第154回 外交防衛委員会
2002年4月26日(
金)

○外務省改革に関する件

☆答弁者

参考人  オリックス株式会社 代表取締役会長 宮内 義彦君 
朝日新聞 特別編集委員 船橋 洋一君
関東学園大学 教授 今川 幸雄 君


【参考人からの発言】

参考人(宮内義彦君) 外務省を変える会の座長を仰せ付かっておりますオリックスの会長をしております宮内でございます。

 本日は、武見委員長直々に出席の御要請を賜りまして参上いたしました。大変光栄に存じますとともに、またとない機会でございますので、是非私どもの考えているところをお聞きいただければというふうに思っております。

 まず、変える会の座長という立場で、変える会の活動、検討の状況などにつきまして、私から全体的な説明をさせていただきたいと思います。 変える会では、非常に広い範囲、また多岐にわたる改革テーマにつきまして、現在まだ議論をしている最中、勉強をしているというちょうど途中でございます。したがいまして、今、変える会といたしまして、それを代表してこういう改革案を作っているということをまだ申し上げられる段階ではございません。

 しかしながら、現在、どういう作業をしているかということをお聞きいただき、御意見を賜りたいと同時に、本外交防衛委員会の先生方から是非御意見をちょうだいいたしまして、私どもの会の今後の意見作りに貴重な参考の機会にさせていただきたいと思います。 したがいまして、これから意見にわたる部分につきましては、今のところ私個人の意見として御理解賜りたいと思います。

 変える会は、本年二月二十六日にメンバーが発表されました。三月六日から第一回会合を開催いたしまして、議論をスタートいたしました。メンバーは、各界からのいわゆる有識者という方々を十三名で構成いたしまして、私が座長、座長代理には弁護士で元検事でいらっしゃる渡部惇氏が就任されております。

 本日は、そのメンバーの中から今川教授、外務省の内部におられました元大使でございます。それから、外交問題につきまして見識の深い船橋朝日新聞特別編集委員と私が出席させていただいていると、そういう形でございます。

 なお、事務局でございますが、事務局は外務省の中に設置しておりますが、これは外務省職員だけでなく外部の民間からも入れろということで、現在、合計十三名の体制でございますが、そのうち四名は外部の人間を入れさせていただいております。したがいまして、混合チームで事務局ができているということでございます。

 会のミッションといたしましては、一番最初に川口外務大臣から開かれた外務省のための十の改革ということで十項目の具体的な項目につきまして検討し提言することということを、こういう御指示を受けております。

 スケジュールといたしましては、スピード感がないといけないということでございまして、七月中にこの最終報告を作成すると、こういうスケジュールでございますが、それまで外部に何も出さないということではございませんで、実はこの連休明けに中間報告ということをまとめまして、外部に発表させていただく。ですから、連休明けに中間報告、七月中に最終報告と、こういうものを外務大臣に提出することになっております。その際にはできる限り実施期限と目標を織り込むこととされております。したがいまして、具体的なことを盛り込むということを鋭意、現在、努力していると同時に、報告の後におきましてもその実施状況を監視する、あるいは見直すということもこの会の役割とされております。

 具体的な施策について実施期限を付して定期的にモニタリングすると、こういう改革のプロセスというのは実効性をより担保するという意味で、私は極めて有効なやり方ではないかというふうに思っておりますが、これはちょっとほかのことを申し上げますけれども、川口外務大臣とは以前、政府にございました規制改革委員会というのがございまして、それのメンバーとして御一緒した経験がございますが、その際に規制改革の手法いわゆる個別具体的に期限を決めるという、こういうやり方をこの変える会でも踏襲していくということが効果的ではないかというふうにお考えになったのではないかと、私自身はそのように受け止めております。具体的かつ実施期限を明確にということは、度々、会合の場で強調されておりまして、これを前提とした施策を取りまとめたいと、このように思っております。

 これまでの検討状況は、三月六日の第一回会合以来、合計まだ五回しか会合は開かれておりません。しかしながら、この五回の会合で大臣から示されました十の改革テーマにつきましては一通り議論をさせていただきました。

