第151回 外交防衛委員会
2001年3月22日(
木)

○外交、防衛等に関する調査
 (外交の基本方針に関する件)
 (国の防衛の基本方針に関する件)
〇平成十三年度一般会計予算
 平成十三年度特別会計予算
 平成十三年度政府関係機関予算について
 

☆答弁者

河野 洋平外務大臣
斎藤 斗志二 防衛庁長官


広中和歌子君 民主党の広中和歌子でございます。久しぶりにこの委員会に戻らせていただきました。緊張と期待を持って質問をさせていただきたいと思います。

 私は、一九八六年、今から十五年ぐらい前になってしまうんですが、政治の世界に入りまして、最初に所属したのが外務委員会でございました。当時、日本を取り巻く環境というのは、言ってみれば、ジャパン・バッシングに象徴されるように、非常に日本の経済力が強かった。バブルも起こり始めていたわけですけれども、そういう中でゴルバチョフ・ソ連邦書記長が登場し、東西冷戦の雪解けムードが始まった。そして、地球環境を人類共通の敵として戦っていこうという本当にすばらしい時期があって、そして冷戦の終えんに至るというわけでございますけれども、そのすばらしい、ベルリンの壁の崩壊等、本当に私たちがわくわくしたような時期というのはそれほど長くは続かずに、湾岸戦争に突入した、そして日本の貢献が問われたと。

 日本は、百四十億ドルというすごいお金を貢献することによって責務を果たしたわけですけれども、財布外交かというふうに言われ、しかし、私は、実際には、もう非常にこれは当時の日本としてできる最高の、しかも特にアメリカなどに評価される貢献であったと思っているわけですけれども、日本国内には本当に日本の貢献の質についていろいろ議論が沸き上がったわけです。

 そして、湾岸戦争に一応西側は勝利したわけですけれども、ブッシュ政権にかわってクリントンになると。そうなると、ジャパン・パッシング、バッシングからパッシングになる。ちょうど日本がバブルが壊れて、そして経済的にもまた政治的にも非常に困難な状況をくぐり抜ける中で、むしろクリントンの目は中国とかそのほかEUとか、そのようなところに向き始めるわけです。片やEUの方も、それまでの外交というのはヨーロッパのそれぞれの国と対応していたのが、EU全体としての対応に変わってくる。

 中国の目覚ましい成長とか、それからEUの結束、その拡大という中で、日本がむしろアメリカに無視されているのではないかといういらいらの中で、嫌米感情をあおる、そういうこともあって、日米関係というのは新たな緊張を迎えたのじゃないかと思います。そういう中で、練習船えひめ丸と米原潜による衝突事故があったということだろうと思います。

 そして、新しいブッシュ政権の誕生となるわけですけれども、このブッシュ政権の新しい外交政策ということでは、既に同僚議員からいろいろ御質問があったわけですけれども、三つの原則をうたっている。中ロ関係の安定、同盟国重視、そして対外介入の縮小、ここは非常に大切だろうと思います。このような原則を打ち出しているわけですけれども、我が国としては、アメリカの新しい政権のこうした外交の柱、原則に対して、日本としてはこれまでどのような原則でやってきたのか、そしてその原則は今後変わっていくのかと、そういうようなところからまずお聞きしたいと思います。

国務大臣(河野洋平君) これまでの世界の外交の流れについてお述べになりました。私も同感するところ多々ございます。
 御答弁を申し上げる前に幾つか気がついたところを申し上げますと、確かにあの湾岸戦争というものは、日本の国際貢献のあり方について議論があったことは事実でございます。

 しかし、一月に実はアメリカへ参りましてパウエル国務長官と会って会談をし、その後昼食を一緒にとったわけですが、その中で、パウエル長官は非常にはっきりと、あの湾岸戦争における日本の貢献というものは自分にとってはもう大変ありがたかったと。実際問題、あの湾岸戦争にパウエル長官は直接的にかかわっておられたわけで、その点は非常に強い印象をパウエル国務長官は持っておられて、今でもはっきりと覚えている、あのときの日本の貢献がなければ湾岸の我々の作業はできなかった、あれはもう本当に日本の果たしてくれた役割を自分は高く評価しているということをパウエルさんは繰り返し言われました。

