第156回 外交防衛委員会
2003年3月25日(火)
○外交、防衛等に関する調査
(米国等の対イラク武力行使に関する件)
(イラク問題に伴う国内テロ対策等に関する件)
(イラクの復旧・復興支援、周辺地域への支援等に関する件)
(北朝鮮情勢に関する件)
(ミサイル防衛に関する件)
(テロ対策特措法に基づく協力支援活動に関する件)
☆答弁者:川口順子外務大臣
○広中和歌子君 民主党の広中でございます。
イラク問題をめぐりまして、過去数か月、そして特に最近のこの数週間というもの、外務大臣、防衛庁長官、官邸、そしてスタッフの皆様、昼夜を分かたない情報収集とか分析、そしてまた決断をなさらなければならなかったと、そういうことに対して心からのねぎらいの気持ちを表させていただきたいと思います。
しかしながら、戦争は残念ながら三月二十一日に始まってしまいました。民主党はこの戦争に反対でございます。参議院本会議で民主党・新緑風会を代表して、一日も早い停戦を求め、私は総理に対して質問を行いました。川口大臣に対しても、また防衛庁長官に対しましても同じ思いであることを最初に申し述べさせていただきたいと思います。
戦争が始まったもうその直後に、日本としてはアメリカへの支持を表明なさいました。しかし、アメリカへの支持というのは、日本としてはいつごろお決めになったんでございましょうか。
○国務大臣(川口順子君) いつごろ決めたかということでございますけれども、これは、総理もどこかでおっしゃっていらっしゃいましたが、ブッシュ大統領が、戦争自体への支持ですね、それはブッシュ大統領が戦争をするその開戦のスピーチをなさったということ、そのころでございます。
○広中和歌子君 しかし、日本はアメリカに対してアンコンディショナルな支持をもう最初から決めていらっしゃったんじゃないんですか。
○国務大臣(川口順子君) この問題について、これは私も、それから総理も国会等でお話をしていましたように、我が国としては、平和的に、そして国際協調の下で解決をされるということが重要であるというふうに考えておりまして、そういう旨の働き掛けを随所に行ってまいりました。
それで、十八日の日だったかと思いますけれども、ブッシュ大統領が演説をして、サダム・フセインに対して四十八時間の時間を与えてという演説がございましたけれども、総理もどこかでおっしゃっていらっしゃいましたけれども、それが終わった、それを聞いた後、引き続き日本としてはまだ平和的に四十八時間以内にサダム・フセインが国を出れば平和的に解決をする可能性はあるというふうに思っておりましたけれども、万が一それが実らなかった場合、そういうことにならなかった場合には米国がそこで武力行使をその後するということであれば、それはその支持をすることになるだろうというふうに考えたということでございます。
○広中和歌子君 民主党だけではなくて、ほかの野党も含めまして、政府に非常に厳しい質問をし続けていたわけです。つまり、何というんでしょうか、ブッシュ政権のイラクへの攻撃まずありきといったようなものが見え見えでございましたから、いろいろな形で質問をいたしましたところ、少なくとも川口大臣に関して言えば、圧力というのは一致協力して乱れなく与えなければならないと、そして本気でそうした圧力を掛けなければ譲歩を引き出すことはないというような形で、まず譲歩を求めていらしたわけですよね。そして、戦争を避けたいというふうに思っていらした。ですから、私たちは、少なくとも私は、そういうこともあるんだろうということで見守ってきたわけです。そして、多分、圧力が効いたこともあって、イラクのフセインは、大統領は、査察を、どのような評価をするかは別といたしまして、査察を従容として受け入れながらこういうふうに進展してきたはずじゃございませんか。
それなのに、もう既に国連の場におきまして原口国連大使が、日本はアメリカを支持すると、正にアンコンディショナルな、無条件な支持を表明なさっている、これは原口国連大使の要するに独断専行なんですか、伺います。
○国務大臣(川口順子君) 原口大使は二回演説をしていますけれども、二回とも独断専行ではございませんで、これは日本政府からの訓令に基づいて演説をしています。
それで、一回目の演説は新しい決議が必要だと考えるということでございますけれども、これは今、広中委員がおっしゃってくださったように、我が国として国際社会が一丸となって毅然とした態度でイラクに迫るということがイラクが査察に積極的に協力をしていくということのために是非必要であるというふうに考えておりまして、そういうことを国会でも私は言ってまいりました。それで、それを受けて、そのために何をするかということで、その一環として原口大使がそれを演説で言ったということでございます。
二回目の演説についても全く同じようなことでして、その演説の中身については国会で言ってきた以上のことを、その時点で新しいことを初めて言ったということは全くない。そこは十分に注意をして指示を国連本部に、代表部に出しております。
