第154回 外交防衛委員会
2002年7月2日(火)
○外交、防衛等に関する調査
(韓国・北朝鮮警備艇の銃撃戦に関する件)
(不審船引揚げに関する件)
(我が国の難民政策に関する件)
(防衛庁情報開示請求者リスト作成事案に関する件)
(中国遺棄化学兵器に関する件)
(インド洋派遣自衛艦に対する米軍の戦術指揮統制に関する件)
(沖縄返還時の軍用地復元補償の密約報道に関する件)
☆答弁者
川口 順子 外務大臣
中谷 元 防衛庁長官
外務省アジア大洋州局長 田中均 君
海上保安庁長官 縄野 克彦 君
法務省入国管理局長 中尾 巧 君
○広中和歌子君 民主党の広中和歌子でございます。おはようございます。
日韓共同開催ワールドカップが終わりました。この一か月間、日本じゅうが久しぶりに一つになって燃えたと、そういう思いがいたします。隣国韓国と非常に仲良くなれたこともすばらしかったし、世界の国々が日本人のホスピタリティーを知ってくれたということ、これも私どもにとってはうれしいことではないかと思います。
こうした盛り上がりの後、一種のうたげの後の脱力感みたいなのがあるわけですけれども、日本を取り巻く状況というのは決して、何というんでしょうか、易しいものではなくて、ひっきりなしに外交問題が襲ってきていると。最も最近では、六月二十九日、北朝鮮と韓国が韓半島の西側ですか、黄海において武力衝突が起こって、その結果、少なくとも韓国側は四人が死亡し、一人が行方不明になっていると。
それで、御質問ですけれども、この南北交戦のいきさつとそのインパクトを日本政府としてはどのように受け止めていらっしゃるのか。今、同僚議員からも御質問があったわけですけれども、もう一度、同様の質問をさせていただきます。
○政府参考人(田中均君) 銃撃戦につきましては、先ほども御質問がございましたけれども、二十九日の時点で北朝鮮の方から北方限界線を越えて二隻の警備艇が侵入をしてきた。それに対して、かつ、北朝鮮側から警告なく射撃が行われた。韓国側も応戦をし、結果的に韓国側においては一隻が沈没をし、四名の人が死亡をし、一名が行方不明、多数のけがをした方が出たと、こういうことでございます。
これについて韓国側は、これは明らかに軍事停戦協定の違反であるということで、再発防止、責任者の処罰、謝罪の要求というものを出しております。これに対して北朝鮮側は、これは自衛のための措置である、北方境界線というのは一度も認めたことがない、むしろこれを機に軽挙妄動をするようなことがあってはならないと、こういう声明を出しているということでございます。
これについて日本政府としてどういう見解があるかということでございますけれども、これは昨日の日韓首脳会談で小泉総理から明らかにされましたけれども、日本政府としてはこういう事態を憂慮をしているということでございます。ただ同時に、この問題は、韓国側がこれまで対応をしてきているように冷静に対応をしていくという基本的な方針について、日本政府としてこういう韓国の政策を支持をしているということでございます。なおかつ、この問題を契機に朝鮮半島で緊張が高まる、こういうことがないようにしようというのが日韓両首脳の基本的な共通認識ということでございます。
それからもう一つ、これは大臣が御答弁されたことでございますけれども、金大中大統領は太陽政策の基調を維持していきたいということでございまして、小泉総理の方からもこれに対してそういう韓国の政策を支持するということでございます。
私どもとしては、更にこの問題の今後の帰趨というものを重大な関心を持って注視をしてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
○広中和歌子君 防衛庁長官にお伺いいたします。
防衛庁のある方の談話として、この事件に関してですけれども、ワールドカップ閉幕直前に、しかも韓国大統領訪日をねらった意図的な計画的なテロであると、そういう談話をある方が発表しているということを私は新聞で読んだわけでございますけれども、こうした談話についてどのように思われますか。それと同時に、防衛庁長官御自身がこの現在の状況をどのように把握していらっしゃるか、お伺いいたします。
○国務大臣(中谷元君) 防衛庁としては、そのようなワールドカップの関連とかいうようなことで断定はいたしておりません。
防衛庁といたしましての認識でございますけれども、事実関係としましては、韓国といたしましては国家安全保障会議を開催して北朝鮮の謝罪と再発防止を求めることなどを決定しておりますし、国連軍の司令部も休戦協定違反として板門店で将軍級の会議を開くことを提案をし、これに対して北朝鮮は韓国や国連軍の要求を拒否をしているといたしております。
この海域は九九年にも同時期にNLLを越境した北朝鮮軍艦艇と韓国側の艦艇との間で銃撃が行われておりまして、北朝鮮側の艦艇が沈没するという事案が生起しております。北朝鮮はNLLを無効として、これとは別に海上軍事境界線を主張しておりまして、六月前後もワタリガニの漁業の時期でもありまして例年越境事案が多くなっておりまして、先月の二十日にも、越境した北朝鮮の漁船に対して韓国海軍が立入検査を実施するなどの事案が生起をいたしております。
