやっております。

 お尋ねのこの八月三十一日、ミサイル発射でございましたが、八月の中旬ごろから情報収集体制を強化しておりました。最終的にはいろいろ状況の変化ありましたけれども、最大規模として、海上自衛隊のイージス艦一隻を含む護衛艦二隻、航空自衛隊の早期警戒機E2C等航空機四機を配備して情報収集活動を実施したということでございます。

 なお、発射後、九月一日と二日の二日間、物体が落下した可能性のある海域に艦艇、航空機を派遣して落下物の捜索を行ったわけですが、落下物の破片などは発見されなかったと、こういうことでございます。そのときは、北朝鮮側が衛星の発射だとか、いろいろこう言ったわけで、なかなかその意図というのは量りかねるところがございます。

 今後、そういうことがあった場合どうかと、こういうことでございますけれども、そのときも、その当時もそうでしたけれども、どういう意図、またどういう形でその発射が行われるかということがなかなか一概には言えないところがございますし、また、北朝鮮という国が閉鎖的なところがございますので、なかなかそれを推し量るのが難しいということがございます。

 その上で、弾道ミサイルの発射が我が国に対する武力攻撃であると、こういうふうに判断された場合には、自衛隊法七十六条の規定に基づきまして防衛出動によって対処すると、こういうことになります。

 一方、武力攻撃であるということが判断できない場合には、自衛隊としては最大限取り得る対応を考えた場合には、弾道ミサイルの着弾又は落下によって生じた被害を最小限にとどめるという観点から、災害派遣を実施したり、あるいは情報収集体制を強化して事態の把握に努めると、こういうことになろうかと思います。

広中和歌子君 もし、仮に本土、我が国本土をねらうものでなかったとしても、どのような意図があるにせよ、我が国の方に向かってきたそれ、弾道ミサイルに対して、我が国は独自で防衛能力を持っているのか、対応能力があるのか、防衛庁長官に伺います。

国務大臣(石破茂君) 今、副長官からお答えを申し上げましたが、よく、ミサイルが飛んできて災害派遣とは何事だと、こういうおしかりをいただくことがあるのですが、これが本当に、我が国はですね、我が国はというのはかの国のことですが、我が国は衛星の実験を行うのである、衛星を打ち上げるのであるとか言われて打った、それがたまたま着弾してしまった、そこにはもう弾薬も何もありませんで、本当に事故かもしれなかったという場合に、これ防衛出動というのは相当無理があるんだろうと思っています。

 つまり、防衛出動というのは、我が国に対する組織的、計画的な武力の行使ということになっておりますわけで、これで防衛出動で対応するというのは極めて難しい。

 ただ、先生御案内のとおり、防衛出動というのは、おそれがある場合でも下令はできます。おそれがあるということで、それはもちろん相当の蓋然性というか客観的にそういう状況が高まらなければいけませんが、防衛出動を下令することはできます。

 しかし、それに対して、防衛出動を下令しても、我が国が自衛権の行使として武力を行使しますためには、御存じのとおり、急迫不正の侵害があり、ほかに取るべき手段がなく、かてて加えて必要最小限ということが自衛権発動の三要件として必要なわけでございます。

 お尋ねの、じゃ何ができるんだと。我が国に対して本当に組織的、計画的な武力の行使としてミサイルが発射をされたという場合に、何ができるかといいますと、これは、実際にそれを撃ち落とすような能力は我が国は持っておりません。我が国のみならず、世界じゅうどこもそんなものは持っておりません。

 現在、イラクで行われております戦争において、北、失礼、イラクが発射したミサイルが落とされておるではないかというふうな御指摘もございますが、あれは射程の短いスカッドのような、五百キロとか、そのような射程の短い、よって落下速度の遅い、そういうようなミサイルを撃ち落とすことができる能力を、確かにパトリオットのPAC2あるいはPAC3というのは持っております。しかし、北朝鮮から、例えば日本のように、千三百キロということになりますと、それは射程も長い、よって落下速度も非常に速い、それを撃ち落とすようなミサイルシステムというものは、合衆国も含めて世界じゅう、どこも持っておりません。

