第154回 外交防衛委員会
2002年5月30日(木)
○気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書の締結について承認を求めるの件
☆答弁者
中谷 元防衛庁長官
川口 順子外務大臣
防衛庁長官官房長 柳澤 協二 君
外務省総合外交政策局国際社会協力部長 高橋 恒一 君
環境大臣官房審議官 山田 範保 君
経済産業大臣官房審議官 大井 篤 君
林野庁森林整備部長 石島 操 君
文部科学大臣官房審議官 寺脇 研 君
○広中和歌子君 民主党の広中和歌子でございます。
今日は京都議定書という大変重要な問題について質疑をさせていただくわけでございますけれども、外務省、防衛庁、この外交防衛委員会には、様々、いろいろ問題が噴出いたしまして、やはりそういう時の話題についても触れないわけにはいかないわけです。
まず、防衛庁のリスト作成問題についてお伺いいたします。報道によれば、防衛庁の職員による情報公開法に基づく請求者百四十二人全員の身元を独自に調べ、リストを作成したと報道されました。この事実関係について、まず防衛庁長官、御報告お願いしたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 本件の事実関係につきましては、現在、徹底した調査を行っているところでございますが、これまでの調査で承知しているところは次のとおりでございます。
まず、問題となっている本件のリストにつきましては、海上幕僚監部の情報公開室の担当三佐が同室に勤務をしておりました平成十三年四月、これは情報公開が開始した当時でございますけれども、それから平成十四年の三月までの間に、当該の担当三佐が、本人が開示請求者がどういう人物であるのか把握する必要があると判断をいたしまして、担当者の個人の発意により作成したものであるという報告を受けているところでございます。
この担当者は、平成十三年四月から平成十四年の三月中旬までの間に防衛庁に対して開示請求を行っていただきました百四十一名について、開示請求書に記載された氏名その他記載内容のほかに、開示請求者に対応した窓口でのやり取り、インターネットによって得られた情報などを基に開示請求者の氏名、職業等を一覧表の形に整理をした資料を作成したという報告を受けております。
また、本件資料の職業を記述した欄には、例えばフリージャーナリストや学生といった開示請求書に記載されていない情報も含まれておりまして、中には報道にある受験生の母といった記述も含まれていたとの報告を受けているところでございます。
この担当者は、平成十三年六月から平成十四年の三月までの間に、一から五回、内局の情報公開室、陸幕情報公開室、空幕情報公開室、海幕調査課保全室の担当者や本人の上司であります海幕の情報公開室長などに対して本件の資料を配付をいたしましたが、これらの者は、受け取った資料を特に使用することなく、すぐに廃棄をしたか、そのまま保管をしておりまして、他人に閲覧はさせていなかったという報告を受けているところでございます。
現時点での状況でございますので、この件につきましては引き続き捜査を続けている現状でございます。
○広中和歌子君 ちょっと幾つか確認させていただきます。
まず、百四十二人ですけれども、それ以外の方で情報請求をした方はございますか。
○政府参考人(柳澤協二君) 百四十二名と報道されておりますが、精査した結果、百四十一名の方の分でございました。そして、この数は、昨年四月以来この担当者が属しておりました三月中旬までの防衛庁に対して開示請求を行った方の数でございます。
○広中和歌子君 そういたしますと、その開示請求した人は、書式には氏名と住所と開示を求める行政文書、それだけなんですか。
○政府参考人(柳澤協二君) 氏名、住所、電話番号、要するに連絡が取れる連絡先、それから、何を開示されるかという請求の内容が記載された書類を提出していただいております。
○広中和歌子君 というと、それ以外のことは防衛庁側でお書きになったと、そういうふうに理解していいわけですね。
○政府参考人(柳澤協二君) さようでございます。
ただ、それは、窓口に名刺を置いていかれる方とか、いろんなあれはございますが、大臣から申し上げましたように、インターネットその他を使ってこの彼が独自に収集したというふうに承知をしております。
○広中和歌子君 防衛庁長官はその作成リストというのをごらんになりましたか、御本人。
○国務大臣(中谷元君) この事件が報道された後、見ました。
○広中和歌子君 新聞報道によりますと、私も本当に個人的な判断かなという気がしていると、そうでないかもしれないので、徹底して調査し、改めて報告したいということを、どこでしたっけ、ある委員会での質問に対して述べていらっしゃるわけですけれども、そのような印象を持たれた理由というのはどういうことなんでしょう。
○国務大臣(中谷元君) 今回の事柄につきましては、情報公開の趣旨からいたしまして、あってはならない、看過できない事態でありまして、御本人の聞き取りはございますけれども、あらかじめそのようなもので断定をするのではなくて、こちらとしては、もうありとあらゆる可能性を持って、予断を持たずに調べるべきであるという観点でそのような姿勢を示したわけでございます。