 それから、ジャパン・パッシングという議論がここ一、二年出まして、どうも日本の頭越しで中国へ行っちゃうんじゃないか、あるいはアジアの国へ行ってしまうんじゃないかというようなことで、日本側に若干のいらいらがあったということも、私は、そう思っていらっしゃる方がおられることは承知しています。

 しかし、アメリカ側の気持ちからいえば、むしろもう日本は十分立派な一本立ちをしている国であって、その都度その都度肩をたたいて大丈夫だね大丈夫だねなんて言う必要はないんであって、むしろアメリカにとってやるべきことは、もっとほかの国に対してエンカレッジをする、あるいはサポートをするということが大事だというふうに、アメリカはむしろそんなふうに思っていたんではないかという感じもするんです。

 しかし、知日派と言われるアメリカ人の中では、それは日本人の感情からいうと決していいやり方ではないよと、やはりアジアへ行くなら日本に立ち寄る必要があるねという注意などもあって、アメリカ側は、ジャパン・パッシングというのは決してやってはならないことだという感じを持たれただろうと思うんです。

 その後、アメリカの日本に対する対応はむしろ非常に何といいますか丁寧な対応に現在はなっているというふうに思います。恐らく、十月ですかAPECが上海で行われる、それにアメリカの大統領は出席をされる。その前後には日本に立ち寄りたいというようなことがワシントンから漏れ伝わってくるというようなことを考えますと、アメリカは決してジャパン・パッシングなどという政策をとるということは私はないというふうに感じているわけです。

 それから、アメリカ外交で三つの原則を広中議員がおっしゃいました。私の理解は、中ロ関係の安定というよりは、対中政策、対ロ政策を非常に重視していくんだというのが一つ。それから同盟国を重視する、これはもう間違いなくそういう感じでございます。それから対外的な介入、特にこれはイスラエル、パレスチナの問題などにも介入は一定の限度を示しているようなところがあって、これもまさにおっしゃるとおりだというふうに私は思います。

 そういうアメリカの原則を見ながら、日本の外交の原則といいますか、外交政策というものは一体どういうことだというお尋ねでございますが、私、せんだってここでも申し上げましたように、日本の外交政策というものはこれから、もちろん日米というのは外交の基軸であることは論をまちませんけれども、それ以外にも我々は近隣諸国との関係をできるだけ大事にしていくということを考えなければならないだろうと。それから、文明間の対話というものもやらなければならないと思っていますというようなことを新たにつけ加えて、これまでの外交政策に私はこの二つをあえて重視しますということをつけ加えさせていただいたということでございます。

 アメリカの対外介入の縮小というのはアメリカの考え方でありますけれども、私は、パウエル長官と会って話をしたときに、アメリカはむしろマルチの会談、マルチの政策にもう少し積極的にかかわったらどうだと。私は、アメリカが少しマルチの仕事をやらな過ぎる、例えばユネスコで席を持っていない、これはアメリカは世界の文化とか教育にもっと積極的に参加されたらどうですかということを申し上げたり、あるいはCOP6などにもアメリカはもう少し積極的に協力をされたらどうかと思っていますよと。さらにはCTBTについてもアメリカの態度というものは我々にはどうも理解できませんねということなどをパウエルさんにはいろいろぶつけてみました。

 どういうふうにお感じになったかその場で返事はいただけませんでしたけれども、まあその後漏れてくるところを聞くとなかなか厳しい判断のように聞いておりますが、私は、アメリカに対しても率直に物を言うべきだというふうに考えた次第でございます。

広中和歌子君 今のお話を聞いておりますと、アメリカがある分野において手を引くというような中で、日本はむしろ補完的な役割を果たせるというふうにお考えでいらっしゃいますか、例えば環境問題であるとかODAの問題であるとか。かなりそういう部分に特化して、日本が、まあ言ってみれば、軍事大国ではないけれども、非常に質の高い、どちらかというと理念先行のミドルパワーとして国際社会で地位を保っていく、そのような方向と考えてよろしいでしょうか。