 ただ、昨年の暮れ、アメリカ合衆国において、そのようなミサイルシステムというもの、つまり洋上配備型、そしてまた地上固定型、地上移動型、その三つの組合せによるミサイル防衛システムというものを今後導入するというような発表があったところでございます。

広中和歌子君 アメリカの我が国に存在していること、我が国が基地を提供し、アメリカが我が国の沖縄を中心として存在していることが、それだったら抑止力というんでしょうか、になっているとお考えでございますか。

国務大臣(石破茂君) これは抑止力だと思っております。
 すなわち、総理がよくおっしゃいますように、日本を攻撃するということは、すなわちアメリカ合衆国を攻撃するということなのだという表明を合衆国は行っておるわけでございます。それは日米安全保障条約もそうでございますし、三木総理大臣とフォード大統領が会談をいたしましたときも、そのことの言明はございます。そしてまた、日米防衛協力の指針におきましても、必要な打撃力の行使を考慮するというような形になっております。

 そういたしますと、日本に対する攻撃をした場合には、合衆国が打撃力を行使する、弾道ミサイルについては打撃力の行使を行うということになっておりますわけで、それは私は抑止力なんだというふうに思っております。

 ただ、この抑止力というものが、核抑止力というものと通常兵器による抑止力というものがある。核兵器による抑止力でも、懲罰的抑止力と拒否的抑止力と、いろんなものが分かれます。

 日本の場合には、それは核の抑止力というものも、当然、日本には核兵器というものは持ち込まれておらないという前提において申し上げるので、沖縄にあることがそのままそれにつながるということを申し上げるつもりは私は全くございませんが。そういう通常兵器による抑止力あるいは米本土、あるいは艦船等々からの核抑止力というものを考えましたときに、それは抑止力として効果を表しておるというふうに私は考えておるところでございます。

広中和歌子君 実を言うと、テポドンが飛んでまいりましたときに、私が非常にある種の危機感を一素人なりに持ったのは、多分北朝鮮だけじゃないだろうと、そういう弾道ミサイルを持っている国というのは。そういうことに対して、我が国がどういう形で防衛されるんだろうかということであったんですが、それについて防衛庁長官は何かコメントがありましたら、お聞きしたいと思います。

 それから、ついでに聞かせていただきます。
 イージス艦を日本は四隻持っておりますよね。一隻千三百億という非常に高価なものでございますけれども、それが情報収集とそれから対応能力があるといっても非常に限定されたものであると。あの導入が決まったときは、日本が非常に貿易摩擦をアメリカに対して起こしているときでして、大幅な貿易黒字を持っているその解消として何か約束ができたような気がいたしますけれども、イージス艦のような高価なものを買って、そして今二隻が日本海側にいるんですか、だけれども、どのような役に立っているのかという、そういうことも含めまして、ともかく日本というアジアの極東にある国が自分たちを守るということがどういうことで可能なのか。本当にそういうことが可能なのかどうかというお考えを伺わせていただきたいと思います。

国務大臣(石破茂君) 特定の脅威というものを想定をしておるわけではございません。ただ、北朝鮮について申し上げれば、かつてノドンミサイルが日本海に撃ち込まれたと。そしてまた、テポドンというものが日本列島を飛び越えて太平洋に着弾をしたと。あるいはケリー次官補の発言のように、次官か発言のように、核というものを開発を進めておるということがある。私どもは、脅威だというふうに申し上げておるわけではございませんが、そういう事象というものに重大な懸念を持っておるわけでございます。

 じゃ、そのほかについてはどうなのかというふうに問われますと、これは、これも特定の国を指して脅威というものが存在するということを前提に私どもは防衛政策を組み立てておるわけではございません。ただし、新しい時代の新しい脅威というものを考えましたときに、本当に想像もしないような、つまり国家というものであれば守るべき国土や守るべき国民を持っております。そして、国家というものであれば、例えばNPTであってもCTBTであっても、条約というものの縛りが利くわけでございますし、国連というものも機能するわけであります。