○広中和歌子君 もしこれが、防衛庁ぐるみと言っては失礼ですけれども、組織的なものであった場合にどのような責任を防衛庁長官として取られる御予定ですか。
○国務大臣(中谷元君) まず調査をいたしまして、この事実を正確に確認をする必要があろうかと思います。その後に本件に対する処置をするということで、それぞれの実施をした者に対してそれなりの処置をしなければならないと。その後は再発防止をしなければなりませんが、そのような観点で今後、対する処置につきまして、十分に事実を関係した上で対処してまいりたいと思います。
○広中和歌子君 防衛庁長官御本人の責任というのも問題になってくるんじゃないかと思いますけれども、どのように感じていらっしゃいますか、もしそういうことになるとしたら。
○国務大臣(中谷元君) まず、本件につきましては、本当にどういう実態であったのであるのかということを十二分に検証いたしまして対処してまいらなければならないと思います。
○広中和歌子君 もうそれ以上追及いたしません。
次に、阿南大使の辞任、解任ですかの報道が出ておりましたけれども、この阿南大使の解任というのはいかなる理由によるものか、外務大臣、お伺いいたします。
○国務大臣(川口順子君) 私は、そういう報道は承知しておりません。
○広中和歌子君 ああ、そうですか。失礼いたしました。ともかく阿南大使が、あの瀋陽事件が起こる直前だったと思いますけれども、大使館員に訓示をしたその内容の一部とされるものがマスコミに流されていると。そして、いろいろ報道されているので、私がそうした報道を見たものですから、今朝の新聞です、見たものですから、それが直接関係しているのかどうかと、そのことについてお伺いしたいと思ったわけです。
○国務大臣(川口順子君) そういう報道は全く承知をしておりませんので、そういう、したがって発言との関係ということも申し上げられないんですけれども、発言について。
○広中和歌子君 ここに新聞の切り抜きがあります。外相は、外務大臣、川口大臣は関係者の処分をお考えになっているということで出ているわけですが、「阿南大使処分へ」とここに書いてあるんです。新聞がすべて正しいとは申しませんけれども、阿南大使、中国大使の責任を問い処分する方針を固めたというふうに報道されているんですね。これもマスコミの先走りですか。
○国務大臣(川口順子君) 私は、そういうことをどなたにも言ったことはありません。処分について私が言いましたのは、これは記者会見でも言っていますけれども、昨日の衆議院の外務委員会だったと思いますが、そこでその御質問をいただきましたので、この事件、瀋陽総領事館事件にめどが付いた時点で全体を総括をして、いかなる改善点、いかなることを改善策として行うかということについてきちんとそれを出す必要がある。それで、処分についての御質問でしたので、処分についてはその過程で考えるということを申しまして、それからさらに、処分がないということはないということは言いました。
ただ、その新聞で書いていらっしゃるように、特定の個人について何を考えるというようなことは全く言っていません。
○広中和歌子君 それも大変慎重なお答えで深追いができないわけですけれども。
いずれにいたしましても、大使がその大使館の中で話されたことの一部がマスコミに漏れて、そしてそれが今度の瀋陽事件の外交交渉を非常に難しくしているというようなことが報道されているわけでございますけれども、幾ら情報公開が大切な時代とはいえ、外務大臣が他の外務大臣と、よその国の外務大臣と話した内容であるとか、あるいはそのほか様々なことが漏れて出てきますよね。ああいう状況というのは組織としての対応として好ましくないんではないかと、そのような感じがするわけですけれども、いかがでしょう。
○国務大臣(川口順子君) 広中委員がおっしゃられますように、内部での会議の模様が外部に漏れていくということは、これは内部での自由な議論ということを阻害をすることにつながると思いますので、これは非常に問題があると私は思います。組織として、きちんと規律があるという組織である必要が私はあると思います。
いずれにいたしましても、委員がおっしゃられたように、今回の阿南大使がしたというふうにされている、報道されている発言については、必ずしも阿南大使が言ったことを伝えているというふうに私は思いませんし、それから、今回の中国、今回の事件について、中国との交渉の関係でこのことが問題になったとも思っておりません。
○広中和歌子君 では、この問題は終わりにさせていただきたいと思います。防衛庁長官、どうもありがとうございました。
それでは、京都議定書批准に向けてのテーマについて御質問させていただきたいと思います。
リオの環境サミット、今からちょうど十年前でございますけれども、そこで幾つかの重要な議定書というんでしょうか条約が結ばれた、そのうちの一つが気候変動枠組条約でございます。しかしながら、その後も温暖化ガス、CO2などの排出がなかなか減らないということで、この議定書の具体的な数値目標などを定めることが必要だということで様々な形で会議が行われ、そして特に締約国会議というものが積み重ねられてきたんではなかろうかと思います。