 簡単に御紹介いたしますと、第一回は各メンバーの問題意識、議論の方向性や運動、運営方針等を話合いました。

 第二回目からは、第二回目には一番大きなテーマかも分かりませんが、「不当な圧力の排除」というテーマで話合いをいたしまして、各回、メンバーからプレゼンテーション、そのテーマにつきましてプレゼンテーションいただき議論すると、こういうことをいたしまして、この際にはここにおられます船橋委員と嶋津委員、嶋津さんは元自治省出身の方でございます、から、プレゼンテーションをいただきました。

 三回目は、「誤ったエリート意識の排除とお客様志向」、「人事制度の再構築」と、この二つのテーマを議論いたしまして、今川、生田、岡本の三方からプレゼンテーションをいただきました。

 第四回は、「ODAの効率化・透明化」、「NGOとの新しい関係」という二つのテーマを議論いたしまして、星野、藤原、田中委員からプレゼンテーションをいただきました。

 第五回におきましては残りました五つのテーマ、すなわち「秘密保持の徹底」、「予算の効率的使用・透明性の確保」、「広報・広聴体制の再構築」、「大使館などの業務・人員の見直し」、「政策立案過程などの透明化」という五つのテーマを阿川、神田、渡部、吉永各委員からプレゼンテーションをいただいたと、こういうことでございます。

 また、我々委員の共通した認識といたしまして、この外務省を変えるということは、外部の我々のような変える会がこれをやりなさいと言うことも必要でございますけれども、外務省内部から変えるというそういう力が出てこない限り、実際、実効ある改革はできないんではないかと。そういう意味で、我々の提言などが実態と余りにも遊離したものであれば、これは内部のエネルギーが出てまいりません。そういうことで、外務省内部の考え方をよく聞いて進めたいと、このように考えました。

 そこで、まず、全外務省職員に対しまして変える会に対する意見提出を募りました。約三百通近くの意見が極めて短期間の間に届けられまして、膨大な意見書でございましたけれども、これは私どもの審議を進める上で大変参考になっております。それと同時に、ペーパーで出すだけでなく、我々の意見も聞いてほしいと、直接聞いてくれという要望がございました。したがいまして、非公式会合でございますが、この正式な会合とは別途取りまして、直接職員の皆様からヒアリングをさしていただいて、それも参考にさしていただいております。

 こういう活動を通じまして出された意見を集約しまして、連休明けに向けて中間報告をまとめるという作業に現在入っております。いろいろな意見が出てくると思いますので、七月の最終報告取りまとめの前段階ということで、これまで短期間に勉強いたしましたことをできるだけ、なるほど変わりつつあるなと、そういう方向性かということを分かっていただける形で中間報告を作りたいと、このように思っております。

 最後に、私自身、外交、外務省に関しましては誠に全くの門外漢でございましたけれども、こういう会で何かお役に立てればと思ってやっているわけでございますが、若干個人的な問題意識だけを最後に申し上げさしていただきたいと思います。

 世の中から大きな批判を受けております外務省でございますが、しかし、この外交というものは国の基本の一つでありまして、その中で外務省の果たすべき機能というものは極めて大きい、これを失うようなことがございましたら国益の面から見まして大変憂慮すべき事柄であろうと、このように思っております。しかしながら、戦前、戦争直後と違いまして、外交というものは極めて大きな変化をして、現在は外務省がすべての外交を担うのではなく、多角的、多面的な外交というのが既に実行されるようになったと。その中における外務省の役割は、外交が幅広くなったために外務省の役割は小さくなったということではなく、外務省はその中で、外交の専門部署といたしまして、日本の国益を考えた総合的調整機能、総合調整機能を発揮いたしまして、その外交の力を高め、強めると、こういうことをやっていただく。

 したがいまして、ともすれば縦割り的な外交というようなことが出てきたり、民間外交と全く切り離されるというようなこともあろうかと思いますけれども、それを新たに外務省が総合調整機能を発揮すると、そんな時代に来たのではないかというふうに思っております。 また、もう一つの面といたしましても、いわゆる国益を追求する外交ということと同時に、邦人サービスという別の面がございます。これにつきましても大変問題が含まれているというふうに認識しておりますが、やはり早く国民の信頼、尊敬を取り戻すということが必要であろうというふうに思います。 強い外交のためには、外務省内部の組織が強くならなくてはならない。そのためには、これまで存在した特権的、階級的な制度も改め、外部の血も大いに入れる、競争原理も持ち込むと、そういうようないろいろな仕掛けをいたしまして、内部のエネルギーとともに良い方向に持っていければというようなことを感じている次第でございます。