 ところが、これがテロリストとか集団とかいうことになりますと、守るべき国家とか守るべき国民というものを持っておりません。また条約とか国際組織というものの制約も受けるものではございません。そういう勢力に大量破壊兵器というものが拡散をしていく、あるいはその運搬手段たるミサイルというものが拡散をしていくというような脅威に対して、私どもはどのようにして国の独立と安全を守るという観点から国民に対して責任が果たせるかということは考えていかねばならないことだと思っております。

 それから、加えましてイージス艦の御質問でございますが、確かにイージス艦は一隻千二百億ないし千三百億するものでございます。通常の護衛艦に比べまして、単純な比較は困難でございますが、倍以上するというようなことだというふうに思っています。導入の経緯は、委員が御指摘のように、貿易摩擦を減らすためだというような御指摘もありました。それが事実であったかどうか私は存じませんが、そのような御指摘もありました。何のためにこんな船入れるのという話もありました。

 しかし、今日考えてみますときに、イージス艦が一つは持っております高い防空能力あるいは高い水上索敵能力というものは、何も我が国の脅威はミサイルだけではございません、今も、例えばジェット戦闘機というものもあるわけです。そうしますと、イージス艦というものは、それが高い防空能力、今までの護衛艦であれば、従来型の護衛艦であれば索敵ができなかったような目標をとらえ、そして回避をすることができる。そして、仮に日本船籍の船を護衛しておるとするならば、こういうものが近付いているからここにいてはいけないというような、そういうような情報の提供もすることができる。やっぱり私は、高い防空能力あるいは高い水上索敵能力というものは私は今後も高い価値を持つものだというふうに思っております。

 ミサイル防衛について、よくイージス艦は万能だみたいな議論がございまして、イージス艦があれば何だってできるんだというようなお話がございますが、それは間違いでございます。イージス艦一隻だけでミサイル防衛ができるようなことであれば、こんなにミサイル防衛の議論が難航するはずはございません。イージス艦だけでミサイル防衛というものはできません。

 ただ、テポドンが発射されましたときに、日本のイージス艦が、北朝鮮があれは衛星であるというふうに申しましたが、それは違うと、これは弾道ミサイル実験の可能性が高いということを指摘をいたしました。すなわち、その弾道ミサイルというものがどういうような軌跡をたどり、どういうような航跡をたどって、どの地点に落下をするかというようなことを識別する能力というものはある程度イージス艦は有しております。そういう意味で、イージス艦が我が国の防衛力あるいは抑止力、果たす役割というものは私は大きなものがあるというような認識をいたしておるところでございます。

広中和歌子君 いずれにしても高い買物だなと思います。
 先ほど長官もおっしゃいましたように、これからの戦争というのは、どちらかというと国際条約なり様々な枠組みの中で戦争をまず起こさない形を取るという中で、しかしながら、正規軍による戦争よりも、ゲリラ戦とか不審船とか拉致とか、何か今までの形とは違った戦争が起こり得ると。それに対する対応というのは、必ずしも高度な装備を必要としないといったような新たな時代に対応して、防衛予算なりそれからいろいろ、何というんでしょうね、素人なものですから言葉が出ませんけれども、ともかく防衛の今までのやり方と違った形があり得るんではないかなと。もう既にそういうことを考えながら予算に反映していらっしゃるのか、装備に反映していらっしゃるのかということをお伺いします。

 先ほど、海上保安庁だけではなくて海上自衛隊も一緒になって我が国の沿岸を守るというような御発言をなさいましたけれども、これは是非やっていただかなければならないと本当に思います。幸いにして、我が国は他国と国境を陸で接していない。それは本当に有り難いことなんですけれども、しかしながら、海というのは、我が国は島国ですからどこからでも入り込まれるという、そういう意味におきまして、海上における防衛というのでしょうか警備というのは非常に大切だと思いますが、コメントをお願いいたします。