事実、どう見るかということでございますが、この事案以降、北朝鮮軍に特段の動きは確認をされておりません。また、韓国も金大中大統領が予定どおり訪日したことなどを踏まえましたら、事態がこれ以上悪化する可能性は低いと考えておりますが、今後とも北朝鮮の動向等を注視してまいりたいと考えております。
○広中和歌子君 差し当たって非常に韓国が冷静に対応しているということ、大変結構なことだと思いますけれども、今回の南北朝鮮の一時銃撃戦というのは我が国にとって決して対岸の火事ではないはずでございます。現に我が国でも昨年十二月に東シナ海で不審船事件が起き、相手の船は沈没しましたが、我が国の船も多く被弾をしたわけで、もっと大きな被害もあり得たわけでございます。
このような不審船事件が我が国周辺海域でどのくらいの頻度で起こっているのか、まずお伺いしたいと思います。
○政府参考人(縄野克彦君) これまでに海上保安庁が確認をいたしました不審船は、昨年十二月の不審船を含めまして、合計二十一隻でございます。
○広中和歌子君 この前の場合は沈没させたわけですけれども、させたのか、自らしたか分かりませんけれども、どういう形、いつも逃げられているという状況なんでしょうか。
○政府参考人(縄野克彦君) これまでに捕捉をした事例はございません。
○広中和歌子君 つまり逃げられているわけですよね。
こうした不審船に対応する我が国の海上巡視体制というのはどうなっているのかということでございますけれども、どのくらいの規模の船で対応していらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(縄野克彦君) 海上保安庁としましては、一義的にこのような不審船に対しましては警察機関である海上保安庁が対応するということで、私どもの体制は、高速特殊警備船、日本海側に三隻配備しておりますが、このような高速の警備のための装備をしました船、そういうものを中心に、大きな巡視船あるいはヘリコプター、そういうものを出没が想定されます海域に配備をしておるところでございます。
そのような船につきましては、前回の不審船でも指摘をされましたけれども、船あるいはヘリコプターの防弾化、あるいは停船命令を拒否する場合の停船のための私どもの射撃ができるような武器の装備、そういうものについて体制整備を進めておるところでございます。
私どもの体制がまだ不十分ではないかという御指摘がありますが、前回の不審船事案で関係省庁として検証、反省事項を取りまとめておりまして、私どもとしましても、そのような反省事項に沿いまして私どもの装備の推進、装備の整備の推進、そういうものを進めてまいりたいというふうに考えております。
○広中和歌子君 最初、不審船というのは日本の古い漁船を買い取って、北朝鮮かどこかの国が買い取ってそれを改造しているというふうに言われていたわけですけれども、その逃げるスピードとか何かが非常に速いと、しかも日本の巡視船が、巡視体制では対応できないぐらいのスピードであるというようなことが分かってその対応を少し変えていらっしゃると思うんですけれども、予算とかそれから整備の状況ですけれども、どのくらいの規模で今対応していらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(縄野克彦君) 不審船が元々漁船の形に似せておりますので、漁船を改造して速力が出るような形になっているということでありまして、一九九九年の能登沖の不審船事件では速度が非常に高いために私どもの巡視船艇では追い付くことができなかったということもございまして、先ほど申し上げましたように、巡視船艇の中で特に高速のものをその後、先ほど申し上げましたように日本海側に配備をしたところでございます。
私どもの予算でございますが、人件費を合わせまして約千七百億でございまして、人件費が約千億でございますので物件費が約七百億弱でございます。その中で船、飛行機を整備する予算は年間約百億でございます。そのほかに、補正予算等でテロ対策という観点から必要なものを昨年度も整備をさせていただいておるところでございます。
○広中和歌子君 私はこういう部分について専門家じゃないから分からないんですけれども、不審船が日本の古い漁船に見せ掛けて造り替えられたというのが本当ではなくて、むしろ見せ掛けて新しく造られていると、すごい性能を持っているというふうに聞いているわけでございまして、やはりこうした状況に、日本の近海の対応というんでしょうか、それも精度を上げていかなければならないんではないかという問題意識を申し上げたいと思います。
それから、昨年十二月、東シナ海で起きた不審船事件で、その船を引き揚げることに決めたわけですけれども、作業船が二十五日から現場に行き作業を開始している。これまでの潜水調査結果について御報告していただきたいんですが、報道によりますと、不審船の装備に、携帯用ロケットランチャーなどを加え、新たに地対空ミサイルと対空機関砲も備えていたと伝えられておりますけれども、これは事実かどうかということ。お伺いいたします。
○政府参考人(縄野克彦君) 不審船につきましては、今のような先生御指摘のような問題意識から、私どもも引揚げをした上で事実の解明を進めたいということで、まず二月末に水中カメラによりまして不審船の沈没位置を特定をいたしました。五月の初めに潜水士あるいは潜水艇によりまして船の状況を、引揚げに耐えられる状況になっているかどうかを調査をいたしました。あわせて、付近に散乱をしておりますものの一部を揚収をしているところでございます。