 以上でございます。 ありがとうございました。

参考人(船橋洋一君) 船橋でございます。 今日、お招きいただきまして、ありがとうございました。

 宮内座長の下で外務省を変える会、私は特に政と官のところについて報告いたしましたけれども、今日は、この外務省問題についてなぜこれが問題なのか、何が問われているかということ、これが一つと、もう一つは、外務省問題といったときの国際的な文脈といいますか、その辺について感じていること、考えていることをお伝えできればというふうに思います。 外務省は行政官ですけれども、行政官が最もやってはいけないことを全部やったというふうに私など感じるんですね。

 一つは、公金の横領であると。機密費あるいはプール金、言ってみれば税金を自分たちのためだけに横領したというようなことですね。

 二つ目は、秘密の漏えいです。公の仕事にある人が、守秘義務、国家公務員法というものがある、にもかかわらず、基本的に組織益のために、組織防衛のために機密を漏えいするとか、そういうものに使うとかいうようなことが間々見られたと。

 三つ目は、人事であるとか権益、こういうものを一部の政、政治家と野合した、裏取引したという点ですね。例えば、予算を取ってこなきゃいけない、あるいは定員の枠を増加しなきゃいけない、さらには行政改革の一環としてやるところで同じようにやらなきゃいけなかったかもしれないけれども、それを嫌だと、それをつぶしてもらおうというようなことで鈴木宗男議員とそのようなことで裏で取引するというようなこと。つまり、そのようなことの過程の中で国民の信頼を全く失ったということが言えると思います。

 それで、その背景は多分、いろいろ指摘されておりますけれども、私は、骨子っていうと、三つ外務省の組織病理というのが見えるような気がいたします。

 最初は、排除の論理。つまりお身内だけですべて決めて、外の意見、外の人材、そのようなものを排除するという点です。

 二つ目は、階級。T種の人たちとU種、さらにはV種、このような階層階級社会というものが厳然としている、風通しは悪いということで、本来の意味での適材適所が極めて不十分であるという点ですね。

 三つ目は、無責任体制。信賞必罰がこれほど行われていない役所も珍しいんではないかというふうに思いました。いろいろヒアリングを行う中で、あるいは先ほど宮内さんがおっしゃった職員の方々からの起案、提案なども拝読するうちに、その辺のところを職員の方々が一番実は痛切に認識していらっしゃる。にもかかわらず、変えることができないというような問題。

 それで、結局何が問われたのかといいますと、私は、一つ、国益を損なっていると、この役所は。本来ならば外交を担い、国益を追求し、確保し、その最も重要な職責にあるプロ集団であるはずの人たちが国益を損なってしまうと。国民の信頼を得ることができないから、力強い下支えのある外交ができない。そうしますと、ほかの省庁に対しても国益のためにひとつここは譲歩してくれということは言えないというようなことも含めて、また国益を損なっていくと。

 外交力が弱いということは私は非常にゆゆしきことだと思っております。下手をすると、国民が外交に関心を持たない、孤立主義になる。さらには、外交が駄目ならということで、ひょっとして軍事であるとか軍事力というものへの誘惑というのが出てくるかもしれません。そのような意味で私は非常に憂えております。

 二つ目の、にもかかわらず、日本の外務省の問題、これは特異な問題でもありますけれども、冷戦後、世界の主要な民主主義国がひとしく抱えている、直面している外務省に対する国民の非常に厳しい批判、あるいは外務省そのものの存在意義であるとか役割だとか使命、これがある意味では変化してきている。四つその背景があるんではないかというふうに思います。

 一つは、グローバリゼーションです。グローバリゼーションによって特に人の移動というものが非常に激しくまた増えてきた。それによって、どこも領事業務、これが爆発的に増えてきていると。それに伴う邦人の保護であるとか、そういうことの事務量もまた非常に増してきている。それから、どこの国もビジネス、自国のビジネスを、利益を貫徹する、追求するということが外交の非常に大きな役割になってきています。