国務大臣(石破茂君) 冒頭、予算に対するお尋ねのところでも少しお答えを申し上げたところでございますが、例えていいますと、今、舞鶴に配備をいたしておりますが、二百トンクラスのミサイル艇というものを、はやぶさ型と申しますが、それを配備をいたしております。例えば、工作船のようなものに大きな護衛艦を出しましても、これはもう向こうは何しろ四十九で走るような船ですから、やたらめったら速いと。護衛艦が四十ノットも出して走れるわけはございませんので、もちろんそういう工作船というものを阻止しますために護衛艦というものが果たす役割もございますが、それがメーンではない。速いスピードで走ることができ、そしてまた小回りが利いてというような船を導入をいたしております。

 あるいは、もちろん海上保安庁だけでは対応できない場合にどうするのだというときに、では私どもの海上自衛隊員がそういうような能力を持てるかという議論もございました。そういうような能力というものも持っていかねばなりません。それは陸においても同様でございまして、これを仮称、仮の呼び名で特殊作戦群というふうに申しますけれども、そういうものを新編を行っておるところでございます。

 これは重ねて申し上げますが、何でもかんでも自衛隊がやるというようなことを私どもは考えておるわけではございません。もちろん治安出動にいたしましても海上警備行動にいたしましても、使うのは警察権であって自衛権ではありません。しかし、外目には、外目には軍隊が出てきたというふうに映るわけです。自衛隊は自衛隊だと、軍隊であるというふうは国内的には言っておりませんが、それは外目には軍隊が動いたというふうに見えるわけであります。

 そうしますと、その出動というものは非常にこう慎重であらねばならないということだと思っています。海上保安庁では対応できない、警察では対応できないということになった場合に自衛隊が出るということだと思います。

 ただ、それが慎重である余り事態の拡大を招いてしまったとか、無用な犠牲が生じたとかいうことであってはなりませんので、先ほど月原委員の御質問にもお答えをしたことでございますが、そこのところは海上保安庁や警察ともよく連携をしながら国民の生命、財産に責任を果たしてまいりたいというふうに考えております。

広中和歌子君 どうもありがとうございました。
 じゃ、今度は外務大臣にお伺いいたしますけれども、今回のアメリカのイラク攻撃については戦費の負担はないというふうに今までおっしゃっていたわけですが、今日ラジオで聞いたところによりますと、アメリカは当然それを期待するというふうに、特に日本を名指しでじゃないですよ、戦費が非常に掛かるという中で、ほかの国にも負担を求めてくることが考えられるというようなことが報道されておりましたけれども、それについてどういうふうにお考えでしょうか。

国務大臣(川口順子君) 日本は戦費を負担するということはありません。
 それから、米国からそれを求められたこともありません。

広中和歌子君 前回の湾岸戦争のときに、日本は百三十億あるいは百四十億のお金を出しましたよね。
 アメリカは、その部分が戦費でどの部分が戦費じゃないというようなことはいたしませんで、全体のその掛かった戦費の中で、アメリカ自身が国家予算の中から払ったのは五%で、残りはよその国から払った。クウェートも払ったでしょうし、サウジアラビアも払ったでしょうし、その中には日本も含まれているんじゃないんですか。それプラス戦後の復興というのがあるのではないかと思うんですが、いかがでしょう。

国務大臣(川口順子君) 前回は基金を作って、それで基金に沿って日本がその支援のための拠出をしたということでございます。それで、その拠出金の使途を資金協力、それから資機材の調達、輸送、据付け、要するに物資協力ですね、ということでやったということです。

 それで、今回について、例えばその掛かったお金の何%とか、そういうお話は全く今、日本には来ていません。
 いずれにしても、日本は戦費を負担するということは考えていないということです。

広中和歌子君 ただ、同盟国でもありますし、支持も表明したということであれば、当然それなりの負担をしなければならないというのは国として覚悟を決めていらっしゃるんじゃないんですか。