○広中和歌子君 ということは、川口大臣も、そして総理も、日本国政府としても、新しい国会決議に基づいて、そしてどうしても攻撃というのが必要であれば賛成すると、そういう条件付きであったはずですよね。
○国務大臣(川口順子君) 新しい国連決議が必要であるということは、正に国際社会が毅然として一体となって圧力を掛けるということが必要であって、それを表すために決議があった方がいいというふうに考えたということです。
私、日本政府として、例えば茂木副大臣を総理特使として三月の始めにバグダッドに派遣をいたしました。それから、私自身もここで、在京の大使、臨時代理大使、シャーキル大使とお話をしました。
そこで、強く感じましたのは、国際社会が二つに分かれていた、国連安保理での議論で分かれていたということがいかにイラクに対して間違ったメッセージを送っているかということです。イラクは、自分が積極的に対応を、プロアクティブにと英語では言いますけれども、しなくても時間はまだまだあるというふうに感じていたということは私どもも、私も、それから茂木副大臣もそれを言葉の端々から感じていたわけで、それではイラクが前向きに対応をしない。イラクが前向きに対応することが平和的に解決をするための一番大事なかぎであるというふうに日本政府としては思っていましたし、その旨をイラクに伝えて、前向きに対応をするように、査察に協力をして、自ら武装解除をするようにということを言っていたということです。
○広中和歌子君 湾岸戦争のときに、一九九二年でしたか一年でしたか、あのときにかなりの武力、イラクの兵器はたたかれたわけですよね。そして、その後、査察、国連の査察官が入り、途中で中断はいたしましたけれども、その八割が破壊されたというふうに伺っております。そしてさらに、今回の査察であと数か月続ければ所期の目的は達することができたんではないかと、そのようにお思いになりませんか。お伺いします。
○国務大臣(川口順子君) ブリックス委員長が、三月の初めだったでしょうか、国連で発言をしたことの中に、イラクについて二つの条件、すなわち、一つはイラクが自ら情報開示をするということをやるプロアクティブな態度がある。それからもう一つは、圧力が十分にイラクに対して掛けられる。二つのことがあって、それでもまだ数か月掛かるということを言っていて、そのときに、二十九項目にわたってまだイラクが積極的に対応していないデータを出しているわけですね。
この二つの条件が果たして満たされるかどうか。イラクが積極的に対応しているかどうかということは、これはすべての国連の安保理の理事国が合意をしているように、やっていない。ブリックスもエルバラダイも十分ではないと言っているわけですね。
それから、圧力の存在。これは米国の二十何万の軍隊が周りにいて、それでもまだ小出しにしか出さないで、そういう状況であって、数か月間そういった圧力を掛け続けるということが現実的かどうかという観点から考えないといけないと思います。
それから、三月十九日の時点で、イラク問題についての安保理の公開会合で、これはブリックス委員長が言っていることですけれども、どのよううなアプローチが取られようとも、結果はイラクによる実質面での能動的協力次第である。ブリックスは、その能動的協力が得られているとは言っていないんですね。
それから、前回の安保理報告以降、イラクは未解決の問題に関する数通の書簡を更に提出をした。イラクによるこれらの努力は認められなければならないが、情報の価値は冷静に判断されなければならない。UNMOVICの分析官は、残された問題の解決に資する実質面での新たな情報はこれまでのところ限られている、リミテッドであるとしているということを言っているわけです。
○広中和歌子君 私は、今日、昨日も今日もテレビを見ました。大臣もごらんになったと思います。そしてまた、ある都心の建物のかなり高いところから、窓の外から町を見ていたわけですけれども、イラクのあのバグダッドにもし私がいたらという想像をせざるを得ません。本当にすごい破壊です。もう少し外交的な努力を続けることができたとしたら避けられた戦争であるんではないんですか。人道的な立場から、本当に私は怒りに胸がたぎる思いがいたします。
昨年のことでございましたけれども、名前は言いませんけれども、アメリカの議員に会いました。もう既にアメリカは兵力を現地に派遣している、そして三月までに戦争を始めなければ、それ以降の戦争というのは、地上戦というのは不可能であると。それは多分、天候の具合、砂嵐とそれから熱射だろうと思います。
そういうようなことで、いったん進めた兵をおめおめと引き返せないという状況にアメリカは置いた。これは一つのプレッシャーだと考えればそれで受け止められるわけですけれども、そのプレッシャーを、その兵力を戦わずにして引き揚げるということは、アメリカのブッシュ大統領にとっては正にメンツがつぶれるというのか、そういうことになるんではないか。だから、初めからアメリカは戦争する気でやっていたんではないか。