 例えば、オーストラリアとか韓国とかスウェーデンとか、外務省と貿易省を一緒にする、通商省を一緒にするというようなところまで出てきていますけれども、例えばシラク大統領などは、大使を出すときに、君の評価というのは君がフランスの企業の契約を幾つ取ってきたか、幾つ取るのに役立ったかということで私は評価するからと言って送り出すというようなこと。ドイツも、外交官はビジネスのロビイストたれということを新たなスローガンに掲げるというような、外交のある意味での重商主義化といいますか、これが起こってきている。

 同時に、NGOにしても、多国籍企業、そのような新しい外交の担い手、プレーヤーと言った方がいいと思いますけれども、が非常に増えてきているということで、そことの関係をどうするかと、非常に大きい問題になっております。特に、NGOは現在今一万、それから、中規模程度のGDPを持つ国より大きい多国籍企業というのは世界に四万ありますと言われています。ですから、外交官だけが外交官同士でやる外交というのははるか昔の話になったということですね。

 次に、民主化あるいは民主主義の国、全部民主主義になる、あるいは部分的な民主主義という国々が非常に増えてきたと、この十年ちょっとで。それに伴って、外交も単にプロだけでなくて、エリートだけでなくて、一般の市民、パブリックに向けての働き掛け、問い掛け、アピール、メッセージというのが非常に重要になってきている。パブリックディプロマシーというふうに一般に言われますけれども、市民外交がどこの国も非常に重要になってきているということが言えると思うんです。

 三つ目は、グローバルイシュー、環境であるとか、難民であるとか、エイズであるとか、軍縮であるとか、非常に重要なそういうグローバルイシューが外交の主要なテーマになってきたと同時に、本来的にそういうものは二国間だけで仕切る問題ではございませんでマルチになると。国際機関が中心になっていく、主要になっていくという外交の場のシフトといいますか、これが非常に激しく起こっている。

 例えば、アメリカで言いますと、国務省の海外のプレゼンスの中で国務省の職員というのは三八%しかいない、ほかの六二%はアタッシェ、他省の人々である、そういうより専門化した交渉になると。それから、より国際会議、マルチの場での交渉事あるいは協議ということになります。 そうしますと、外交官の才能、資質というのも、そのマルチの場でいかに発言をするか、表現するか、ドラフトを書くか、人脈を作るかというような才能、英語も含めて、そのような表現力が求められてくるということになるんだろうと。

 他省庁がそれだけ増えてきますと、大使の役割とかいうのも非常に変わってきます。外交政策を立案とか企画、それに優れているということよりもむしろ、先ほど宮内さんもおっしゃいましたけれども、総合的な調整能力、マネージャーとしての力というのが大使にもまた求められてくる。 最後は、このソフトパワーという新しいパワーの概念が出てきたということだと思います。これは、言ってみれば隠すパワーではなくて表すパワーといいますか、威力より魅力というようなところで、何をそれぞれの社会、国が他に与えることができるか、何を共有することができるか、どれだけ自分の持っているものをより透明にして相手に信頼してもらえるか、お互いにどのような形でより豊かな対話の形を作れるかとか、そういうような力が非常に重要になってきている。

 ドイツの場合は、東欧と中欧の国々二十八か国から若い外交官を、年に二度、ドイツの外務省は研修外交というのをやっています。研修プログラムを組んで、その人たちを三か月、四か月、ドイツに招くんですね。それで、ドイツの歴史とか政治経済のシステムとか欧州の機関とか、最後にドイツの外務省にインターンとして働かせて、それで帰してあげるというようなことで始めておりますけれども、このような非常に自らの国を分かってもらう、懐まで入れる外交というのが始まっていると。 最後の最後ですけれども、私は大使の仕事というのは実は非常に重要だと思っております。首脳外交が広がる、盛んになる中で、大使というのは盲腸のようなものだとよく言われますけれども、決してそんなことはない。大使というのはやはりその国の顔であり、形、姿であり、風格、品格といったものを体現すべきものではないかというふうに思います。

 その大使が、非常に一外務省という組織の既得権益であるかのような、あるいは代理人であるかのような、天下り先であるかのようなこと自体が、国民が大使というものを自分たちの大使だと思わない根本の原因にある。つまり、国家の意思というのが希薄であることが大使がその程度のものだということにもつながっていると思いますし、またパブリックの概念が希薄であることが、国民がみんなで大使を選んでいくんだ、自分たちが出したい大使を選んでいくんだという意識が希薄になっている背景にあるんではないかというふうに思っております。