国務大臣(川口順子君) 我が国としては、政府の対応方針でも発表させていただきましたけれども、難民支援ですとか周辺国支援ですとか、それからいずれ復興をするという段階になったときには復興の支援といったようなことについてはやる考えを持っております。

 ただ、いずれにしてもその戦費の負担をするということは考えていません。

広中和歌子君 戦費ということに、名前にこだわっていらっしゃるんじゃないかと思いますけれども、ともかくトータルの中で日本は応分の負担をしなければならないということなんではないかと思いますが、その復興支援という形を取りましても、そのお金の出どころというのはODA予算では到底足りませんよね。どういうふうに考えていらっしゃいますか。

国務大臣(川口順子君) その難民支援、周辺国支援、例えばヨルダンに向けて一億ドルという発表をさせていただきましたし、パレスチナに対しても五億円ですけれども、発表させていただきましたけれども、そういったお金は、これはODAの中から支出をしているということです。

 それで、その復興について、日本として応分のといいますか、日本がやるのにふさわしい国際的な役割を果たすつもりはありますけれども、今の段階でどのような復興、復旧の形になるのかということは全く分からない。これは戦争がどのように、どれぐらい続いてどれぐらい、どういう終わり方をするかということによるわけでございまして、今の段階で具体的にそのために日本は何をするとかというふうには考えてまだおりません。

広中和歌子君 ともかく、今朝のテレビで、アメリカの政府は議会に対して九兆ドルの、九兆ドルですよ、新たな、(発言する者あり)あっ、円ですか、ごめんなさい。九兆円ですよね。いずれにしても、ごめんなさい、九兆円を議会に対して求めているということが言われておりました。ともかく、私たち日本の国はそれなりの覚悟をしなければならないんではないかと思います。

 ところで、片方、我が国の防衛費というのは一%、よその国に比べて非常に少ないと思います。しかしながら、我が国としては人間の安全保障を含めまして様々な形でODAをやっていくということで、それこそ貿易摩擦の時期に戻りますと、日本はODAで一%ぐらいをしてもいいんじゃないかと。特に、環境とか貧困とか、そういった問題に関して一%ぐらいしてもいいんじゃないかというようなプレッシャーがアメリカの議員の中から掛かったことがあるんですけれども、日本はODAはGDP比で〇・二%台でございますよね。決して減ることはあっても増えないような状況でございますけれども、それについて川口大臣としては積極的な予算に関して働き掛けをしていただきたいと思うんでございますけれども、いかがでございましょうか。

国務大臣(川口順子君) ODAの予算、ODAというのは、私は我が国が外交をやっていく上で非常に重要なツールであると思います。

 人間の安全保障という話がありますけれども、それですとか、あるいは平和の定着とか、我が国が外交の柱として重要だと考えていることを実際にやっていくためにODAは必要でございます。そういう意味で、そのODAが過去五年間で約二割減ったということは私は大変に残念だと思っていまして、来年度の予算についてはODAの減り幅を極力少なくするということで、財務大臣の御理解もいただいて、今まで一〇%ぐらいという減り方だったのを、その前の年、二年ぐらい続いて一〇%ずつ減ってきましたのを五%台の減り方に抑えることができたということで、今後引き続き予算の確保については全力を注ぎたいと思っておりますけれども、是非、民主党もODAの予算を半分にするというような予算案をお作りにならないで、御支援をいただきたいと思います。

広中和歌子君 いや、もしそういう議員がいたとしたらもう私は口を利きませんけれども。
 国際問題調査会でODAについていろいろ議論したことがございます。多くの議員にとっては、やはりODA予算を増やすということは決して票にはならないというようなことで、心の中では思っていてもなかなかその活動に反映されないということがあるわけでございますけれども、是非この部分に関しては外務省頑張っていただきたいと、もう応援団でございます。

