第153回 外交防衛委員会
2001年12月4日(
火)

○国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案

☆答弁者

田中 眞紀子外務大臣
中谷 元防衛庁長官
福田 康夫官房長官
萩山 教嚴防衛庁副長官


広中和歌子君 おはようございます。民主党の広中和歌子でございます。
 法案の審議に入ります前に、けさ報道されておりますイスラエルがパレスチナ自治政府に対してミサイル攻撃を始めたと、そのニュースについて伺わせていただきたいと思います。

 九月十一日のアメリカ同時多発テロ以降、世界の注目は、その首謀者オサマ・ビンラディンをかくまっているタリバン、その勢力が実質支配しているアフガニスタンに注がれてまいりました。その間、テロの遠因とも言われるイスラエル、パレスチナ関係は小康状態を保っていたということが言えるのではないかと思います。

 ところが、アフガニスタン状況が急展開し、タリバンを追い詰めるといった状況が生まれてきたきょうこのごろ、これまで一連の爆弾テロに対して、イスラエル軍がパレスチナ自治政府アラファト議長公邸を攻撃したと、そういうニュースがけさ報道されております。それに対してアメリカは、イスラエルの報復攻撃を容認しているといったような報道もされているわけでございますけれども、けさのこの攻撃に対して、イスラエルのパレスチナ自治区アラファト議長公邸の近くを襲ったというこの報復について、外務大臣からコメントをいただければと思います。

国務大臣(田中眞紀子君) 現在、イスラエル大使館等を通じまして鋭意情報を収集している最中でございます。けさもその指示を、改めて迅速にするように指示をいたしました。

 現在わかっていますことは、イスラエル軍は現地時間の三日の夕刻、本邦日本では四日未明になります、パレスチナ自治区ガザ地区のアラファト議長の執務室がある議長府付近を含む自治政府施設数カ所に対し、攻撃ヘリコプターによる機銃とミサイル攻撃を実施したと承知いたしております。このことにより、同議長のヘリポートとヘリコプター二機が破壊されました。また、少なくともパレスチナ人十八人が負傷したと報じられております。

 以下、引き続き刻々と情勢の変化を掌握するように言ってございます、指示をしてございますが、日本は基本的に和平交渉、ミッチェル・リポートの履行ということを、遵守をずっと働きかけてきておりまして、一日も早く和平の交渉ができるように、そして、このことがまた次なる中東戦争に間違ってもなることがないように、アメリカも含めてやはり自制をしていくということが大切だと思いますし、かねがね、アラファト議長やシャース長官、これはパレスチナ側でございますけれども、それからイスラエルのペレス外務大臣とも、最近ちょっとここのところ、私がパキスタンに行った後はございませんけれども、連絡は本当に頻繁にいただいておりますので、とにかく和平交渉をするというところに両方が歩み寄ってほしいということを今までも言っておりますし、今後もそのために最大限何ができるかということを考えなければいけないというふうに思っております。

広中和歌子君 アメリカは、アフガニスタンにおける攻撃を始める前後あたりから、イラクも視野に入れたことを考えているというふうに一応報道されているわけです。そして今度、今まで非常に静かにしていたとされるパレスチナ、イスラエル間の状況がこのように変化をし出しますと、本当に中東を中心としてもう世の中ぐじゃぐじゃになってしまうんではないか、世界がぐじゃぐじゃになってしまうんではないかという、そのようなおそれを感じさせられるようなけさの報道であったわけで、外務省といたしましては、私が申し上げるまでもないと思いますけれども、引き続き注意を払い、そして距離を持ちながら冷静に日本のとるべき道をとっていただきたいと、そのようにまずお願い申し上げたいと思います。

 それでは、PKO法に移りたいと思いますけれども、敗戦後、我が国は冷戦下にあって、日米安保に守られ、平和憲法を盾にして、世界に起こったさまざまな紛争の渦中に巻き込まれることはほとんどございませんでした。そして、世界の中で日本の貢献についても問われることがなかった。ODAの供与を続けている限り、ほとんど問われることがなかったわけです。それが問われるようになったのは、冷戦後、湾岸戦争が起こってからのことで、当時のブッシュ大統領、今の大統領のお父様でいらっしゃいますけれども、のいわゆる新しい世界秩序をつくるためということで、国の内外で日本の貢献が真に問われるようになったのではないかと思います。

 結果として、日本は湾岸戦争に百三十億ドルの拠金をいたしましたけれども、ほかの国々のように直接現地に、その戦火のさなかに参加することもなく、多国籍軍を後方から支援するということもおくれてしまったというようなことで、さまざまな思いが残ったのではないかと思います。そうした思いの中で、一九九二年、PKO法案が成立、日本のPKO参加への道が開かれるようになったというのはみんな知っていることでございます。

 それでお伺いいたしますけれども、一九九二年以降九年間の活動実績についてお伺いしたいと思います。過去の経験から学んだこと、そしてそれをどのように評価していらっしゃるかということ、それを踏まえ、なぜ今改正が必要なのか、そして今後PKOの活動はどのような方向に展開すべきかといったことを、いろいろ大きな質問でございますけれども、要領よくお答えいただければと思う次第でございます。

副長官(萩山教嚴君) お答えいたします。
 自衛隊は、これまで実施した国連平和維持活動や国際的な人道救援活動において、派遣先国政府の評価を含めた国際的に高い評価を得ているところであります。これらの経験を通じて得られた教訓、反省事項としては、派遣部隊に対する継続的な補給や派遣隊員の留守家族支援などにおいて防衛庁・自衛隊という組織を挙げての対応が不可欠でありました。業務の実施や安全の確保において、派遣先政府、国連NGO、現地住民等との良好な関係が不可欠でもありました。