参考人(今川幸雄君) 今川でございます。 本日は、ここにお呼びいただきまして意見を申し述べることができましたことを大変光栄に存じております。私は、宮内座長の下にこの変える会に参加させていただきまして、特に、いろいろございます大臣の改革の提案の中でも、人事制度の再構築、それから誤ったエリート意識の排除とお客様志向というこの面について意見を発表してまいりましたし、そういうことで、この点について、特に人事制度の再構築ということについてお話を申し上げたいと思います。

 外務省、これ本当に昨年以来もう様々の不祥事が表に出まして、本当に国民の信頼を大きく損ね、そして俗に言うかなりもう権威が地に落ちたというところまで来てしまったのではないかと思いますが、その外務省を再生するために何が使い得るかということを考えますと、あるものは、何といってもその中にいる非常に優秀な人の多い職員の力であると思いますので、こういう職員の力を何とかして再活性化して、そして外務省を、非常に強い外交を行うと同時に、国民の皆様にサービスできる、領事事務等においてサービスできる機構にするということで、どうしても人事を、大きくやり方を見直さなければならないと思っております。 そういうことで、研修制度から始まりまして、いろいろ人事制度の問題について考えを述べさせていただきます。

 具体的な細かいことに過ぎるじゃないかとおしかりを受けるかもしれませんが、大臣の御方針がスピードと透明性とともに具体性ということもございますし、やや具体的な細かいことも申し上げることをお許しいただきたいと思います。

 外務省には研修制度というのがございまして、それぞれのレベルで研修を受けるわけでございますが、特に重要なのは新しく入ってきた人たちを研修する初任研修でございますけれども、この感受性の鋭い若い事務官に対して行う初任研修において、もちろんこれから日本の外交を行うこの外務省に入ったという誇りと申しますか、そういう気持ちは重要なのでございますけれども、間違ったエリート意識というようなものを植え付けないようにその辺をしっかり教育しなければなりませんので、オリエンテーションは十分注意しなきゃならない。例えば、中小企業の現場で一か月間働くというようなことも考えられていいのではないかとさえ思っております。

 なお、入省後の二年目から始まる海外での、これはT種又は専門職の職員でございますが、大学での語学研修を受ける研修員に対しましては現在は外交旅券を与えておりますが、やはり特権意識を排除するという意味からは外交旅券を与える必要はなく、公用旅券でいいのではないかと、こう思っております。

 それから、中間管理職に対する人事院研修その他の研修は、これは休暇帰国であるとかあるいは時間的余裕のあるときに中間研修をもっと外務省の人に受けてもらうということ、あるいはボランティア活動に参加してもらうということもやっていいのではないかと思います。

 それから、大使でございますけれども、やはり発令前の一定期間、例えば六か月、外務省研修所などにおきまして、これから行く任国の言葉、ベトナムであればベトナム語、タイならタイ語、アフガニスタンならアフガニスタンの言葉というものを覚えるということ、特訓を受けるということを考えていいのではないかと思っております。

 次に、いわゆるキャリアとノンキャリアとか、外務省の階級的差別というようなことがよく言われますが、その中で一番高い地位にあるのがT種職員でございます。

 このT種の試験に合格したことでもう将来大使になるまで身分が保障され安泰であるということになりますと、従来は全員ではなくてもほとんど大部分がそういうことであったわけですが、やはりそれでは大学卒業直後からのずっと研さん努力というものがなくなってしまうということが恐れられることがありますから、入省時の試験というのは一つの目安と考えて、その後の昇進は専門職もあるいはT種も皆競争原理の上に立って行うということでなければならないんじゃないかと思っております。

 そういうことで、T種職員につきましても、いわゆる昔の外交官・領事官試験の合格者でございます、自動的な昇進はやめて、それから管理職や大使等の在外公館長に不適格な者はそういうポストに就けないというしっかりした競争原理等を持った人事を行うべきではないかと、こう思っております。

 それから、これも細かいことで恐縮でございますが、外務省の省内には各課がございます。その各課には幾つかの班があるわけでございまして、課長がおりまして、課長の下に総括補佐に当たる首席事務官がおりまして、その下に通常は総務班長というのがいまして、総務班というのがございます。大体、この総務班長というのは非常にT種の若い人なんですが、こういう人たちが非常に経験の豊富な、年もいったほかの各地域、国などを担当している班長さんにどんどんトップダウンで命令を下していると、これはやはり本当に一生懸命下からずっとやってきた人たちのやる気をなくしますので、そういう制度は改革して、できる限り総務班などというものはやめてしまうというぐらいのことを考えてもらいたいと思っております。