それに対して、そうした想像力を働かせていらしてあえてアメリカを支持していたのか、それとも想像力を働かせなかったのか分かりませんけれども、私は余りにも情けない日本の対応だと思います。そして、アメリカ人というのは、言うことを唯々諾々として聞く人を決して尊敬しません。やはり言うべきことはきっちり言ってこなければならなかったはずですけれども、川口大臣はあるいは総理はどのようなことをアメリカに対して言っていらしたのかお伺いします。
○国務大臣(川口順子君) 二つのことをおっしゃったんですけれども、最初の方の御質問というか御意見について、私の感想でございますが申し上げれば、だれも戦争はやりたくない、私だって戦争というのは見ていられないと思います。それでありながら、それを止めることができたのはサダム・フセインだけであったということだと思います。サダム・フセインが大量破壊兵器について武装解除をするということが平和的に解決ができるかぎであった。このままあとしばらく外交努力をしたときに、それでサダム・フセインが果たして武装解除をしただろうか。日本としてできることを全部、かなりしたつもりです。それは、総理特使までバグダッドに送って副首相と二時間話をして、その結果、それでも全面的に武装解除をしますということは引き出すことができなかった。イラクは協力をしていますと言って全く協力を実際はしていないと、そういう状況であった。これをあと数か月やっていて、外交努力が実るような形になったか。これは私はそうではなかったというふうに思います。
戦争をしたくないという気持ちは、私は、アメリカ、ブッシュ大統領を始めみんなが持っていると思うんですね。この問題を戦争をするかしないかということの次元で議論をしてしまっては、問題の本質を忘れることになるんではないだろうかと。問題の本質は、大量破壊兵器があって、それが今後テロリストあるいはほかの国に伝わって、拡散して、全く罪のない私があるいは広中委員があるいはほかのだれかが、突然に、罪もないのにどこかで殺されてしまうことになるかもしれないということを、どうやって芽を摘んでおくかということであるかと思うんですね。
戦争はだれもしたくないです。それで、それを止めることができたのはサダム・フセイン。それを、私は、できなかったということについては、すべての原因はサダム・フセインにあると思います。
それから、アメリカの態度について、アメリカに非常に詳しくていらっしゃる広中委員のおっしゃっていることは私も事実だと思います。日本が言うべきことを言ったか。これはもう昨年の段階から言ってきました。国際協調が非常に重要である。それから、この問題はサダム・フセイン、イラク対アメリカではない。大量破壊兵器を持ったイラクと国際社会の問題であるということで、アメリカにはかなりを言ってきまして、その結果として、アメリカの様々な国連を舞台とする努力につながっていったと私は考えております。
○広中和歌子君 お伺いします。
それでは、これまでのところ、イラクは大量破壊兵器のたぐい、核・化学・生物兵器を使用していますか。
○国務大臣(川口順子君) 今回の戦争が始まって今までの間、六日間ですけれども、の間には使用していません。
ただ、八〇年代においてイランに対して、そしてクルド人に対して使って、両方合わせて三万数千人の人を死傷させたという実績は持っているということです。
○広中和歌子君 そういう悪いイラクであるんだったら、もし、化学、生物、そして核兵器を持っていたんだったら当然今度の戦争にも使いますよね。そういうふうにお思いになりますか。
○国務大臣(川口順子君) 私たちは、使わない、使うべきではないということをイラクに対しては言っているということです。
これは、私は、今日、昼に報道ベースで見たことですので、きちんと確認をしないでこういうことを申し上げるといけないかと思いますけれども、イラクの兵士の残していったものの中に防毒面、ガスマスクがあったという報道がございましたけれども、これは、BBCだったかCNNだったか忘れましたけれども、報道ベースでございますから、だからといって、それがそうであるというふうには必ずしも言い切れないと思いますが、そういう報道はありました。
○広中和歌子君 ここに、過去において悪いことをした少年がいるとします。かなり悪いことをした。しかし、ともかくこのまま放置しておけば更に悪いことをするだろうということで、裁判にも掛けずにいきなり首を絞め殺してしまうと、そういうようなことは法治国家として許されませんよね。何か、今度の戦争を見ておりますと、国際正義というのがどこにあるのかなと。やっぱり法と、国際法に基づいて秩序ある裁きというものがされなければならないんじゃないんでしょうか。
ともかく、もうそれこそ、今のイラクをたたくということは赤子の手をひねるようなものじゃないんですか。それでも、それでもですよ、彼らが抵抗するとしたら、最後の抵抗をするとしたら、彼らの愛国心であり、自分たちの国土、文化を守りたいという気持ちじゃないですか。そうしたら、ベトナム戦争みたいな長期化するような心配はないんですか。
そして、私は、アメリカが始めた戦争ではありますけれども、あそこに参加する兵士たち、とらわれた人たち、本当にかわいそうだと思います。やはり、日本としては平和に向けてもっともっと強力に発言、少なくとも世界に向かって発言しておくべきだったんじゃないんですか。