 国連平和維持活動のための業務を実施する際に、司令部としましては、一層緊密に意思疎通を図るためには司令部要員の派遣が望ましいこと、個々の隊員の判断によるものとされている武器使用について隊員の心理的な負担が大きかったことが挙げられております。防衛庁は、これらの貴重な経験を今後のPKO活動に生かして努めていくことが必要と考えております。

 また、派遣部隊の継続的な補給を行い、派遣隊員が派遣先において安んじて業務に専念できるようにするために、航空自衛隊の輸送機による追送品、品物、あるいは食糧、慰問品等の輸送や留守家族の支援、派遣隊員に対するビデオレター等の送付を実施いたしております。派遣先国との密接な連携を保つための連絡調整要員の派遣、国連PKO司令部との緊密な意思疎通を図るための司令部要員の派遣等を行ってきたところであります。

 さらに、武器の使用については、平成十年に国際平和協力法の改正により、部隊として参加した自衛官の生命、身体を防衛するため、武器使用については、原則として現場に上官があるときはその命令によらなければならないこととされたところであります。
 以上であります。

広中和歌子君 どうもありがとうございました。
 では、ちょっと具体的にお伺いいたしますけれども、PKOの要請というものはだれから来るのでしょうか。具体的な要請があるのか、それとも日本が、何というんでしょうか、自発的に参加に手を挙げるのか、そのところをちょっと具体的に教えていただけませんか。

国務大臣(田中眞紀子君) PKOの参加要請がだれからどのように来るかというお尋ねだと思いますけれども、国連PKOへの正式な参加要請につきましては、通常は国連のPKO局から日本の国連代表部に対してなされております。
 それから、PKO局は、国連事務──済みません。

広中和歌子君 ありがとうございます。
 そのPKO局でございますけれども、そこに日本人が参加していらっしゃるのかどうかということ、それから日本の対応状況などについても十分な状況が行っているのかどうか、そのことについてもお伺いいたします。

国務大臣(中谷元君) 公務員としては参加しておりませんが、日本人が、国連の職員として雇用された人間がPKO局には勤めていると思っております。

 この前の改正によりまして、自衛官がPKO局で勤務をするということを法律改正でお認めいただきまして、今後、国連のPKO局に防衛庁職員を派遣をして実際に勤務させたいというふうに考えております。

広中和歌子君 先ほどの副大臣のお話で、これまでPKOへの参加の頻度とか総数についてはお伺いしなかったわけですけれども、今後それはどんどんふえていくというふうに思われますか。

国務大臣(中谷元君) 今後のことにつきましては、世界が非常に情報化をされ、また科学技術で航空機等が発達をしてますます世界の相互依存というものが深まっておりますし、これまで我が国の人的な面でのPKOの協力等を踏まえまして、より積極的に我が国が国際的地位に、責任にふさわしい協力をすべきだと、また世界からより尊敬される国を目指して国際社会の中であるべきだと考えておりまして、とりあえず来年の三月には東チモールのPKOに自衛隊の施設部隊を派遣するための準備を現在行っておりますが、今後、国連においてPKO等が計画をされる際には、我が国が参加して適当なものか検討して、より積極的に参加していきたいというふうに思っております。

広中和歌子君 PKOに参加するための予算、我が国のPKO予算でございますけれども、それは、上限というんでしょうか、何かあるんでしょうか。

国務大臣(中谷元君) 現状におきましては、自衛隊の派遣に関して防衛予算の内部で実施をいたしております。

広中和歌子君 ということは、その中で賄うということで、エキストラに必要になるというようなことはないということでございますか。

国務大臣(中谷元君) 政府の中にPKO本部がございまして、それにかかわる予算はそちらの方でございますが、自衛隊の運用等の経費に係る費用につきましては防衛予算の中で実施をいたしております。

広中和歌子君 PKO予算でございますけれども、これから、今防衛庁長官もおっしゃいましたように、非常に世界の中に不安定要素がふえる、そしてPKOにも参加したい、そのようなお言葉でございましたけれども、やはりある程度の予算の上限みたいなものが、個々のPKOの派遣についても、あるいは全体像としてもなければいけないんではないかと思うのでございますけれども、その点について、特に質問通告はしていたかどうかわかりませんけれども、これは大変大切なことでございますので、もしかしたら官房長官のお答えになるのかもしれません。今おいでになったばっかりで大変恐縮でございますけれども、予算についてお伺いいたします。

国務大臣(福田康夫君) 国際平和協力業務などは、国際連合の要請など、内外の情勢に対応して実施するということになっておりますから、大体予測をすることが不可能な場合が多いわけであります。予測ができるようなケース、継続してやっているものとか、そういうものはよろしいんですけれども。

 そういうようなことでございますから、国際平和協力本部におきましてそういう経費は通常、予備費で対応する、こういうことになっているところでございます。

広中和歌子君 予備費は今幾らぐらいなんですか。

国務大臣(福田康夫君) たしか三千億だったんですけれども、いろいろ使っておりますので、あと幾ら残っているかは私、存じません。

広中和歌子君 それと同時に、我が国は国連のPKO局ですか、そちらにも分担金を払っているんではないかと思いますが、それは幾らぐらいでございますか。

国務大臣(田中眞紀子君) おっしゃるとおり、分担金滞納というものが国連の財政基盤を弱くするとして問題になったことがございますが、結論から一言で申しますと、アメリカが支払いましたので以前よりも改善されてきているということは申し上げられます。

 それから、そうした中でも、PKOの改革等に伴います国連の諸経費につきまして、現在、国連で各加盟国の分担金の議論の中で審議されておりまして、そして日本は二位の拠出国でございまして、四・三七億ドル拠出しております。ちなみに、一位がアメリカ、二位が日本、三位はドイツ、四位フランスという順番でございます。

広中和歌子君 PKO予算もさることながら、国連全体としての予算ですか、それが一位がアメリカ、二位が日本という形で、一生懸命先進国である我々も含めて頑張っている国があるわけでございますけれども、今大臣のお言葉にもちょっとございましたように、トータルとして非常に不足をしているし、それから今後不足していくんではないかと。