改めて私は、この京都議定書を読みまして、そして歴代の環境大臣、大木環境大臣に始まり、特に川口外務大臣におかれましては非常な御努力をなさりながら、私はこの前の本会議におきまして、やたら長くなり過ぎたんではないかと、むしろ引き延ばし作戦をしたんではないかなどと大変失礼なことを申しましたけれども、やはりこのような形でまとめ上げられたこと、その御努力というのは本当にすばらしいと思いますし、またそれに向けて外務省あるいは環境庁の人たちの努力というものも評価させていただきたいと思うわけでございます。
ヨハネスブルクで再びこの環境会議が開かれると、十年後でございます。ですから、我が国京都で結ばれた京都議定書が、マラケシュの会議を経て、そしてそれぞれの国で、多くの国で批准されるということが非常に大切なことで、しかもその前に発効すればもっとよろしいというような状況だったわけですけれども、我が国の批准も今日に、批准のための審議というのも今日まで持ち越されてきたということで、この京都議定書の発効ですね、それについてはいつごろというふうに予想されていらっしゃるか。そして、その発効の妨げになっている要素として、まだ賛成する国が、賛成というんでしょうか、批准をする国が必要なわけですね。それはロシアであるというふうに言われておりますけれども、そのロシアの批准の見通しについてお答えいただければと思います。
○国務大臣(川口順子君) 京都議定書は、大木現環境大臣が環境庁長官でいらしたときに、九七年にそこで合意がされたわけでございまして、今、委員がおっしゃっていただいたように、私も三回の締約国会議に出席をして、それなりに仕事をここでしたという感じもあるものですから、今日ここでこの議定書について御審議をいただく段階になったということについては、非常に、ある感慨を持っております。
ここの、ここまでこれがこの段階に、京都議定書がこの段階に至る、至ったということについては、日本国、日本の国内それから世界的にやはり環境面で、特に温暖化防止が必要であるという思いを持つ人が相当いて、そういった皆さんのバックアップがあってこれができたというふうに思っておりますし、広中委員も環境庁長官をなさって環境面ではいろいろなことをやっていただいているわけで、そういった様々な人の後押しがあって本当に可能だったと私は思います。
それで、今後の見通しでございますけれども、要件としては、発効の要件としては、五十五か国以上の締結、それからその締結した条約附属書T国の九〇年における二酸化炭素の排出量の合計が五五%以上を占めるということがありまして、今の段階で直ちにこれが満たされるかどうかということは、正にほかの国を待たなければいけないわけでございますけれども、その中で一番大きな国というのはロシアだと思います。
ロシアに対しては、二月の二日に私が外務大臣になりました直後にロシアとの二国間会議がございましたので、その中でもイワノフ外務大臣に対してロシアのこの締結というのが非常に重要であるということのお話はさせていただきましたし、その後も書簡を出す等で働き掛けているわけでございます。
それで、今、ロシアについては、京都議定書締結に関しての公式決定はないという、まだないわけですけれども、この締結の効果に関する分析や締結に伴って取るべき措置、これについての準備作業を進めていると承知をいたしております。
この京都議定書につきましては、できるだけ速やかな発効を目指すということが重要でございまして、二国間あるいは多数国間協議を活用してロシアに対しても京都議定書の早期締結を働き掛けていきたいと思います。せんだって、EUのある国の大臣とお話をする機会がありまして、EUとしてもロシアに対しての働き掛けをやっているというお話がございました。
○広中和歌子君 米国が議定書離脱をいたしまして、そしてアメリカとしてはロシアとの間での排出権取引ということに非常に注目していたわけだろうと思いますし、ロシア側もそれを期待していたんではなかろうかと思いますけれども、アメリカの離脱でロシアの方としては多少の戸惑いがあるのではないかと。
そうしたときに、日本がこの排出権取引というものに対してどのような構想を持っているか、あるいはロシアに対してどのような提案をできるのか。一般的でよろしゅうございますから、排出権取引についてどういう見解を持っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 排出権取引というのは、京都議定書の中にある京都メカニズムと言われるものの一つでございまして、これを活用することによって、価格の、市場メカニズムを削減に活用するというメカニズムであるわけで、この京都議定書の会議に参加をした国々がみんな関心を持っている問題です。
米国も、京都議定書は支持しないと言う一方で、排出権取引には関心を持っているということでございますし、ロシアもこの排出権取引市場ができた段階では売手として参加ができるということでございまして、ロシアは、売った、得たものを、売って得たものについてはこれを環境に使うんだと、環境対策に使うということも言っています。