○国務大臣(川口順子君) 広中委員のお気持ちはよく分かります。よく分かりますけれども、私は、最初に挙げられた例というのは、これの例としては正しくないだろうと思います。
十二年の間、その少年に行動を正しくしなさいということを国際社会は言ってきたわけですね。それから、昨年の十一月に一四四一で最後の機会を与えたということは、イラクが今までの国連決議に対して違反な状態があるということを是正をする機会を与えているわけですね、国際社会が。それをイラクは使わなかった。
それから更に言えば、イギリスが最後の段階で出したノンペーパー、これは決して難しい条件ではないわけです。これは、大量破壊兵器を差し出し始めれば、イズ・イールディングという進行形になっているわけですから、それをし始めれば、そしてサダム・フセイン大統領がアラビア語で国民に向かって大量破壊兵器を廃棄しますということを演説をすれば、イラクは今までの国連決議を守ってきたと認めてあげますということなんですね。これは大ざっぱに言うとそういうことなんですけれども、それをイラクは拒否をしたということでして、国際社会はイラクに対して今までその是正をする機会を私は十分に与えてきたと思います。それをイラクは生かさなかったということが問題であるというふうに考えます。
○広中和歌子君 それなら、フランスやドイツやロシアや中国など、なぜ反対してきたのかと。ただ、もうこれ以上この問題については御質問を続けることはやめます。
今回の戦争で明らかに国連の権威が失われ、そして機能の低下というのが心配されるわけです。日本は、日米関係というのを非常に大切には考えておりますけれども、それと同時に、国連を中心とした外交というんでしょうか、それも非常にこれまで重視してきたわけです。日本は、そういった観点からも、国連の機能の回復というんでしょうか、権威の回復に向けてどのようなイニシアチブを取ろうとなさっているか、お伺いいたします。
○国務大臣(川口順子君) 現実問題として、国連の安保理のメンバーが、今、その考え方が、イラクに対して二つに分かれている状態にあるということはそうだと思います。
今度のことが国連の権威を落としたのか、あるいは逆なのかということについては、私は、全く異なった見方があると思います。
委員のお考えのように、安保理としてまとまった行動ができなかったから国連の権威、特に安保理の権威が落ちたという考え方をする人も非常に多いわけですけれども、私は、むしろ逆に、米国の意志の徹底ということが国連の権威を救ったのではないかというふうに思っています。
それはどういうことかといいますと、一四四一によって最後の機会を与えた、それで、フセイン大統領がそれに従わなかったという状態のままで国連は何もしないでいるということに対しては、ことになりますと、それは国連の権威がなくなるということですね。今後もし同じような国があって、その国に対して国連が最後の機会を与えても、イラクに何もしていなければ、何もしていないじゃないかということになって効き目がなくなるということになりかねませんので、そういう意味では、国連の権威を救ったという見方は私はあると思いますし、私はそうだと思います。
ということですけれども、日本としては、やはり国連の安保理が今後いろいろな状況で結束をして話をしていかなければいけない、そういう状態になるということが重要だと思います。これは、中長期的には、私は、国連の改革をやるということだろうと思っています。
国連が実際のところ一番うまく機能するというのは、拒否権を持っている国が合意があるというときに安保理は機能をよくできるというふうに作られているわけですから、その国連の安保理の姿が現在の国際社会を反映するようなそういう形で改革をされるということが重要で、日本は、今、一生懸命に改革をやっているということです。
短期的には、国連としてイラクの幾つかの、今、イラクをめぐる幾つかのことについて引き続き議論をしていかなければいけないということになると思います。例えば、戦争が終われば引き続き査察を続けるということも必要になるわけです。ですから、そういう観点で、メンバーでは今年はありませんけれども、日本として周りからそういった努力をしていきたいと考えています。
○広中和歌子君 EUという巨大な連合体ができたことは大変良かったことですけれども、それにも増してアメリカ一国の力というのが非常に巨大になっている。そういう中で、国連をバイパスして様々なことが、戦争を始めとして行われるようなことがないように、是非国連の、何というんでしょうか、機能回復を本当にやっていくことが必要ではなかろうかと思います。
そういう意味で、少なくとも復興支援、私は、壊しておいて、そしてそれを復興するために多大なお金、エネルギーを掛けるというのは、もう本当に愚かしいことだと思いますけれども、しかし、しなくちゃならない復興支援であるんだったら是非国連の枠組みを通してやっていただきたいと心からお願いして、私のここまでの質問を終わらせていただきます。
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