中国との調整を踏まえまして、六月の二十一日に政府としてこれを引き揚げるという決定をさせていただきました。今お話ございましたように、二十五日から引揚げ作業、現在は船の引揚げの邪魔になる散乱物の除去作業を行っておるところでございます。
お尋ねの、どのようなものが揚がったかでございますが、ロケットランチャーのようなもの、そういうものを含めまして武器について何点か揚収をしてございます。これらにつきましては、具体的にどのようなものであるか現在分析をしておるところでございます。
○広中和歌子君 こうした地対空ミサイルSA16ですか、と対空機関砲ZPU2はかなりな破壊力を持つと言われておりますけれども、強力なミサイルなどが搭載された不審船が日本海域に出没する事態をどう認識していらっしゃるのか。そして、今後の警備、監視体制、これは海上保安庁だけで十分なのか、防衛庁とどのような連携を図っていかれているのか、両方にお伺いいたします。
○政府参考人(縄野克彦君) 不審船がかなりの武器を持っているということは想定をされてきたわけでございます。今回、引揚げも含めましてそのような事実が更に明らかになっていく可能性もございます。
私どもとしましては、先ほど申し上げました政府としての、四月に取りまとめました検証事項の中にも触れてございますが、巡視船、私どもが対応する巡視船艇につきまして、先ほど申し上げましたようなその装備、残念ながらまだ防弾化とか一定の距離を取って停船をさせるための武器、十分であるということでもございませんので、そういうものを整備を進める。それから、まず私どもとしましてもそのような武器を持っている可能性があるという前提でオペレーションといいますか、不審船に対する対応を考えていく必要があるということでございます。
それから、後ほどお答えがあると思いますが、御存じのように、一義的に警察機関である海上保安庁が対応する、それで私どもの力では対応できないという場合には、自衛隊法による海上警備行動、警察、活動、行動としての海上警備行動の発令によりまして海上自衛隊によって、自衛隊によって対応するという仕組みがございますので、そのようなことも含めて日ごろから自衛隊との共同の対処につきまして、訓練、意思疎通を図っていきたいというふうに思っております。
○国務大臣(中谷元君) 防衛庁といたしましては、現在この調査が進められている段階でございますが、当該の不審船が逃走時に自動小銃やロケットランチャーのようなものによる攻撃を加えてきたように、当該の不審船が相当の武器を持っていたということは事実でございます。
こうした不審船に対しては、このような武器についても念頭に置きつつ、内閣官房を中心に関係省庁で事案の検証作業を行っておりまして、その結果に基づいて運用上及び装備上の改善を図ることといたしております。
主な内容といたしましては、運用上の改善として、早い段階から不審船情報を関係省庁間で共有をしまして、政府の初動方針を確認をいたします。また、不審船については海上保安庁が第一に対処いたしますが、工作船の可能性の高い不審船については、不測の事態に備え政府の方針として自衛隊の艦艇も当初から派遣をするということにいたしました。また、政府としての武装不審船の対応要領を策定をするということでございます。
装備上の措置といたしましては、不審船の追跡能力の向上、現場職員、隊員の安全対策のための措置を講じる等々をいたしておりまして、今後とも引き続き所要の検討作業を行ってまいりまして、不審船の対応について万全を期してまいりたいと考えております。
○広中和歌子君 私は、我が国の地形というものを考えたときに、島国でありますためによその国と国境、地上で、陸上で接していないということが非常にラッキーであるというような、そういう認識を持っていたわけですけれども、逆の見方をしますと、海に囲まれているということはどこからでも侵入されると、道路が要らないわけですから、どこからでも侵入されるという、そういう危険を持っているということを考えますと、これから海の警備というんでしょうか、海上のそうした警備体制というのが非常に大切になるんではないかというような認識を改めて持った次第でございまして、引き続き政府とされましてはこの問題に対して警戒を怠りなくしていただきたいとお願いする次第でございます。
さて、この沈没した船についてでございますが、政府は当初、中国への配慮から引揚げに慎重な空気があったような印象を持ちましたけれども、しかし、引揚げが認可されるといったような形になると。結果として様々なことが解明されるに違いないわけですが、今後、もしその船が北朝鮮の船だと分かった場合には、当然、北朝鮮との関係あるいは中国との関係も悪くなるのではないかと、そのように思われるわけですけれども、その点についての御所見をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(田中均君) 委員御指摘の点で何点かございますけれども、最初に、不審船の引揚げについて、中国のことをおもんぱかって慎重であったという御指摘がございましたが、それは必ずしもそうではないと思います。私ども一貫して本件は日本の近海で非常に重大な犯罪が犯された、それに対して徹底的な究明をすると、そのために外務省としても最大限の支援をするというのを基本方針としてまいりまして、段取りを踏んで引揚げに至ってきているということだと思います。