 つまり、世界政府というものは現在存在はしないわけですけれども、国連を中心とした役割がどんどんふえてくると、国連予算というものもどんどんふえてくる。特にPKO予算なども膨れ上がることが予想されてくるわけでございますけれども、何というんでしょうか、この国連の財政措置、今までのように先進国から順番に払っていって、全然払わない国もあるわけですけれども、もうちょっと広く薄く取るような新しい国際税みたいなものですか、国連協力税みたいなもの、そういったものを考える時期に来ているのではないかと思うわけでございますけれども、外務大臣の方ではそのようなお考えを持たれたことがございますでしょうか。

国務大臣(田中眞紀子君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、国連全体の財政が改善はされてきておりますけれども、そのような中で、今まさしく委員御指摘のように、PKOの改革に伴いまして諸経費というものも今後やっぱり増加していくだろうというふうにも思います。

したがいまして、各国分担金の議論の中で審議もされているというふうに承知しておりますけれども、国連の行財政改革ということにつきましても積極的に日本も参画、発言をしていくべきだというふうに思いますし、日本としてもさらにどのような貢献が可能かということを考えますし、さらに、日本だけ、今おっしゃったように大国だけがやっぱり負担するのではなくて、今おっしゃったような手法といいますか、そうしたこともやっぱり考えていかなければならなくなるというふうに思います。

広中和歌子君 時々、私、途上国を訪問いたしますときに、そこで一部の非常に豊かな人たちが存在する、つまり途上国には特に貧富の格差が大きいということに気がつくわけでございます。私どもODAを上げている国の議員なりビジネスマンなんかよりも、よっぽど豊かな暮らしをしている人たちが例えばそういう途上国にいっぱいいらっしゃるというようなことを考えますときに、もうちょっと、国際税ですよね、つまり国連税でもいいです、そういうものを工夫する必要があるんではないか、そのような思いをかねてから持っております。

 例えば、為替の移動に関してかなり、数年前ですか、特にスペキュラティブなものが多かった中でトービン・タックスというんですか、それはもう大分前から言われていることですけれども、トービン税のようなもの、そういうものを考えてもいいんじゃないかというような考え方がありました。そういうことに関しまして日本がもうちょっと、少なくとも検討会を持たれる、そしてそれを世界に向かって発信していくというようなことが必要なんではないかと思うわけでございますが、外務大臣はそれについてどのようなお考えをお持ちでございましょうか。

国務大臣(田中眞紀子君) おっしゃるとおり、国連の、国連というものの機能が多様化してきているということ、それから今おっしゃるように国別にやっぱりかなり極端な貧富の格差があるということ、富める方は大変大きな富を持っているということ。そして現実を踏まえると、やっぱり時代の変化といいますか、それから実態の掌握度、認識度ということを踏まえますと、例えばこれは一案ですけれども、国別の分担金というのが最初のオリジナルな考えであるとすれば、多様化と変化を踏まえて例えば国際消費税みたいなことをもう議論されていることもあるとは承知しておりますけれども、それがベストかどうかわかりませんけれども、やはりそうしたことについて、国連の貢献度とかそれから拠出する側の、個人とまでいきませんけれども、そうしたありようについて検討していくということは非常に先見性のあることと思いますし、必ずそういうふうな意見が出てくると思いまして、大変貴重な御指摘だというふうに思います。また、持ち帰りまして、できるだけ検討もできるように指導もいたしたく存じます。

広中和歌子君 これは外務省だけではなくて、政府全体として、財務省も含めての検討課題になるんではないかと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 それから、続けまして、これからの戦争でございますけれども、テロとか内戦とかというような形、新しい形をとり出しているわけでございます。そういう中で、ちょっと先ほどのテーマに戻るわけですけれども、我が国のPKO対応についてですけれども、そういう新たな状況に対して我が国の自衛隊が例えばPKOに参加した場合のリーダーシップとかそれから能力とか、そういうものに対して忌憚のない御意見をお伺いしたいなと思うのでございますけれども、どうでしょうか。

副長官(萩山教嚴君) お答えいたします。
 PKO活動に派遣する場合は、派遣前に、国際平和協力業務の意義、具体的な業務内容、あるいはまた派遣先国の生活習慣を含む現地情勢、派遣先国の言語などについて所要の教育訓練を行っているところであります。

 二つ目には、幹部学校などにおいて国際平和協力業務の現状などに関する教育を行っておるほか、一部の隊員には、北欧諸国、スウェーデン、オーストリア、カナダに対して研修の場を設け、国際連合平和維持活動に豊富な経験を有する国々を回ることによって身につけていただいておるわけであります。

 今後、こうした教育訓練をさらに充実させることにより、任務遂行に遺漏なきを期していきたいというのが我々自衛隊の教育方針でございます。

 それからまた、ただいまゴラン高原の方に行っておりますけれども、UNDOF、ゴラン高原の地理的条件とかあるいは地形、あるいは気象、住民、産業の教育、またイスラエルを回る動きとしてパレスチナ問題、中東和平問題を協議いたしております。そしてまた、イスラエル、シリア及びレバノンの歴史、宗教、文化、生活、治安状況、交通状況などの教育もいたしております。また、現地用語としては、アラビア語、ヘブライ語などを教育して現在までやっておりまして、ゴラン高原の方に派遣をいたしました。
 以上であります。

広中和歌子君 私ども一般の人間にとりましては、日本のPKO対応能力についてほとんど知らされていないものでございますから、今お答え、御説明いただきましたようなさまざまなトレーニングを積んでいらっしゃるということは全然知りませんでしたので、大変いいことを言っていただいたと思うんですが、ちょっと意地悪な疑問を呈するとしたら、今まで余り実戦経験がなかったし、そういうような、それからまた日本がこれまで島国であり、語学のハンディもあり、そして一つの組織の中でじっとしていらっしゃる人たちが多い中で、果たしてこれから幅広くPKOを、その活動もいろいろあるわけでございますけれども、どのような日本がリーダーシップを発揮できるんだろうかというようなことが心配なわけでございます。