 それから、研修でございますけれども、今は大体在外研修は二年でございます。しかし、英語を勉強した人が英語の国へ行ってまた二年英語をやる。確かに上手になるでしょうけれどもそれだけでは駄目なので、少なくとも外務省にプロとして入る以上、二か国語、外国語の二か国語ができなくちゃいけない。したがって、研修を三年にしまして、英語とあるいはもう一つはフランス語でありスペイン語であり、あるいはさらにタイ語、インドネシア語、カンボジア語、ラオス語であるというようなことで、少なくとも外国語二か国語ができるような人を養成すべきじゃないかと思っております。

 それから、問題はでございますね、専門職職員という大変な有能な職員の集団がおります。これはいわゆるU種の職員でございますが、問題は、どうしても専門職職員のエネルギーを爆発させると申しますか、引き出すということは、これはもう外務省の再生のために非常に重要だと思っております。

 そこで、ちょっと言葉がおかしいかもしれませんが、外務省の専門職の問題の複雑なのは、彼らの能力が、外務省の専門職職員の能力が非常に高いということなんでございます。外務省のT種の職員と専門職職員の能力の間には、民間の総合職と事務職のような差はございません。ところが、外務省ではこのT種で入省した人だけを人格、識見の秀でた者として取り扱っておりますので、こういうことはあっては、今後は改善しなければならないと思います。そういうこともございますので、この専門職の人たちを非常に励まして、大いにその活力を出すということは是非やらなければならないんでございます。そういうことが重要だと思っております。

 能力主義による任用ということがどうしても必要なんでございますが、つまり適材適所でございます。専門職の人であっても大使になれると、その大使に今でも一三%ぐらいの人がなっているということでございますが、これは単にめどでございますが、初めのうちはどうしてもある程度めどが必要かと思いますが、全大使のポストの二〇%ぐらいは専門職の人に与えるという、そういうことをして、この二〇%などという数字を固定化する必要は全くございませんが、そういうことをやっていいのではないかと。例えば、トルコの専門家はトルコの大使に、スウェーデンの専門家はスウェーデンの大使にというような、全部が全部そうでなくても、ことが可能になる、実力競争の社会にするということが大事じゃないかと思います。 それから、大学卒でない方で高卒のV種の職員という方が外務省にはたくさんおりますが、この人たちも本当に楽しく働けるようにするためには、自分たちが本当に必要とされている分野において職能化をすると。例えば、秘書業務を担当する人は秘書のプロになる、それから会計を担当する人は会計のプロになる、だれにも負けないプロになるということでございますね。こういうことをもっとやっていかなきゃならないし、またV種の職員の方々も中で非常にできる人はどんどん外交・領事事務に抜てきしていくということが必要かと思っております。

 次に、よく言われる、非常に重要なことでございますが、外務省の外との人事交流の拡大でございます。これは極めて重要なことでございますが、大使のポストや一部の本省幹部に優秀な外部の人材を思い切って入れるということをしないと、やはり組織の力が停滞してしまうのではないかと思われます。 それで、特に大使につきましては、現在百二十一大使のポストがあると計算されておりますが、毎年T種の職員というのは、若いT種の職員は二十数名採用しておりますが、T種の職員だけでこのポストを全部埋めるというのは無理です。そして、先ほども申しましたように専門職の職員を二十数名仮に入れても、なおかつそれでも十分とは言えない。T種の職員の中の本当に優秀な人でその後を埋めることはできないと思いますが、そこで外部の方、これは外務省以外の省庁の方及び民間の方でございます、特に優秀な民間の方に是非来ていただいて、相当数の人材を、他省庁出身の方を含めた学者、財界人などを入れて、そういう方を採用すべきであると思います。 つまり、外務省の省内にありましては、競争を勝ち抜いた者のみが大使という重要な役職に就けるということ、これはT種の人であってもそうであるということにすべきではないかと思っております。 その他、中間管理職と申しますか、あるいは中堅クラスの職員にも、課長、課長補佐のところにも、あるいは少数であっても外部から、銀行であるとか、商社であるとか、その他特殊法人であるとか、そういうところからも人を入れると、新しい血を入れると申しますか、そういうことは絶対に必要ではないかと、こう私は考えております。