ただ、同時に、この問題については先ほど来の御議論もございますように、引揚げが円滑に進めていくためにはやはりどうしても中国の協力が要る。したがって、これは総理、外務大臣の非常に強い指示の下で、台風前に引揚げが可能になるようにきちんとした調整を中国とするべきであるという観点から中国と調整をし、中国側と一定の了解に立ち至ったということでございまして、本件は中国の一定の協力の下に引揚げを円滑に進めていくというのが基本的な方針であると思います。ですから、中国との関係においては必要な意見交換、必要な情報の提供その他も含めて、私どもとしては円滑に協力が推進されていくものであろうというふうに考えております。
それから、実際に引き揚げた後、いろんなことが分かるであろうと。もちろん、そのいろんなことを解明する目的でやっているわけですから、いろんなことが解明されると思います。
ただ、現段階におきましてはそれがどこの船、どこの国の船であり、どういう意図を持ってこういう事態に立ち至ったかということについて政府として断定をしていることはございませんから、そういう意味で、現段階で、これが分かったときにどういう具体的な措置を取るのかということについては現段階ではお答えをしかねるということでございます。
○広中和歌子君 この引揚げのための費用でございますけれども、その中に、それに加えて漁業補償問題というのが浮上しているようでございますけれども、どのような状況なんでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(縄野克彦君) 六月の二十一日に閣議におきまして、不審船の引揚げに必要な経費として予備費を使用することを閣議決定をさしていただいております。今お尋ねの漁業問題に関する経費につきましては、この予備費の中に積算はされておりません。
○広中和歌子君 この予備費の積算として一応五十八億八千万円。これが多いか少ないか、私は全然分からないんですけれども、漁業補償というのはどのくらいのものを予想していらっしゃるんでしょうか、お伺いします。
○政府参考人(田中均君) これは、これまでも御答弁を申し上げておりますけれども、中国との関係で、私どもが漁業補償という形で中国側の要求に応じるかどうかということについては私ども決めているわけではありませんし、その補償という概念でこの問題を処理していくのはなかなか難しいんではないかというのが現在の考え方であると思います。
ただ、はっきり言えることは、この海域において不審船の事件があって、昨年の十二月以降この海域において一定の規制がされていて、現にここは漁場になっているわけでございますけれども、この漁場において漁獲が行われない、そういう状況になっている。中国は、中国の船舶も含めて、政府の船舶も含めて、この海域の中に入ってくるのを規制をしているという状況でございますから、そういう漁獲についての損害があったと、漁獲が減ってしまっているという状況に対して、日本は、それはきちんとした話合いの中で誠意を持って対応をしていくという意図表明はされているわけです。
ですから、今後、中国側と協議をしながら具体的にどういう額になるのかということは決めていく必要があるだろうというふうに考えています。
○広中和歌子君 漁業補償という形は難しいというふうにおっしゃいましたけれども、不審船が沈んでいる地域の周辺、一定の距離、地域、いわゆる海域は閉鎖になっているんですか。
○政府参考人(縄野克彦君) 私ども、作業をしているときはもちろんでございますが、作業をしていないときも、不審船の確保といいますか、例えば底引き網等でこれが散乱物も含めて影響を受けるということのないように、常時、昨年の暮れ以降、巡視船をそこに配置しまして、正確な意味での規制と言えるかどうか分かりませんが、そこの海域、一定のその距離の中に入らないでほしいということを要請をしておりますし、それから先ほど申し上げましたようなカメラあるいは潜水士による調査、それから現在の引揚げ作業をやるときには、その海域を若干、これは大掛かりな作業になりますから若干広げまして、同じようにその海域には入らないでほしいということをしております。それから、中国の公船、艦船も、話合いの結果によりまして現場海域に出てまいりまして、中国の漁船がそこに入らないようにということについての指導をしているところでございます。
○広中和歌子君 周囲何メートル、何海里というのか、どのくらいの距離なんでしょうか。
○政府参考人(縄野克彦君) 正確に申し上げますと、作業をしていないときには、私どもとしましては、半径二マイル、それから作業をしているときには半径三マイルに少なくとも入らないでほしいということを要請をしておるところでございます。
○広中和歌子君 分かりました。どうもありがとうございました。