 自衛隊の中に、PKOの専門の訓練所みたいなものはあるのでございますか。

国務大臣(中谷元君) 特に特別な訓練所というものはございませんで、各部隊、主に普通科部隊とか施設部隊とか、その中でPKOに派遣する要員を指定して事前の教育訓練等を行っております。ですから、専門の部隊というものは現在のところ有しているわけではございません。

 それから、日本のリーダーシップをということでありますが、これまでの派遣の経験を見てみますと、非常に日本はコンピューター等の機材を駆使して非常に事務的にスピーディーに処理をしたり、非常にその仕事一つ一つが大変丁寧に行われておりまして、例えば車のとめ方なんかも、タイヤの線をきちっと引いて、横から見たら一台の車がとまっているような形できちっと整理をしているそうです。

 そういうものがほかの部隊から見て、より厳正なPKO活動をすることの一つの模範となるような、そういうことで、その仕事ぶり等については非常に高い評価を得ていますし、また日本人自体が平和に対する思いが強いし、また武力行使をしないという前提での活動等にも日ごろから精通しておりますので、あらゆる面で日本の活動が参加国の活動に影響を与えている部分があるのではないかというふうに思っております。

広中和歌子君 指揮命令系統ですけれども、それはもう日本は日本でということで、外国にゆだねるということは今までなかったわけですか。

国務大臣(中谷元君) そのとおりでございます。
 国連で行う活動自体が日本の活動に支障のない範囲で参加しておりますし、国連の出されるコマンドが日本に合致したものにおいて現在活動いたしておりますので、現在問題にはなっておりません。

広中和歌子君 そうすると、全体のオペレーションの中で本当に小さな役割をやっていくという、そういうことでございますか、今の段階では。

国務大臣(中谷元君) 現在まで実施している項目は、主に後方支援を中心としておりまして、それの一部でございますし、参加する際におきましては各司令部と取り決めをして実施をいたしておりますので、その全体の活動の一部を実施をしているという現状でございます。

広中和歌子君 そうすると、絶えず日本の部隊はその司令部と言うんでしょうか、PKO全体を包括している、そこにリポートをするという、そういう関係になるわけでございますか。

国務大臣(中谷元君) 現在も各地で行われておりますPKOの司令部には、司令部要員として要員を派遣をして全体の事務的な仕事をいたしております。そういった中で、日本の実施する内容につきましても、あらかじめ参加する際には国連と取り決めをして、それに従って行われているPKO活動の一環として、またその司令官の指示のもとに実施をしているわけでございます。

広中和歌子君 今までのPKO活動、何カ所かいらしているわけですけれども、いわゆる人命を失うというようなことは、要員の人命を失うということはなかったわけですね。

国務大臣(中谷元君) 我が国が派遣した要員が死亡するという例はございません。

広中和歌子君 さて、これからアフガニスタン問題に入るわけですけれども、内乱とかテロ、そしてまた外国人部隊というようなのがいるわけでございまして、停戦合意ということが行われた後で我が国が後方支援という形にしろ何にしろ参加した場合ですけれども、停戦合意がなかなか守られないというようなこともあるんではないかと思いますが、それについてコメントをいただけますか。

国務大臣(中谷元君) この法案によりますと、停戦合意が参加の要件になっておりまして、この停戦合意というのは、武力紛争の停止及びこれを維持するとの停戦当事者間の合意と定義をされております。この形式につきましては、当事者同士によります停戦協定の署名と調印によるもの、また停戦呼びかけを内容とする国連安保理決議の受諾、また文書によらない停戦の意思の表明など、いろんなものがあり得るわけでありますけれども、我が国が参加をするPKO活動の大前提が武力紛争の停止、いわゆる停戦の合意でございますので、この合意が確認できるものであれば参加をいたしますし、我が国が参加をするということにおきましては停戦合意が存在するという状況でございますので、常に定められた停戦合意が守られているかどうかは見守っていかなければならないというふうに思っています。

広中和歌子君 前回、前々回、いろいろこの委員会でも出ましたけれども、停戦合意が破られてしまったような場合には撤収ということになっておりますけれども、ともかく現地に行ったことがございませんのでわかりませんけれども、ともかく即時対応しなくちゃならないというようなことがいろいろあると思うんですけれども、そういう指揮命令系統というのは日本が独自に持っているものなんでございますか。

国務大臣(中谷元君) あくまでも参加する上においては我が国の主体的な判断で参加をし、また撤収をするわけでございますが、そもそも国連のPKO活動自体が停戦の合意、また中立受け入れ国の同意という前提で存在をいたしております、基本的に。我が国が参加する場合はそのようなPKO活動でございますので、我が国だけが勝手に撤収するといった状況は想到しがたいわけでありまして、むしろそのときは、そこにあるPKOの活動が中止もしくは中断するという事態になるのではないかというふうに思っております。

広中和歌子君 それでは、ブラヒミ・リポート、大変今話題になっているものでございますけれども、それにちょっと触れさせていただきます。

 幾つかの原則というんでしょうか、勧告のポイントがあるわけでございますけれども、ちなみにブラヒミ・リポートというのは、国連平和活動検討パネル報告書でございます。その議長をされているブラヒミさんのリポートでございますけれども、二番目に、強力な交戦規定が必要であるというようなこと、ROE、多分ルール・オブ・エンゲージメントですか、それが必要だと。