排出権取引の市場が今後どういうものになっていくかということについては、正にこれから議論をしていくということで、EUを始め米国も様々な取組の案を持っていまして、議論が始まっているという段階でございます。
排出権取引という市場の性格そのものに着目をすれば、私は、世界全体で一つのマーケットができるということが望ましいということでございますので、これは、京都議定書の発効後、あるいは制度としては恐らく発効前から議論があるということになると思いますけれども、みんなで話し合っていい制度を作っていくことが必要だと思います。これが、ロシア、どのような制度ができるかということが、またロシアとアメリカがこの京都議定書に関心を持つということの一つの大きな道具といいますか材料でもあると思います。
○広中和歌子君 アメリカの対応に非常に日本としても振り回されたというようなところもあるんではないかと思いますけれども、アメリカは基本的にはボランタリーな、つまり、何というんでしょうか、法律、条約、枠組みにとらわれることなく自主的にやりたいと、そういう正にアメリカ的なやり方であるわけですが、こうしたアメリカでありますけれども、昨日、ある環境関係の方に伺いましたらば、日本やヨーロッパやそれぞれの国がいかにこの京都議定書の発効後に温暖化削減に努力をしていくか、その推移を見守っていると、非常に関心を持っているというようなことも言っておりましたし、また全体的に、アメリカの議会にいたしましても環境問題に対しては非常に関心があると。
ヨハネスブルク・サミットがございますけれども、そのときに、国務省の発表では約四十人ぐらいの議員が、上院下院両方合わせて四十人ぐらいの議員が参加するというような話も聞いたわけでございますが、日本では何かヨハネスブルク・サミットに向けて余り盛り上がっていないような印象を受けます。
外務大臣、どのような、民間も含めまして政府関係者、議員、どのような参加を日本から予定していらっしゃるか、そして日本としてこのヨハネスブルク・サミットでどのような発信をなさろうとしているのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) まず、九二年にリオで開催されたいわゆる地球サミットで環境と開発という問題が包括的に議論をされたわけでございまして、そこでアジェンダ21という行動計画が採択をされました。ヨハネスブルク・サミットでは、このアジェンダ21の見直し、それから新しい課題の検討を行いまして、今後の持続可能な開発の在り方について議論がされるという予定になっています。
米国は、今年の三月のメキシコでの会議に出席をいたしまして、途上国での開発問題についてブッシュ大統領が提案をしたという経緯がございますけれども、昨年の十一月のWTOの閣僚会議、それから先ほどのメキシコの会議、こういった流れの中で途上国の開発問題により焦点が当たってきているという流れもございます。
我が国といたしまして、開発途上国の開発に当たっては、途上国自身の自助努力が必要であるということ、持続可能な開発のためには環境と開発の両立、これが重要であるということを主張をしていく考えでございまして、また京都議定書についても、環境面で、これは我が国が、もし採決で通していただいて本会議でこれが締結が可能になった暁には、我が国として世界に誇れる京都議定書の締結ということでございますので、それについても十分アピールし、その時点でまだ締結をしていない国々に対しても働き掛けたいと思っております。
小泉総理が、たしか所信の演説の中で自分自身も行きたいということをおっしゃられたというふうに記憶をいたしておりますし、私自身も、もし可能であれば参加をしたいと思っております。
それから、この会議については、外務省ではNGO大使を任命をいたしまして、この大使にNGOとの関係をこのヨハネスブルク・サミットできちんとやっていただこう。NGOの参加、市民グループの参加、企業の方々の参加、そういった大勢の方の参加を得たいと考えております。
○広中和歌子君 このヨハネスブルク・サミットは、リオのサミットでは環境と開発ということがテーマになったわけですけれども、ヨハネスブルク・サミットになりますと、持続可能な開発というような形で、むしろ世界の中の不公平というんでしょうか不公正というんでしょうか、貧困問題など、そうした問題に非常に焦点が集まっているわけですよね。そういう中で、我が国がこの貧困問題の解消、特に識字率であるとか、それからマイクロクレジットといったような形で、要するに単にお金を上げる、支援をするだけではなくて、いわゆる釣りざおを与えましょうといったような動きも非常に広がっておりますし、それから、ミレニアムサミットの宣言にもございましたように、積極的に貧困を削減していくと。貧困者と言われる人の数、一日一ドル以下で暮らしている人たちの数を半減していこうと、二〇二〇年でしたか。そういったような動きがあるわけですけれども、リオのサミットのときには、当時の宮澤総理が非常に大きな形で資金面でのプレッジをなさいました。