国務大臣(河野洋平君) もちろん、それぞれの国にはそれぞれの果たすべきといいますか、得意の分野、あるいはそれぞれの国がやり得る分野というものがあって、日本には日本の果たすことのできる分野というものがあるだろうと思うんです。そういうところでは日本は積極的にやらなければならぬというふうに思いますが、まあアメリカの行動を見てその補完的なというところ、そういう言い方をしていいかどうかということには私は多少抵抗があります。

 日本には日本独自の外交姿勢というものがあってしかるべきだと思いますし、もちろんそのことが客観的に見るとアメリカのやらないところを日本が出てきてやってくれたという評価をされる部分はあるかと思いますけれども、アメリカを補完するということに特化して申し上げるのは私には若干抵抗がございます。

広中和歌子君 いや、私はそこで日本の独自性が出せるのではないかなと思ったものですから、そのような指摘をさせていただいたわけです。

 いわゆるアーミテージ・リポートというのがございます。米国防大学国家戦略研究所特別報告書なのでございますけれども、多分アーミテージさんがチェアマンか何かをされていたのではないかと思います。

 そこでいろいろなことが語られているわけですけれども、その中で、日米新ガイドラインは日本の役割を拡大するための終着点ではなく出発点であるとか、日本がより平等なパートナーになることを歓迎するというようなことを言っているわけですけれども、このより平等なパートナーということはどのようなものを含むのか、お話しいただければと思います。

国務大臣(河野洋平君) アーミテージさんとかナイさんとかいう方は、アメリカでも有数の知日家といいますか、アジア太平洋の地域に深い知識を持っておられる方々でございます。そうした方々がお書きになったレポートですから、我々は関心を持ってこれは読まなければならぬというふうには思っております。

 ただしかし、このレポートは、そうはいいますけれども、まだアーミテージさんが民間人としてお書きになったもの、研究者としてお書きになったものであって、アーミテージさんが国務省に入られて公人としてといいますか、アメリカ政府として何かを考える、あるいは何かを発言なさるときにこうした発言をなさるかどうかということについては、これはまだ、何といいますか、こちらが必ずそうであろうとも思えない部分もあるのでございます。

 日米の同盟関係を拡大、深化させようというせんだっての日米首脳会談の文書などはいろいろな意味をその中に含めているのだろうというふうに私は思っておりますが、ガイドラインというものは、確かに、何といいますか書類の上で、紙の上で書いたものであって、それが実際に動くのは、動くかどうかというのはこれからの問題でございますから、その書類ができ上がった、法律ができ上がったということは、確かにこれで終わりではなくて、それは出発点なのだというふうに見るということは間違いではない、もしそういう理解であるとすれば間違いではないだろうと思います。

広中和歌子君 その中に米軍と自衛隊の共同使用の拡大と訓練活動の統合であるとか米国の防衛技術の日本への移転、米国の防衛産業に対して日本企業との間で戦略的提携関係、先端技術の軍事民事両用技術に関する双方向の流れの拡大などということがうたわれているわけでございますけれども、これに対して日本の政府はどのような対応をなさるのか、積極的にこうした動きに対応していくのかどうか。むしろ防衛庁長官、お答えいただければと思います。

国務大臣(斉藤斗志二君) 広中先生は長くアメリカにもお住まいで世界的なグローバルな視点でいろんなことをごらんになっていらっしゃって、大変参考にさせていただきながら今聞いておりました。

 そのアーミテージ・レポートでございますが、副題に「米国と日本 成熟したパートナーシップへ」というタイトルが付されたものでございまして、ただ、その報告書は、河野外相からもお話がございましたように、参加研究者の個人的見解ということであるという前提がございます。しかしながら、大変日本に関係の深い、また知日家の多い中で、そういった方によって書かれたということで私どもは大変関心を持って読まさせていただいているところでございます。