 例えば、草の根支援が今、百億円、九十九億円ですか、に達したということですけれども、これはもう是非それを少なくとも十倍にしていただきたいということです。それから、NGOを通じての支援、これもまだ、むしろ去年よりも減っているような感じで、額も非常に少ないわけです。この点についても、やはりこれからの分野として是非頑張っていただきたい。お金の額としてはそれほど多くなくても、与えるインパクトというんでしょうか、それは非常に大きいんではなかろうかと思います。それから、国際機関を通じての支援というのも、特にユニセフとかUNEPとかUNDPとか余り減らないところもありますけれども、大幅に減らされているところもある。非常に残念なことだと思っています。

 それから、昨日あるところから聞いたんですが、ハンガリーという国で、共産党政権から新しい政権になった、冷戦後、一%法というのを作ったそうでございまして、国民が払う税金、その一%を自分が望むNGOに寄附をすると。必ずしもすべての人がそういうデジグネーションというんでしょうか指定をしないんですけれども、今現時点でハンガリーでは三〇%ぐらいの人がそういうことを行っていて、それがひいてはNGO活動を活性化させていると、そういう結果になるという、そういう話を聞いてまいりました。

 日本でも是非そうした法案が少なくとも議員立法で生まれればいいなと思っているところでございますけれども、そういうことも含めまして、外務省の御方針というのを伺わせていただければと思います。

国務大臣(川口順子君) ODAについての温かい御理解と応援をどうもありがとうございます。NGOについては重要だと思っております。

 それで、十五年度の予算では、NGO支援の無償ということでは二十二億円で、厳しい中でこれは前年比二億円増にいたしました。それから、草の根・人間の安全保障無償、これは前年度から五十億増やしまして百五十億円と、この分野には非常に力を入れた、全体ODAの減る中でめり張りの配分にしております。それから、国際機関、これは残念ながら全体として減らさざるを得なかったんですけれども、重要なところとそうでないところとめり張りを付けたということでございます。

 外務省としても引き続き、予算を増やすということのためにいろいろな努力をしていきたいと考えております。特に、NGOの支援ということは重要だと思います。日本全体として、本当に、国会でのいろいろな御議論も始め、NGOの支援をどうやってしていったらいいかということの議論が高まっていくということを期待をいたしております。外務省も頑張りたいと思っています。

広中和歌子君 どうもありがとうございました。


【付帯決議案】

広中和歌子君 私は、ただいま可決されました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、国会改革連絡会及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。

 案文を朗読いたします。  

  在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 

 米国等によるイラクに対する武力行使が開始されるなど、我が国を取り巻く国際環境が大きく変動し、外交を担う外務省の真価が問われている今日、外交実施体制、外務省における危機管理体制の強化は喫緊の課題であり、そのためにも機構改革を含む外務省改革の早期実現が必要不可欠である。また、長引くデフレ不況の下、多くの国民が失業に苦しみ、構造改革の痛みにさらされる中で、外務省においても手当や休暇の見直しにおいて引き続きこうした事実を重く受け止めていく必要がある。これらを踏まえ、政府は本法の施行に当たり、次の事項について検討の上、適切な措置を講ずるべきである。


 一、外務省においては、外交機能強化のための抜本的な組織・制度の改革の早期実現に向け全力で取り組むこと。
 二、在外職員の在勤基本手当を始めとする在勤手当については、国内の財政状況や外交活動を推進する上での必要性を踏まえ、定期的に在勤手当全般にわたる内容の見直しを行うこと。
 三、在勤諸手当についてはその算出根拠を明確にするとともに、手当の改正に際しては各任地における諸外国外交官及び日本企業駐在員の給与制度及び水準を参考としつつ、勤務条件・現地の生活環境や物価水準等に配慮した適切な水準・内容となるよう努めること。
 四、現下の国際情勢にかんがみ、在外公館においては、緊急事態における邦人の救援保護を含む在外邦人安全対策についてより一層の機能強化を図ること。
 五、以上の項目に関する具体的な実施内容・状況・結果などについて、当委員会に対し、定期的並びに当委員会の要請に応じて報告を行うこと。  
 右決議する。

 以上でございます。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

【全会一致で委員会決議に決定】【全会一致で委員会決議に決定】