今回のサミットにおいては、私たち日本はどのようなプレッジを具体的になさるおつもりなのか、お伺いします。
○政府参考人(高橋恒一君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、今回のヨハネスブルク・サミットにおきましては、持続的な開発ということで環境と開発と両方の側面が取り上げられるわけでございますけれども、今年に入りましてから行われました一連の国際会議を通じまして、途上国側の強い希望もあって、開発、特に貧困問題等に対する関心が強まっている、高まっているということは事実でございます。
そういう中で、先ほど委員からも御指摘がございましたけれども、この問題につきましては、ミレニアムサミットでミレニアム宣言というものが採択されまして、その中でミレニアム開発目標というものがあるわけでございます。二〇一五年までの貧困人口を半減するとか、初等教育の普及、出産死亡率、乳児死亡率の削減とか、そういった開発分野における幅広い目標を掲げているわけでございますけれども、我が国におきましても、この目標の達成のために途上国への資金協力、それから人づくりのための技術協力を通じまして、達成に向けて最大限の努力をしていくという考えでございます。
特に、この貧困ということに関しましては、やはり教育だとか保健衛生ということの分野でのODAの活用というのが非常に重要だというふうに考えておりまして、校舎の建設、病院建設等のハード面のみならず人材育成等のソフト面への支援も重視しておりまして、保健、教育等の基礎生活分野におきまして、我が国のODAの約三割をそういう分野に割り当てておるわけでございまして、こういった我が国の考え方に基づきまして、ヨハネスブルク・サミットにおきましては、考え方とそれから教育、保健等に関しまして、約束文書という今後の各国の具体的な行動の取組を発表する、そういうのがあるわけでございますけれども、各国、それから国際機関、NGO等とのパートナーシップというものを念頭に置きながら、我が国としてどういう具体的な行動を今後取れるのかということについて打ち出していきたい、いければというふうに考えております。
○広中和歌子君 ちょっと話が前後して恐縮なんですが、条約そのものの中で資金のことが何か所か書かれているわけですけれども、条約の下に設置される気候変動特別基金、資金ですか、それから最貧国基金、それから議定書の下に設置される適応基金、それぞれの各国の資金供与というのは、これは義務付けられるという、法的に義務付けられるというんでしょうか、罰則を伴うとか、何かそういったものがあるんでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(高橋恒一君) お答え申し上げます。
昨年のマラケシュにおきますCOP7の合意におきまして、気候変動、京都議定書の下に三つの基金、すなわち気候変動のもたらす影響に適応するための措置や技術移転等に関する事業、エネルギー関連活動等を支援するための特別気候変動基金、それから後発開発途上国による国別適応行動計画の作成等への支援を行う後発開発途上国基金、それから第三番目のものといたしまして、京都議定書を締結した開発途上国の気候変動への適応を目的とする事業等を支援するための適応基金、この三つの基金の設置が合意されております。
この基金への、どういう形でこの基金を作っていくかということにつきましては、基本的には先進国等からの自主的な拠出を財源とするということとなっております。
ただ、具体的な、今後どういう形でこの基金のターゲットといいますか、ものをするのかとか、そういうことについての協議、交渉というのは、この条約が発効してから締約国会議等で討議されると、そういうことと承知いたしております。
○広中和歌子君 アメリカはこの議定書には参加しないとは言っていますけれども、こういった資金面では協力をすることを約束して、あるいは約束じゃなくて表明しているんでしょうか。
○政府参考人(高橋恒一君) 御案内のように、米国は昨年の三月に京都議定書からの離脱を宣言いたしております。それから、先ほど申し上げましたCOP7で合意いたしましたこの三つの基金というのは、あくまでも京都議定書の下に設けられる基金でございます。アメリカは、それまでの交渉におきましては、交渉を進展させるためにこの基金というものを交渉してきたという認識を持っておったわけですけれども、もう現時点においては一応京都議定書にはアメリカは入らないということでございますので、いずれの基金に対しても拠出を行う意図はないということを表明しております。
ただし、アメリカは、御案内のように、京都議定書ではない自らの気候変動枠組条約の締約国としての独自の気候変動対策というものを今年の二月に発表いたしておるわけでございまして、その中におきまして、京都議定書の新たな基金については拠出を行う意図はないわけでございますが、気候変動枠組条約で想定、作っております既存の資金メカニズムでございます地球環境基金、これへの拠出に関しまして、二〇〇三年度予算において一・七八億ドルの拠出を行うということを二月に表明いたしておるわけでございます。