それでは、次のテーマに移りたいと思いますが、また繰り返しになるようでございますが、瀋陽事件の対応で、日本の外務省の亡命者や難民に対する方針が分からなくなってしまっています。テレビ映像を見る限り、日本領事館は、あの亡命者が亡命を求めた時点ではそれを拒否して彼らを阻止し、連行する中国警察に同意を与えているように見えるわけです。しかし、そのビデオが広く、ビデオ映像が広く世界に知れるようになると、日本政府は中国政府に大使館立入りに抗議し、亡命者の身柄引渡しを求めているというような印象を与えます。結果として、中国政府は亡命者を第三国経由で韓国への渡航を許可し、第三国経由で韓国への渡航を許可し、日本政府はこの件に関して中国政府から謝罪はおろか無視されて終わっていると、そういうことでございまして、このことに関しては私は状況を述べただけで、何も質問するつもりはございません。ただ、このことから浮かび上がったのは、日本政府の難民や亡命者への基本的姿勢であり対応であると思います。
以下の質問をさせていただきたいと思うわけですが、六月二十日というのは国連難民の日だそうでございます。我が国が難民条約、難民議定書に加盟してちょうど二十年がたっております。まず、議定書の意義について、我が国がこれを認めている、この議定書の意義についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) それを申し上げる前に、まず先ほどの瀋陽のことでございますけれども、この件については、私どもは最初から一貫してウィーン条約、ウィーン領事条約についての違反があったということを中国側に言っているわけでございまして、その点で、先ほど委員がおっしゃられた事実関係の認識と私どもはちょっと違うものを持っているということを申し上げたいと思います。
それから、お尋ねの難民条約の議定書の理念でございますけれども、これについては、まず難民の人権を保障し、その地位の安定を確保するということを目的としているということでございまして、これはその適用対象となる難民の定義を規定いたしまして、締約国の領域内の難民に関して法的地位、職業、福祉等の社会生活上の待遇又は権利、及び迫害を持つ領域への難民の追放、送還の禁止等の保護措置の付与について決めているというものでございます。
○広中和歌子君 それではお伺いいたします。
現在までに我が国が難民として認定したのは何人でしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。
制度発足の昭和五十七年以降平成十三年度まで、我が国で難民として認定した者の数は合計二百九十一名でございます。
○広中和歌子君 それでは、申請した人の数は何人でしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。
合計、先ほどのスパンで申し上げますと、二千五百三十二名でございます。
○広中和歌子君 約十人に一人しか認定されていないということでございますよね。この数というのはよその国に比べて、諸外国と比べてどのように評価していらっしゃいますか。
○政府参考人(中尾巧君) 正確に認定率という関係で申し上げますと、発足以来平成十三年までの認定数は合計二百九十一名ですが、不認定とした者の数は千七百二十一名でございます。ただ申請がありましても未裁というものがございますので、実際、その認定不認定の足した数で認定数を割るという、いわゆる難民認定率で比較するのが正確だろうと思います。したがいまして、この二百九十一名を二千十二名で割りますと約一四%ぐらいになります。
これは諸外国の関係になりますと、これはUNHCRの資料によって比較せざるを得ないところがございます。平成十二年度の直近のデータで申し上げますと、我が国の場合は難民認定率は一四%でございます。イギリスの場合が一二%でございます。ドイツが一五%でございます。オランダが七%でございます。それでスウェーデンが二%でございますので、これらの数と比較しても、率から申し上げますとそんなに低いものではないと思います。
ただ、この難民認定率の難民の問題について、庇護した者も含めてカウントしている国もございますので、若干その難民認定率が実際のものよりも大きくなっているところもあろうかと思います。我が国の場合は、平成十三年度で見ますと認定者数は二十六名でございますが、難民として認定されなかった者でも人道的配慮から在留を認めております。その数は六十七名になります。したがいまして、この庇護をした者の数ということになりますと、平成十三年の場合、九十三名でございますので、国によってはこういう形で庇護率ということを出して難民認定率ということを発表している国もございますので、それで申し上げますと、約二七%の庇護率ということになっている状況でございます。
さらには、日本の場合はインドシナ難民というものを毎年継続的に受け入れておりまして、平成十三年にも百三十一名のインドシナ難民を受け入れておりますので、これを加えますと、平成十三年度で実質的に庇護した者は二百二十四名ということになろうかと思います。
以上でございます。
○広中和歌子君 難民の認定のための難民の定義、何が基準になるのか、そしてだれが認定しているのか、そのことについてお伺いいたします。
○政府参考人(中尾巧君) 難民の定義につきましては、一般に避難民とか、あるいはいわゆる条約難民とか、あるいは経済難民とか亡命者とかいろいろな関係で定義が非常に、どの者を言うかということで非常に混乱している場合がございますけれども、私どもの方で対応いたします入管法上の難民としてどういうものを難民と言うかということにつきましては、入管法上に定義がございます。いわゆる「難民条約の適用を受ける難民」を、入管法上難民ということで定義をしております。したがいまして、これは正確に申し上げますと、これをいわゆる条約難民と称しております。