 その中身というのは、要員自身のみならず、他の要員及び任務を守ることができる必要があるということでございまして、交戦規定は、警察比例の原則、つまりストローク・フォー・ストローク・レスポンス、つまり、目には目をということではなくて、それに限定せず、破壊的な攻撃の根源を沈黙さすに足る反撃能力の付与を認めるべしと、そのように書いてございますけれども、これは現場判断でやることだろうと思いますが、これについてどのようなお考えでございましょうか。

国務大臣(中谷元君) 確かに、広中委員のおっしゃるように、ブラヒミ報告においてROEですね、武器使用基準の強化に関する記述があるというのは事実でございますが、国連の事務総長は勧告のいかなる部分もPKO要員が武器を使用する従来からの原則を根本的に変更するのではないというふうに発言をいたしております。

 また、中立性におきましても、ブラヒミ報告も、紛争当事者の受け入れの同意はPKOの基本原則であり続けるべきだとしていることでありまして、このような同意はPKOが紛争に対して中立的な立場で活動することを前提にしておりまして、PKOの中立性が特に問題になることはないというふうに考えております。

広中和歌子君 今、中立という言葉お使いになりましたけれども、このインパーシャリティーの概念の明確化も、同じくこのブラヒミ・リポートで指摘されております。

 中立性とは、国連憲章の原則及びPKO任務の目的への忠誠ということでありというふうに書いてございますけれども、いわゆる価値中立ではないと。及び、当事者に対する平等性とは異なるのだということも言われております。これについても、どうでしょうか。

国務大臣(中谷元君) PKOの基本原則は引き続き守っていくということでございますので、この中立的な立場でPKOが紛争に対して活動するということは前提でもありますし、この原則は継続されるものであるというふうに考えております。

広中和歌子君 それから、迅速かつ効果的な展開能力の必要性というようなことも言われているわけですが、これなどは、我が国は後方支援と限っていても、いつの間にか前線に出ていってしまうこともあるわけですけれども、その臨機応変の対応ということについてどのような指示を出されることになるんでしょうか。

国務大臣(中谷元君) この緊急展開とか迅速かつ効果的な展開能力というのは、世界の紛争が発生をし、また、それが解決をされて平和を維持する際に、迅速にPKO活動が行われるために各国に対して待機制度等を設けて、事前に登録をしたり、ある国においては何人ぐらいの兵力を出すことができるかと、あらかじめそのような状況を国連自体が把握をしている上において、準備行為の一つとしてブラヒミ報告で検討されているというふうに認識をされております。

 我が国としても、この対応等につきましては、現在、どのような制度ができるのか、具体的に協力が可能かどうか、こういう観点で検討していきたいというふうに思っております。

広中和歌子君 先ほど、PKOに協力するための総予算的なものはまだケース・バイ・ケースで捻出していくんだというようなことをおっしゃいましたけれども、つまり待機者リストの中に名前を連ねるというんでしょうか、それを我が国はしているのかどうか、そして大体どのくらいの要員であったらば日本から送ることができるのか、それは一カ所だけではなくて世界じゅうに展開されるということもあり得るとは思いますけれども、大体どの程度の見積もりを考えていらっしゃるんでしょうか。

国務大臣(中谷元君) この待機制度の充実強化につきましては国連で現在議論をされておりまして、この議論の今後の推移とまた国連の事務局の対応も見守りながら、国内の関係法令の中でどのような協力が可能か等についてまだ検討している段階でございます。したがいまして、現実に要員の待機リストを提出をして国連に申し入れをするというような段階ではございませんで、現在、法制上の問題も踏まえて、いかなる協力が可能かについて検討をしている段階でございます。

広中和歌子君 非常に慎重な御答弁に終始しているわけでございますけれども、さて実際にアフガニスタンにこれから積極的にPKOが参加するという場合、どのような役割が期待されると思っていらっしゃいますでしょうか。

 食糧、水ですよね、これは非常に大切だろうと思います。水に関しましては、水がなくなると、ともかくそこの土地を捨てて難民キャンプに流れ込まなければならないというようなことが言われておりますように、水を供給する、井戸を掘ってあげるなどなど非常に大切だろうと思いますし、それは食糧を運ぶ以上に大切なことだろうと思いますけれども、まず食糧、水についてお答えいただけますか。

国務大臣(中谷元君) この水、食糧を補給、支援する等も含めまして、それが本当に行うことができるような状況になるかどうかというのが一番のポイントでありまして、現在、対応するとなりますと、テロに関連した法律であるのか、またPKO法で実施するようになるのか、それにはその参加の前提となる要件を満たしているというのが必要でございまして、現在、アフガニスタンの今後の問題等につきましては国連等を中心に国際社会の中で話し合いをされておりますし、今後の治安維持等の話も含めてアフガニスタンの各派の代表も交えて議論が展開をされておりますので、そういった状況を見つつ、また現状も十分把握した上で、関係国また関係機関とも十分協議をしつつ検討していかなければならない問題であるというふうに思っております。

広中和歌子君 医療支援についてはどうでしょうか。自衛隊は結構立派な医療体制をお持ちだと伺っておりますけれども、そういう点について。

国務大臣(中谷元君) 実際にルワンダの難民支援のときは、現地に野外の医療施設のための体制を立てたり、また現地の施設を生かした病院を設置をしたりすることもいたしました。また、ホンジュラスにおいてハリケーンの災害が出たときも、二週間の短期間に医官七名で約四千人に対する診療を実施したほか、地域の防疫活動も実施をしたわけでございます。

 このような観点で、野外における医療活動を実施する能力等は有しておりますけれども、アフガニスタンにおいてそのような活動が実施できる状況であるのかどうか、それは今後の和平のプロセス等も見守りながら、また実際にそういったニーズが本当にあるのかどうか、そういうことも勘案して今後検討してまいりたいというふうに思っております。