○広中和歌子君 地球環境基金、GEFですけれども、このGEFが今度の京都議定書の様々な資金メカニズムもやはりハンドルするんではないんですか。
○政府参考人(高橋恒一君) 先ほども申し上げましたように、具体的なこの基金の在り方につきましては今後検討をされるということになっておりますが、現実的な観点に立ちますれば、枠組条約の下で機能しておりますこの地球環境基金というものをどのように活用していくかというようなことが大事な点になるんじゃないかと、そういうふうに考えております。
○広中和歌子君 それでは、京都メカニズムについてなんでございますけれども、要するに、非常に面白いメカニズムだなと思いながら読んでおりました。
この京都メカニズム、共同実施と、それから排出権取引、それからクリーン開発メカニズムと、三つのカテゴリーに別れておりますけれども、いずれにしても、先進国の中で非常にクリーンな環境技術を持っている国が他の国々を支援すると。それが同じような議定書一に属している先進国である場合もあれば、途上国である場合もあるわけだろうと思います。
そういう中で、私が非常に関心を持っておりますのがお隣の中国でございます。中国は、もう正にこれから二十一世紀、もう入っておりますけれども、大きな経済大国になるということで、何も温暖化の部分だけではなくて、あらゆる部分で中国が非常に環境に配慮した開発をしていくということは我が国にとっても非常に大切なことであり、この分野での協力というものを積極的に進めていかなければならない。
それと同時に、そうした経済発展の仕方をすることによって、このアジア太平洋地域における環境と経済を両立させたすばらしい経済圏を作っていくと。そういうことで日本が中国などとリーダーシップを発揮できるんではないか、そのような考え方を持っているわけでございますけれども、中国をどのように巻き込んでいくかについての構想についてお伺いいたします。
○政府参考人(山田範保君) 先生御指摘のように、京都メカニズムをどうやって活用して日本が国際貢献をしていくか、大変重要な課題であろうと思っております。
私どもといたしましては、国際的な交渉におきましてこの枠組みづくりに主導的な役割を果たしていくということ、それから、でき上がりました仕組みを十分使いまして、特に途上国が関心が高いこのクリーン開発メカニズムを十分に実施していくと、この二つが日本の国際貢献ではないかと、このように思っております。
既にボンのCOP6ビスにおきましては、大臣レベルの交渉におきまして、補完性の原則の下に具体的な数字によるシーリングということを避けまして、私どもとして最大限これを活用していくという道が開くことができたと、このように考えております。
今後、国際的な枠組みづくりは技術的な側面のウエートが非常に高まってくると、このように考えておりますので、本年の四月から京都メカニズムに関します検討会を開催いたしまして、各界の専門家から意見を賜りまして、技術的な側面の知見を環境省として高めまして、それを活用いたしまして、国際的な、例えば来月早々ボンで始まりますSBSTA16の会議に臨みたいと、このように考えております。
特にお尋ねの中国に関してでございますが、本年一月、北京で開催されましたASEM環境大臣会合第一回目会合の際に、国家発展計画委員会と環境大臣との間で合意いたしました協力に基づきまして、先方の国家発展計画委員会と環境省のIGES、この二つの機関でCDMの具体的な扱い方のセミナーの共同開催を探求していると、こういう段階でございます。
○広中和歌子君 この前の本会議でも申し上げたんですけれども、やはりこの京都議定書の指針に沿って日本がCO2などの温暖化ガスを削減していくためには、やはり経済界の協力が必要だろうと思うわけでございますが、承るところによりますと、直接多くの方に聞いたわけではありませんけれども、新聞報道などによりますと、一部の経済界では腰が引けているというような話も聞くわけでございますが、この温暖化、京都議定書の発効に向けまして、日本の産業界はどのような受け止め方をし、どのような取組をしていこうとするのか、経済産業省からお伺いしたいと思います。
○政府参考人(大井篤君) 従来、経済団体連合会の環境自主行動計画を始めといたします産業界の積極的な自主的取組というものが行われてきているわけでございます。
ここ十年ぐらいの結果を見てみますと、産業部門につきましては、御承知のとおり、ほぼ横ばいという状況でございます。他方、民生、運輸を中心といたしまして二〇%近い、あるいはそれを超えるような増加という状況になっている。そういうことを考えますと、これまでのいわゆる自主的な取組というものは着実な成果を挙げているというふうに考えているわけでございます。
こうした状況を踏まえまして、今般取りまとめられましたいわゆる地球温暖化対策推進大綱におきましても、産業界の行う地球温暖化対策、これにつきましては、技術革新であるとかあるいは企業の創意工夫、こういうものが生かされるような自主的取組というものを基軸としているということでございます。経済産業省といたしましても、引き続き産業界と十分連携、協力しつつ、産業界の積極的な取組を進めていくという考えでございます。