この条約難民の定義でございますが、これは厳格に定められております。人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由がある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であると。その国籍国等の保護を受けることができない者又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者というふうに定義されておるところでございます。
それから、難民認定につきましては、法務大臣が難民としての認定をすると、こういうことになっております。その難民の認定の業務につきましては、法務省入国管理局に難民認定室ということがございます。難民認定室でその業務をやり、したがってその地方局には、各地方局に難民調査官が置かれている、そういう組織状況になっておるところでございます。
○広中和歌子君 入国管理局が取り締まるということでございますけれども、そもそもそこの機関というのは不法入国者を取り締まるところではないんですか。ですから、これが妥当なのかどうか。いろいろな難民についての資料を集めましたところ、むしろ独立した審査機関が必要ではないかといったような意見もあるわけでございますけれども、それについてどのように思われるか。今の難民認定制度を見直す必要があるのではないかと、このような記事が一杯載っているわけでございますけれども、どのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(中尾巧君) 委員御指摘のとおり、難民認定業務、難民認定手続と不法入国者等を退去する退去強制手続とが同一の官署で行われていることについての批判があることは私どもも承知をしておるところでございます。しかしながら、このような制度は日本だけではございません。アメリカの場合では、移民帰化局が難民認定手続と退去強制手続両方を所掌しております。イギリスにおきましても、内務省の入国管理国籍庇護局というところが両方の事務を所掌していることになっておりまして、決して日本だけ例外的な取扱いではありません。
日本の場合は、昭和五十六年の三月に閣議了解がございまして、難民認定業務をどこの部署に取り扱わせるかということにつきまして閣議了解がございました。そのときの関係でございますが、難民条約への加入に当たり一つの機関が統一的に難民の認定を行うことにしたい、出入国管理行政を担当する法務省において難民認定に関する事務を担当することが妥当であるということで関係省庁の意見の一致を見たわけであります。
このような考え方は、出入国管理行政は我が国への不法な入国を試みる外国人を国外に退去するという一面がございますが、同時に、難民条約が対象としている難民もまた外国人であるということは間違いないところでございます。難民認定に関する業務はこれらの入管法上の諸手続と有機的に関連すると。したがいまして、外国人の入国、在留から退去強制の手続までをすべてを担当いたします入管局において行うことが合理的だというふうに考えられるところでありますし、先ほど申し上げましたアメリカもイギリスもそういう形になっているというふうに承知しております。
○広中和歌子君 難民申請者の扱いでございますけれども、収監すると聞いておりますけれども、これはOECD諸国ではそれをしていないと。少し厳し過ぎるのではないかというような意見が出ておりますけれども、収監はどのくらいの期間なのか、お伺いいたします。
○政府参考人(中尾巧君) 委員御指摘いただいたEU諸国とかOECD諸国では、不法入国者等の難民申請中の者を収容することはないというふうに御指摘いただいているわけですが、実際のところはそのようなことではございません。この辺のところはやや誤解のあるところだろうと思いますので、若干正確に申し上げたいと思います。
英国の場合につきましては、不法入国した者の難民認定申請者を収容することができるという規定になっております。これを収容するか、できるということになっておりますけれども、従来より最近は非常に厳しくなりまして、基本的には収容するということで施設をこの三年ほど前からかなり多く造ってきているのが実情でございます。
ドイツ、オーストラリアにおいても、基本的には有効なビザを持っていない者はすべて収容施設に収容するということになっております。最近のオーストラリアでのいろいろの関係で新聞等に出ておりますけれども、こういう収容施設に入れられている者についての暴動事件というのがあったというのはこういうことからでございます。
また、フランスとかアメリカにおきましても、不法入国等を退去強制への抗弁として難民認定申請がなされた場合には、難民認定申請の結果が出るまでの間は収容できると、こういうことになっております。