広中和歌子君 多分、そのニーズでございますけれども、一番今求められているのは、NGOとかそれから国際機関、これが食糧を現地に届けるということをやっているわけで、彼らはそれなりのノウハウも持っているし、経験があるわけですけれども、ただ、やはりその身の安全をお守りするということが必要だろうということで、アメリカあたりからNGOとかそういう国際機関の防護に関して自衛隊が協力できるかという打診があったというふうに新聞に出ておりましたけれども、それは事実なのかどうか、そして、事実であるかどうかは別といたしまして、日本はそういうことをする用意があるのかどうか、お伺いします。

国務大臣(中谷元君) 現時点においてNGOを防護する協力要請を防衛庁に米国が依頼したという事実はございません、承知をいたしておりません。

 また、NGOを防護するとなりますと、警護任務、また防護の任務が必要でございますが、現時点において海外における自衛隊を派遣する活動におきましては、この警護したり防護したりする任務が与えられておりませんので、そのようなNGOを防護するということにつきましては、今後法的整備も含めて検討しなければならない事項でございます。

広中和歌子君 それから、地雷の除去なんでございますけれども、今非常にたくさんの地雷がアフガニスタンに埋まっているというふうに言われております。日本は、少なくともこの前の湾岸戦争のときに、掃海艇で海に沈められた地雷を除去するのに非常な活躍をした。それには非常に日本の優秀な技術というんでしょうか、経験が生かされたということを伺っておりますけれども、この地雷に関しましては今どのような対応能力があり、そしてまた、それに対してどのような協力を惜しまない御決意なのか、お伺いしたいと思います。

国務大臣(中谷元君) 現在自衛隊が有している地雷除去の能力におきましては、通常、我が国において侵略が行われた場合にこれを防衛するという観点で、普通科、戦車、施設の各部隊において、一般的に地雷原の中に通路を開設をするための地雷原の処理器材を装備をしております。地雷の処理ローラー、また地雷原の処理車、また地雷原爆破装置等を保有をいたしております。

 一般的に地雷を処理するとなりますと、広い面において一つ一つ地雷があるかどうかを確認した上で処理を行っていくということでありまして、能力的には可能でございますが、本当に実施するとなりますと、この要員の安全の面、また国際的な協調の中で派遣先国やまたNGOとの関係で効果的に実施できるかどうか、これはまだ検討を要することでございまして、現状ですぐに派遣することができるかどうかということにつきましてはお答えすることが困難でございますが、そもそも、この地雷実施活動がいわゆる多国籍軍が展開された中で行われるのか、それともPKO活動が実施をされてその中の一環として行われるのか、ただ単に協力支援という形で実施するのか、いろんなケースがございますので、そのような中で関係国とも協議をしつつ、協力の可能性について検討していく必要があるというふうに思っております。

広中和歌子君 アフガニスタンが、今度の攻撃が一応終息した場合、その後いろいろやらなくちゃならないことがあるわけですけれども、紛争地域あるいは将来的に紛争を抱えている地域等々、もう本当に問題山積な世界でございます。東チモールの問題もありますし、それからアフリカの問題もあります。今現在、アフリカ復興会議というのが日本で開かれているわけでございましょう。

 そういうようなことで、本当に日本が頼りにされるということは大変結構なことでございましょうけれども、同時に日本のキャパシティーということもあり、うれしい悲鳴というんでしょうか、大変、どうしたら我々のリソースを世界各国の復興あるいはその紛争解決に使えるかということで、非常に悩ましい問題も抱えていらっしゃるんじゃないかと思いますけれども、外務大臣はどのような方向でこれからの紛争問題に取り組んでいこうと思っていらっしゃるのか、お伺いいたします。

国務大臣(田中眞紀子君) まさしくそのことが私もこの七カ月間近い中で感じていることでございまして、現在、TICADというアフリカ復興会議、きのう、きょうとやっております、それに参画し、そしてまた今回のアフガニスタン問題、それからチモールの問題もありますし、南米だって貧しいわけですし、アジアにもたくさんほかに貧しい国がございます。今まで日本は、経済状況のよいときに、とても、かなり気前よくといいますか、非常にそれは喜ばれているわけですけれども、ODA等で援助をさせていただいてきていますけれども。

 私は、きのうのTICADでも十一カ国の代表の方と、全体の会をやった後、個別に夜までずっと会わせていただきましたけれども、そこで必ず申し上げていることは、今の日本の財政事情の厳しさ、それから失業者がふえていること、国民負担率が非常に上がっていること、それから不良債権の処理に対する見通し、こういうことについて、経済状況について、私はブレークダウンをして私なりに説明をさせていただいています。

 そして、それぞれの国によって本当に、また同じように引き続きお願いしますと頑張る国もありますし、自分たちがもっと技術を身につけて、自分たちが経済を復興し自立したいと、そういうことをはっきり若い指導者がおっしゃる国もございます。本当にアフリカでも、きのう五十二カ国参加の中の十一カ国しか個別にお話しできませんでしたが、夜のパーティーでもそれ以外の国とお話をしますと、それぞれ当然立場が違います。そして、どの国も日本の現在の状況についてよく理解をしてくださっています。

 したがいまして、過去の援助に対するお礼、将来に対する期待は同じくございますが、中身が違っていますので、その中で日本がそれぞれの国についてもっとよく分析をする、外務省だけではなくて縦割りで、経済産業省もそうですし、トータルで知恵を出し合って、ここは医療、ここは何、ここは環境と、相当、人口増加の問題、それからエイズでありますとかマラリア、結核等もありますから、それをまず分析をして、続いて今までと同じようなことをしないということです。

 ですが、そうはいってもインフラで、やはりいい水、それから河川の改修、ダム、道路、こうした基本的なインフラを言う国も事実ございますし、それについては本当にそういう大規模が必要かどうか、NGOそれから国際機関もありますので、そういう方たちがよく知悉なさっていますから、それを国が今までのように上からばっとまくのではなくて、よくそういう下からの積み上げと分析をわきまえて、そしてどういう、ロングレンジとショートレンジでどうすることが喜ばれるかということをきちっと費目別に立てて、そういうことを対応していくべきであろうと思います。