また、経済界によって受け止め方が少し違うんではないかという御指摘でございますが、私どもは、いろいろ記者会見等見てみますと、基本的には経済界の方も環境と産業をどう調和、環境と経済というものは一体どう調和していくのか、それからまた、自分らのやったいろいろ削減行為と削減の努力というものが真に効果的なものになる、そのためにも、米国であるとかあるいは開発途上国、こういったものをいかに取り組んでいくのかと、こういったことが大変重要である、そういった認識においては基本的には同じであろうかというふうに考えております。
○広中和歌子君 産業界には、もちろん私、これまでの公害防止技術その他、大変評価するところは多いわけでございますが、この議定書発効の後、各産業界、分野別に削減目標みたいな、数値目標みたいなものを立てて、何というんでしょうか誘導していく、そういうようなお考えというのは入っておりますか、地球温暖化対策推進大綱の中に。
○政府参考人(大井篤君) 一応、産業界としてどのくらいの削減が見込まれるのであろうかといった目安的なものというものはございます。そういった目安的なものというものを頭に置きながら、産業界あるいは経済界の中のいろんな各種の産業あるわけでございますが、そういったところが正にどういう形で、いろんな技術革新であるとかそれぞれの産業のいろんな創意工夫によって、どのように、目的といいますかそういった目安というものに近づけていくのかと、こういった努力というものが期待されるというふうに考えているわけでございます。
○広中和歌子君 では、森林問題について伺いたいと思うんです。
この削減の枠の中で、森林のCO2吸収として三・九%までカウントされる、そういうようなことが決まったわけでございますけれども、我が国の国土の森林の、何というんでしょうか、占める面積というのは既に六七%で、これ以上新規に植林をしていくということはほとんど不可能ではなかろうかと思います。
そういう中で今現実に存在する森林を、ただ立っているだけじゃ削減は、CO2削減にカウントされないというふうに承っていますけれども、どういう形でこの三・九%に限りなく近づくような努力をなさるのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(石島操君) 森林の吸収量をどのようにカウントするのかということでございますけれども、この削減目標に参入し得る吸収量につきましては京都議定書において定められておりまして、その定めによれば、適正に整備あるいは管理がなされた森林の吸収量のみをカウントすると、こういう定めになっておりまして、目標を達成するためのまず大前提として日本の森林を適正に整備、管理すると、このことがまず前提として不可欠であると。その上でどれほどの森林をカバーして、私どもが整備していくかということになるというふうに認識しております。
それで、三・九%が達成できるかどうかということでございますけれども、この点につきましては昨年閣議決定されました森林・林業基本計画というものがございます。この中で森林の整備目標というのが定められておりまして、その目標達成がなされれば、この三・九%という日本の森林の吸収の上限ですね、上限値は確保が可能ではないかというふうに推計をしております。
ただし、現状程度の森林整備がなされた場合にはこの目標の三・九%を大きく下回って、国際約束といいますか、森林の吸収量としての三・九%の確保は極めて困難な状況だというふうに考えております。
○広中和歌子君 この週末に私はある山に行ってまいりまして、天城だったんですけれども、個人所有の土地でございましたけれども、そこで伐採をしている。それは何というんでしょうか、林野庁が中心となって、多分、国費も投入しながら伐採をしていると。七割ぐらい伐採して、そして要するにすき間を作りながら新たな成長余力というものを木々に与えようと、そういうような取組をしているわけでございますが、こうした努力というのが、この林野庁の百年の森構想を含んで、とともに努力が倍加していくという、そういうようなふうに受け止めてよろしいんでしょうか。
○政府参考人(石島操君) 私どもが、森林の整備がしっかり行われていくためには、森林所有者が意欲を持ってこの森林整備に取り組んでいただけるような状況を作っていかなければいけないというふうに認識しておりまして、この国産材を中心とした木材利用の推進、これは地球温暖化のための森林整備が進む上での大前提と考えておりまして、そのことにもあらゆる努力をしていきたいと思いますが。