我が国の場合は、当局に収容している難民認定申請者の多くは、退去強制手続の過程において、収容中に難民認定申請を行った者がかなりおります。したがいまして、難民認定手続と同時に退去強制手続が行われておりますので、退去強制手続の、先ほど若干申し上げましたように、アメリカ等の退去強制への抗弁的に難民申請をする者が多いというようなことでございます。
もちろん、退去強制手続でございますので、適正な、仮放免というような形で、暫時いろいろな関係で一時的に収容を解くということはございますけれども、そういうような実情で、収容する期間というのは一概にここで申し上げるわけにはいかないのが現状でございます。
○広中和歌子君 でも、何日なのか何か月なのか何年なのか、それくらいちょっと教えていただけますか。もちろんケース・バイ・ケースもあると思いますけれども。
○政府参考人(中尾巧君) これは、難民認定申請が行われて結論が出るまでの期間というのはおおむね一年ということにしておりますし、実際そういう形で運用がされておるところでございます。
退去強制手続につきましても、基本的には退去強制手続の中で対応することになろうかと思いますけれども、私どもの方としては、基本的に、難民不認定の一時処分がなされてから基本的には退去強制令書を発付して送還までの間を収容するということになりますので、それ以降になりますと送還が可能までの期間収容するということになっておりますけれども、これについても、先ほども申し上げた一年前後ぐらいになりましたらそれなりの対応を取っているのが実情でございます。
○広中和歌子君 難民というのは来たくて来ているわけじゃなくて、本当に必要に迫られて難民申請をしているんではないかと思いますので、それに対する対応というものも少し日本の国としては温かいものがあってもいいんじゃないかなというふうな気持ちで今御質問しているわけでございます。
それでは、日本に定住している難民についてなんですけれども、就職の機会はどうなっているのか、生活保護やあるいは子供がある場合には児童手当はあるのかどうか、それから言語、生活習慣などに手が、の支援に対して手が差し伸べられているのか、あるいは支援している民間団体などに対して国としては助成を行っているのか等々、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(中尾巧君) この難民の認定を受けた者に対しての処遇とか、今、委員の御指摘いただきましたような日本語教育とか公的扶助というものの在り方とか、そういうものに対してどのような有効な支援をするかということにつきましては政府全体として考えるべきことだろうと私どもは認識しておりますが、基本的には私どもは難民認定するまでが私どもの所管事務でございますので、難民認定を受けた者に対する各種支援はそれぞれの、教育の面では文部科学省、労働の面、そういう面については厚生労働省、あるいはその他の支援については外務省とか、そういう形になっているのが現状でございますので、それぞれの所管のところにお尋ねいただければ有り難いというふうに思っております。
○広中和歌子君 昨日、ある会合で、日本がアジア太平洋地域においてリーダーシップを取っていくといったことで、テーマで何人かが集まって議論をしていたわけでございますけれども、そうしたときに、これから我々が難民をどのように受け入れていくか、あるいは外国人をどのように扱っていくかと、そのようなことも日本が問われている今後の問題であるというような話が出ました。
その中である方が、自分の会社では難民を中心に雇用をしていると。もちろん、言葉もできないし、非常に大変だし、文化的な摩擦があったんだけれども、自分たちの日本側の従業員を通訳も付けずにヨーロッパやアジアに仕事にというんでしょうか、仕事の、何というんでしょうか、ともかく海外に出したそうです。そして、彼らは日本に戻ってくると、社長、大変だったよと、言葉も分からないし、もうそういう中でビジネスをしなくちゃならなくて大変だったというようなことを言ったらば、その社長さんが、ここにいる難民の人たちも同じような状況なんだよというふうにお話しになったそうでございます。それから会社の中における人間関係というんでしょうか、雰囲気もすっかり変わって、そして難民の人たちもちゃんと、非常にハッピーに定着しながら技術を覚え、そしてすばらしい人材になっているというような話をしてくだすったわけでございます。
我が国は今後、少子高齢社会を迎え、様々な対応が求められるわけでございますが、例えばアメリカなんかを見ておりますと、第二次世界大戦、その前後ですけれども、多くの難民がアメリカに移民してきて、その人たちが大学や研究機関やあるいは企業ですばらしい働きをしながらアメリカの知的、経済的な成長に寄与したと。そのような例もあるわけでございまして、そのようなことを考えますときに、我が国がまず入口で厳しく精査をするということではなくて、もうちょっと寛大な方針でそういう外からの人たちを新しい人材として、人道的な立場ももちろんですけれども、受け入れる、そういう体制があってもいいのではないかなと。ちょっとした気持ちの持ち方でやはり難民を、あるいは日本に来たいという、そういう人たちの受入れというのが変わってくるのではないか、ひいては日本の社会も変わってくるのではないかと、そのように思うわけでございます。