 現在思っていますのは、教育、環境、医療、これはもうアジアもアフリカもそうだと思いますけれども、貧富の格差の是正をして、最低限の人間、人としての尊厳を守ってさしあげる、特に弱い立場の女性や子供さんや障害のある方たち、そういう方たちの最低限の人間としての尊厳を守るために、日本はもっと小さな予算できめ細かくできることもありますから、それらの現状把握を再度やり直すことが必要であろうというふうに考えています。

広中和歌子君 ODAについてなんでございますけれども、私は過去数年間、国際問題調査会、参議院にございます、その調査会に入ってODA小委員会というところでODAについていろいろなディスカッションをいたしました。そのときに、これは私の発言ではなかったんですが、ある方が、私は地元に帰って、日本はODAをしていること、最大の供与国であると、ODAの最大の国だと胸を張って言えない状況であると。そうすると、つまり自分の支持者たちは、ODAが欲しいのは我々だと。我々というのは地元の人たちですよね。つまり、それほど日本全国、経済状況を含めて雇用もいろいろ厳しい中で、ODAどころじゃないんではないか、そろそろ日本だけのことを考えてもいいんじゃないかみたいな考え方をする人が少なくないだろうと思います。

 そういう中で、私どもはODA、少なくとも今の段階でナンバーワンの供与国です。ただ、DACの基準からいうと、〇・三%を切っているということで、もっともっとふやさなければならない状況なのかもしれませんけれども、一応今の私どものGDP、この経済力からしてできるだけのことをやっているということ、それは私個人にとっては非常に誇らしいことであるというふうに思うわけでございますが、しかし、一人の政治家として、特に内閣の一員として日本の国民になぜ今ODAがこんなに大切なのかと、どのような御説明をなさいますか。官房長官とそれから外務大臣、それぞれお答えいただければと思う次第でございます。

国務大臣(田中眞紀子君) 官房長官がこれは内閣を仕切っておられますからトータルでおっしゃると思いますが、私の所管の範囲内で申し上げたり、それから二種類、私が議員として申し上げるところがございますが、閣僚として申し上げれば、今回も財政は原則ODAについても一〇%削減ということをいたしておりますので、財政に負担をかけないようにするということは考えなければならないと思います。

 しかし、一国会議員として、そして外務大臣としてというよりも議員としてトータルで考えますれば、私も一番ODAのことを思うんですけれども、外国のODAよりも私たちを助けてくれというふうな声がちまたにあると。我が選挙区ではありません。が、そういう声があるということを各議員さんから伺うことがありますが、日本がODAをすることによってどれだけ我々が、世界じゅうから紛争とか貧困とか病気がなくなることによって我々自身が間接的に守られているかと。

 目の前にあるお水を自分が飲むことよりも、ほかの方がお水を飲むことによってより健全化していける、共存共栄できて我々の平和と繁栄に貢献できるのだということを知ってもらう、そういう努力を国会議員はもっともっと、国会議員ではなくて県会議員も市会議員も都議会議員もみんなやるべきです。目先のことだけではなくて、それをやるということが国内の啓蒙、開発、これは国会議員がやらなきゃいけない。特に国会議員はやるべき立場であります。地方議員ももちろんです。

 それから、翻って、先ほど申しましたように、逆にODAを喜んで受けてくださっている国に対しても、先ほど申しましたことの復唱になりますから申し上げませんけれども、率直かつ平明に日本の状況を言い、そしてビジョンを述べて、トータルでは共存共栄したいのですと。そして、日本は財政がアメリカに次いで第二位の大きな国でありますし、国民の金融資産もある国ですから、そういうことについては私たち自身も認識をして、人によって生かされているということ、そして人様に私たちも協力をしなければいけないということを相互に、対外、対内的に言っていくべきであろうというふうに思っています。

国務大臣(福田康夫君) 委員もODAの重要性指摘されていらっしゃいますけれども、また外務大臣からも申し上げましたけれども、私も、国際社会あっての日本という、そういう立場から考えて、またいろいろ資源を海外から買い、またそれをいろいろな国に加工して売ると、そのことによって日本の経済の相当部分が成り立っているんだということを考えますと、これはそのことだけでも海外、国際社会抜きに日本を語ることはできない、そのように思っております。

 それ以外にも、この地球全体が生きていくためにどうするのかと、今後永続的に安全な地球でなければいけないということ。それは平和の問題もありますけれども、環境の問題もあるということもあり、また人口の問題もあるといったようなこともございますけれども、そういうことを考えて、我が国は国際社会にやはりある程度のお返しをしていく気持ちも持っていなければいけないんではないかなと。そういうことによって、今申しましたいろいろな問題、地球的な問題も解決していくということの一助になれば大変いいことではないかと。

 特に、日本は安全保障の面ではなかなか、何というんですか、ハードの面においては力を持っていない、また持っていても即応していけないというようなこともございます。そういうことを埋め合わせるという意味合いもあろうかと思っておりますので、ODAについてはこれからも力を入れていかなければいけない。

 さっき御指摘ありました〇・三%、〇・三%以下だと思いますけれども、こういうことで、このことは単純にそんなことで考えるべきかどうかは別としましても、必ずしも多い金額ではないんではないかな、こんなふうに思っております。総体としては大きいけれども、国民一人当たりという、そういう計算でいきますと、世界で何番目になるんでしょうか、決して一番、二番という、そういうことにはならないということもありますし、そういうことは全体的にもう一度ODAというものを国民全体に考えてもらいたい。単に国内の経済がどうのこうのというようなことでもって、そのしわを海外に寄せる、特に途上国に寄せるというようなことはあってはならない、そういうふうに私は思っております。