さらに、今回の地球温暖化防止の新しい大綱の中でも、地球温暖化防止森林吸収源十か年対策というものを展開することとなっておりまして、この十か年対策に基づきまして、関係府省と連携を図りながら、その中に四点ほどやるべきことというのは記載されておりまして、健全な森林の整備、これを推進します。二点目は、保安林等の適切な管理、保全を進めます。三点目は、国民各界各層が努力するという意味で、国民参加の森づくりを進めますと、さらに、今ほど申し上げましたが、その前提となる木材の利用、この推進にも取り組むということにいたしておりまして、私どもといたしましては、この十か年対策、これにしっかり今後取り組んでいくことによって、三・九%の目標を達成に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○広中和歌子君 その天城の森で分かったんですが、教えてもらったんですが、間伐をしますよね、それが三十五年ぐらいたった立派な木なんですよ。ところが、それはもうほとんど捨てていくというんですね。つまり利用先がない、利用先がないというか、少なくとも経済性、経済に見合う、経済性に見合う利用先がないということなんですよね。
本当にもったいないなと思ったところでございますが、日本は外材というもの、外国から木材をどんどん輸入していると。そういう中で森林の整備そのものも、それから利用も非常に難しいんではないかなと。私はかねてから、森林、木材資源に関してはWTOに例外規定を作るべきだというふうに主張しているんですが、なかなかそちらの方向に進まないんですね。もうちょっと林野庁、力を入れられてもよろしいんじゃないかと思いますが、何がそれを邪魔をしているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○政府参考人(石島操君) 御指摘のように、外材が木材利用の八割を占めるような状況になってございまして、国産材の利用というものは極めて低迷しております。
どうしてこういう状況になっているのかといえば、一番大きいのは品質、性能、この点で外材に後れを取ったというのが一点ございます。家を建てる場合に、乾燥材というのが非常に重要でありまして、乾燥の程度ということが求められているんですが、そういう木材乾燥率というのが外国の木材に対して日本の木材は極めて低いということで、私ども、今この乾燥施設に対する助成を強力に進めて、品質、性能面で外国の木材に太刀打ちできるような体制をひとつ作っていきたいと。
二点目は、日本の森林所有が極めて零細だということで、大量に安定的に木材を供給する体制が必ずしも十分でないと。したがいまして、各地方にそういった大量に安定的に供給できる流通拠点、これをしっかり整備していくことが大事だということで、これは都道府県と一体になりまして、そういう流通拠点を計画的に整備していこうと、そういうことを通じて、外材に対抗し得る構造改革、これを進めていきたいというふうに考えております。
○広中和歌子君 じゃ、残された時間、環境教育、環境学習について文部省にお伺いさせていただきたいと思います。
この前のリオのサミットの前後の盛り上がりに比べまして、何か非常に今度のヨハネスブルク・サミットについても、またこの京都議定書についても、マスコミの報道も地味ですし、ましてや一般の人たちが環境問題についてどれくらいの認識を持っているかということが非常に危惧されるわけですが、もっとこの京都議定書の批准から発効に掛けての、なぜそれが大切なのかといったようなもうちょっとアナウンスをしていただいたらいいんじゃないかと。それと同時に、環境教育を様々なレベルで、学校レベルもございますでしょうし、大学教育の中もございますし、社会人教育、地域教育、そういうようなところで様々に取り組んでいただきたいと、そういうふうに思うんですが、この環境問題を教育の中にどのような形で今後取り組んでいこうとされるのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(寺脇研君) 環境の問題というのは非常に大事な問題でございます。特に、子供たちの将来に大きくかかわってくる問題でございます。
そういう意味で、子供たちにも学んでもらいたいし、それから大人たちももちろんそれを知っていないと子供を育てていけないわけでございますので、御指摘のように、学校のみならず、地域社会やあるいは更には身近なところで家庭の中でもそういった話題が出たり、教育が行われたりするように様々な手だてを講じておるところでございます。
具体的に申せば、学校に関して言えば、学習指導要領の中に総合的学習という形で取り込まれました、体験的、問題解決的な学習の題材として環境問題を取り上げていくということの中で、京都議定書の問題でありますとか、そういったことについても小学生の段階から必要に応じて学んでいくというようなことがございます。大学においても、そのような関係の学部、講座を次々と開いてまいるというようなことがございます。
また、地域社会の中で大人たち同士がそういうことを議論し合う、また家庭教育でも、文部科学省が作っております家庭教育ノートという子育ての指針というか、子育ての考え方がございます。その中で、身近なごみの問題とか、そういうところから始まって、それが大きな環境の問題につながっていくというようなことを学んでいけるようにるる配慮させていただいておりますが、今後また更に努力をさせていただきたいと存じます。
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