日本人はとかく海外の人に対して冷たいというふうに思われがちであったわけですけれども、今度のサッカーの、ワールドサッカーを見ておりますと、日本人のあのホスピタリティーというのは、冒頭の質問で申しましたけれども、本当にすばらしいものがあるんではないかと。日本人はよそ者に対して冷たいというのはもしかしたら本当ではないのかもしれないと、そんなふうに思う次第でございまして、この外務委員会で是非こういうことを私はこの機会に発言させていただきたかったわけでございます。
今後、法務大臣の、難民について私的懇談会が五月二十四日に設置されたようでございますけれども、今後の難民政策はどう変わるのか、そして、ということを、優しい方向に変わることを期待して、このテーマについての質問を終わりたいわけですが。
それからもう一つ、ついでに入管の方がいらっしゃいますので伺います。
この前の日曜日でございますか、サッカーの試合を見にアジア各地、世界各地から多くの外国人がいらしたわけです。朝の便で到着して、その日の最終戦を見ようということだったんですけれども、二時間待ちだったそうでございます。たまたま二時間待ちだったのかもしれませんけれども。
私は、いつも外国から帰ってきて日本人というブースを通るときにすっと通れることが非常にラッキーだなと思うんですが、外国人用の窓口のところではもう長い列ができていると。やはり同じ人間として、しかも疲れて到着して待たされる立場というのはつらいだろうなと思うわけでございまして、そういう点でもサービスを向上させていただきたいと。人が足りないんだったら、是非そういうところに人を増やしていただきたいと心からお願いする次第です。コメントがありましたら。
○政府参考人(中尾巧君) まず、難民の関係から申し上げますと、難民認定された者についての保護施策というのは、世界的に見て、必ずしも日本が世界的なスタンダードにあるかといいますと、その点はややスタンダードまで行っていないということは私どもも十分認識しているところでございます。インドシナ難民の場合には、国際救援センターという形で定住支援が行われているのが現実でございます。その辺のところを含めまして、インドシナ難民以外にも広げるべきだという意見もございます。これは政府全体で考えていただいて、今後ともいい方向に向かうべきものだろうと思っております。
また、難民政策をどうするかと、受入れをどうするかという問題につきましては、非常にこれはいろんな問題をクリアしなければ解決できない問題がございます。我が国は単純労働者を受け入れないという政策を取っておりますが、同時に、専門技術的な人につきましてはどんどん受け入れるという方針でいろんな規定を、その辺のところを緩和して、今どんどん進めているのが現状でございます。アメリカのように移民政策を取っている国のやり方をそのまま私どもに持ってくるわけにはまいりませんけれども、その辺で行われているいいところは、私どもの方も受け入れられるべきものは受け入れて、今後あるべき難民体制、難民政策というものを実現していくべきだろうと思います。
現在、法務大臣の私的懇談会において、私どもの難民政策、特に難民認定制度の在り方について、専門の方々に御検討いただくことになっておりますし、年内には一定の方向性につきまして御報告をいただけるようになっているところでございます。私どもといたしましても、人道的な配慮も踏まえながら、そういった問題について十分検討はしていきたいというふうに考えているところでございます。
次に、成田の上陸審査場で二時間以上待たされた外国人がいたということで御批判をいただいておりますけれども、この点について若干の事実関係について御説明申し上げたいと思います。
もちろん委員御指摘のように、成田空港というのは日本の表の玄関でございます。そこで外国人が最初に日本の印象を受けるわけでありますので、ファーストインプレッションが大事であるということは重々承知しておりますし、私どもといたしましても、職員につきましても、そういうふうな感覚で入国審査に当たるよう、研修、教育を努めているところでございます。
六月三十日の関係で申し上げますが、同日の午前八時三十分から九時三十分までの一時間に、成田空港第二ビルに、定期便四便、ワールドカップ決勝戦を観戦するために乗客等を乗せましたチャーター機が二機と、これが相次いでこの一時間の間に六便が到着したという状況でございます。しかも、この時間帯といいますのは、入国のみならず出国審査のピークの時間帯に重なっております。したがいまして、出国審査の方にも職員を割り当てなきゃならないという状況がございました。この間に入国した、一時間に入国した外国人が約千六百人ございました。千六百人の上陸審査に対して私どもが割り当てることができた職員は、審査官は十人でございました。そういうふうな結果で、審査待ちの時間が二時間という御指摘ですが、一時間程度に達したという報告は受けております。
もちろん、この時間帯を除いては、申請者を長時間待たせたということは六月三十日になかったというふうに報告を受けておりますけれども、やはり私どもとしては、いかなる事態にも備えるだけの体制が十分でないということは、事情もございますが、限られた人員で精一杯対応しているのが現状でございます。
以上でございます。
○広中和歌子君 終わります。
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