広中和歌子君 私は、両大臣のお言葉を大変ありがたいものとして受けとめさせていただきます。
 こういう支援とかいうようなとき常に思い出す言葉は、情けは人のためならずという言葉なのでございますけれども、まさに我が国にとって、こうした国際協調の中で我が国の生きる道があるんではないかと思います。

 今度のアメリカにおける同時多発テロにおきまして、アメリカ人も少し見直し始めたんではないかと。
 かつて、私は、アメリカが戦後、マーシャル・プランを海外に、特にヨーロッパに対してマーシャル・プランを、我が国に対してはさまざまな形で支援をいたしましたし、ブレトンウッズ体制等々、いわゆる自分たちの一国の繁栄だけでは世の中、世界は治まらないという理念のもとに非常にすばらしいリーダーシップを発揮したんだと思います。

 ところが、ベトナム戦争以降なんでしょうか、そのアメリカのビジョンというのはどこへ行っちゃったんだろうかということを本当に、よその国の悪口をこの外務委員会で言っては妥当ではないかもしれませんけれども、そのような思いを持っておりましたが、最近になってアメリカも、ようやくこうした多くのテロ問題の原因というものに目を向け始めたということ、そして国連の分担金も払うようになったということ、そしてさらに、武力以外の形で、ODAその他支援を開始する傾向がこれから生まれてくるんではないかと期待しておりますし、田中外務大臣そして総理並びに官房長官も、本当に日本のこのプラス面ですよね、それを、アメリカに対していい影響を与えていただきたいと、そのようにお願いする次第でございます。

 それから、最後に二つだけちょっとお聞きしたいことがございます。

 これは、十二月十七日に横浜で会議がございます。子どもの権利条約について二つの選択議定書があるわけですけれども、その早期署名、そして批准についてお伺いしたいと思います。

 二つの選択議定書の一つは、子供兵士がいるという、それを禁止する、子供兵士を禁止するということと、それから買春、ポルノの犠牲になっている、それにかかわる選択議定書、この二つですけれども、この二つの選択議定書を日本はまだ署名もしていないし、それから批准もしていない。そのおくれている理由は何なのでしょうか、ということでございます。

国務大臣(田中眞紀子君) 子どもの権利条約でございますけれども、今月の十七日に、スウェーデンのシルビア王妃がお見えになりまして、私どもが協力して会合を、子供の人権世界会議というものを開催させていただくことになっております。

 今、広中先生は子供の兵士とおっしゃいましたか。

広中和歌子君 子供兵士。

国務大臣(田中眞紀子君) 子供兵士については、ちょっと私は、これの中に含まれているかどうかは、ちょっと。

広中和歌子君 いや、今度の会議はポルノ関係でございますけれども、二つの議定書が、何というんですか、選択議定書があって、その二つの署名がおくれているということでございます。

国務大臣(田中眞紀子君) 結論だけ申しますと、この議定書の批准ですけれども、日本との、国内法及び国内制度との関係について鋭意、今、検討を行っているという理由でございます。

 おくれているのではなくて、これは官房長官の方で多分検討なさっているというふうに思いますが、子供の兵士に関しましては、児童の武力紛争への参加に関する児童の権利に関する条約の選択議定書というものがございます。それから別に、子供の権利全体から申しますと、児童の売買春及びポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書という二つがございますが、お尋ねに対する理由は、現在、政府部内で鋭意検討を行っているということでございます。要するに、国内法との整合性を図っているというふうに認識しております。

広中和歌子君 いつでしたか、議員立法で児童買春、児童ポルノ処罰法というのができましたよね。多分、田中大臣も御参加になったかもしれません。そういうふうに国内では高まっているわけですけれども、大体、国際条約に関する批准が非常に日本では遅いですよね。もっと早めていただくようにぜひ内閣としても努力していただければと思います。

 特に、あれですね、批准できない理由というのはないわけですね。

国務大臣(田中眞紀子君) 今、先生が御指摘なさいましたのは、平成十一年五月二十六日の超党派の児童買春問題というものに関する禁止法のことを御指摘なさったと思いますが、これには私ももちろん参加いたしております。

 そして、国内での国際的な条約への批准が遅いとおっしゃることも、私もそう思っていますが、ひとえにこれは、国内法との整合性といいますか、それからそうした制度との関係を見直しているということですが、これはやっぱり役所の、言ってみれば縦割りといいますか、ちょっとおざなりなところがあるんじゃないかと私は思っておりますので、こうしたことをやはり官邸主導で加速化していただけるとありがたいし、問題点がどこかにあるのであれば、那辺にあるかということをやっぱり明快に示していくという努力は必要だと思います。

広中和歌子君 この法律が施行されてから、平成十一年十一月から十二年十二月までの児童買春事件は千五件だそうです。児童ポルノ事件、百八十八件が報告されているようでございますけれども、今後、こうした調査なりそれから指導なりというものが強まっていく方向に行くんでしょうか。ちょっと現状をお知らせいただければと思います。

 そして、一日も早い批准が行われますように希望いたしますが、ちょっとお答えいただけますか。

国務大臣(田中眞紀子君) 私も、今月十七日、もうすぐその会議が行われるわけでございまして、そこで、日本で、今、警察白書に書いてある数字を広中議員はお読みになったと思いますけれども、こうしたものを指摘されて、そして法律が出たのが平成十一年の五月でございますから、もう二年になっていて遅々として進まないことについては、指摘がある思うし、困ったものだなと思っておりますので、こうしたこともまた総理にも働きかけまして、もう少しあまねく意見を吸い上げて、もっとファンクショナルにあってほしいと思っておりますし、努力もいたします。

広中和歌子君 最後に、横浜のその会議におきまして恥をかかないように、少なくとも来年の通常国会にはこの条約が批准されますように国内法の整備を急いでいただきたいと要望させていただいて、私からの質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。