 あとは、在外公館、大使館等でございますが、ここでよく問題にされることでございますが、館員の奥さん、奥様方ですね、夫人がどうかというと、御主人の階級によって女の方の、御夫人の階級も決まってしまうというようなことがよく言われますし、それは私はある程度そういうことは否定しませんが、それはこの現代において非常におかしいことなので、こういうことは省の方針として廃止すべきではないかと、こう思っております。 取りあえず、今申し上げたのが私の個人的に述べておる意見でございます。

広中和歌子君 先ほど、大使を民間からとか適材適所とかいろいろなサジェスチョンがございましたけれども、どういうふうに人を選ぶかという、だれが選ぶかということが本当に問題なんではないかなと思うわけでございまして、大臣、政務官、そういう人たちに任せろとおっしゃいますけれども、少なくとも今のシステムというのは、大臣も、要するに一年間我慢していただく方にすぎないといったような、そういうことで、実際にトップダウンのシステムができ上がっていないということに非常に問題があるんではないかと思うんでございますが、改めまして宮内参考人にお伺いします。

 それから、現在の外交というのがむしろ非常に専門性が必要となっているんではないか。つまり、サミットであるとか条約交渉であるとか、それは金融、経済、環境、人権、司法、防衛とか、そうなりますと、こんなことを言っては大変失礼なんですけれども、どちらかというとジェネラリストの集団であるところの外交官ではハンドルできないと、マネージできないというそういう問題があるんではないか。そういうときに、ですから人材登用というものはむしろチームとして、例えば財務省とか、それから経済の専門家であるとか、貿易の専門家であるとか、あるいは環境専門家、そういうふうに、やはりもっと新しい形が模索されるんではないかと。

 先ほど、田村議員が外務省不要論というふうにおっしゃいましたけれども、それはどういう意味でおっしゃったか分かりませんけれども、ある意味では全く新しい抜本的な改革というのが必要なんではないかなと思うところでございます。

 それから、最後に言わせていただくと、こういう変える会が作られたことは大変結構なんでございますけれども、これまでも何遍も作られたし、大使なんかもよそから、民間人からという、そういう意見を言った方は、次にはこういう変える会みたいな会ができたときの委員に招かれないということもございまして、そういうことで私は大変悲観的でございます。
 以上です。

参考人(宮内義彦君) 今、広中先生がおっしゃったようなことにならないようにしたいと思っておりますが、まず、だれが選ぶかということ、これ、正に政治の力というか、にもよると思います。そういう意味で、やはり外務大臣は最も外交に精通した責任者を選んでいただくと。そして、先ほど船橋さんがおっしゃったように、外務大臣が自分の強力なチームということで副大臣と政務官をお選びになる、そういう形にすれば非常に強い政治チームができてくるのではないかと。今のところ、残念ながらそうはなっていないということでございますから、新しい制度につきまして政がどんどん入っていくということにつきましても、その編成の仕方はまだ多くの工夫があるような気がいたします。

 それから、専門性の問題、おっしゃるとおりでございまして、それから、外交はいろんな人がやっていると。この間のシイタケと畳表と自動車の制限、これは農水省と経済産業省とどっちも省益をむき出しにやるということは、恐らく国益にはならなかった。そこへ私は、そういう専門家の意見を聞いて外務省は総合調整をして、国益のためにはこちらは辛抱してくださいよということで、そして外交の衝に当たるということであるべきではないかというふうに思います。NGOの問題なんかもそういうところは非常に多いと思います。

 そういう意味で、私は、外交は多角的、多面的になったということを始めに申し上げましたけれども、なればなるほど外務省の持つ総合調整機能という最も大きな能力、これが問われてきておると。外務省の、そういう意味では仕事は減ったんではなく、非常に責任は重くなってきたんじゃないかという認識を持っております。 それから、この変える会が、実は私も別にいいリポートを外務省に出してまた次何かに呼んでもらおうという思いは全くございませんので、委員の皆さんもそういう思いは持っておりませんので、力の及ぶ限りの提言をさせていただきたいというふうに思っております。