 御指摘のように、日米関係が一層重要となってきているとの認識のもとで安全保障面についても多くの示唆に富む提言がなされております。おっしゃるとおりでございます。防衛庁としても、日米同盟の一層の強化のための施策を検討する上で一つの参考になるのではないかというふうに考えております。

 日米間、私、実際仕事をしておりまして、スクラムを組むようなそういう強固な信頼関係が今成り立っておりまして、さらにこれを深めていくということが大事だと思いますし、コモンバリュー、コモンセンス、コモンインタレスト、こういった基礎的なものを共有した両国間ではないかというふうに思っております。

 いずれにしても、私ども防衛庁といたしましては、米新政権との間で政策協議や情報交換を緊密に行いまして、今般の日米首脳会談で示されたとおりの同盟関係の一層の強化に取り組んでいきたいというふうに考えております。

広中和歌子君 私といたしましては、その方向を注意深く野党の立場から見させていただきたいと思っているわけでございます。
 沖縄の基地問題ですけれども、米軍基地の七〇%があちらにあるということ、そしてそれよりも何よりも、大きな基地が独立国日本に存在すること自体に関して、やはり私たちは考えなければならないときに来ているのかなと思うわけでございますけれども、日本の基地使用に関してそれを縮小していくような方向について、防衛庁はどのような見解を持たれ、努力をなさろうとしているのかお伺いします。

国務大臣(斉藤斗志二君) 御指摘のように、アジア太平洋地域において私どもは引き続き不安定要因が存在するという見方をいたしておりまして、安全保障条約とこれに基づく日米安保体制が我が国の安全及びこの地域の平和と安定のために重要な役割を果たしているという認識を持っております。在日米軍はこのような日米安保体制の中での中核をなすものでありまして、我が国に駐留する米軍に対し必要な施設・区域を提供するということは、日米安全保障条約の目的達成のために必要不可欠であるというふうに認識をいたしております。

 しかしながら、御指摘いただきましたように、全在日米軍の七五%が沖縄に凝縮された格好である、大変大きな負担をかけておるという認識も持っておりまして、その負担を軽減させなければいけない。そのために、今、SACO最終報告というのが合意をなされまして、それを着実に行っていきたいというふうに考えておるところでございます。

広中和歌子君 より平等な関係と言ったときに、日本の負担が基地の使用という形でさらに重くなることがないようにと心から願っている次第でございまして、また、場合によっては、アメリカも基地を別の場所に移すことも含めてぜひ考えていただきたいと思うのは私一人ではないと思うんでございますけれども、そういう方向での話し合いに、縮小だけではなくて移転をさすということについての防衛庁としてのお取り組みというものはあるのかどうかということを最後にお伺いしたいと思います。

国務大臣(斉藤斗志二君) 兵力構成の見直し等の議論につきましては、国際情勢というものに照らしながら考えなければならないんだというふうに思っております。私としても、早い機会にアメリカへ参りまして、ラムズフェルド国防長官とも新たな政権の中での取り組みについて協議をしていきたいというふうに思っております。

 広中先生からの御意見は御意見として承っておきたいと思います。

広中和歌子君 では、ちょっと機密費のことについて触れさせていただきます。
 この機密費に関しては、機能改革会議というのが数名のメンバーで結成されたというふうに伺っております。そして、服務規定などいろいろ御検討をされているということでございますけれども、少なくとも使途の一部に関しましてはもっと情報公開をしてもいいんではないかというふうに思うわけですが、御意見をお伺いしたいと思います。

 情報公開法が四月一日に施行されますけれども、一応外務省に関しては機密ということで例外扱いにされるのではないかと思いますけれども、少なくとも今は、機密費問題という形で明らかになりましたような使われ方に関して、非常に不明朗なところがあり、国民も疑心暗鬼になっておりますので、ぜひ一部に関しては情報公開をしていただきたいということをまず申し上げたいと思います。

国務大臣(河野洋平君) 外務省の報償費と申しますか機密費につきまして、大変いろいろ厳しい御指摘をいただいておりまして、私どもとしてもまことに残念のきわみでございます。もちろん、正すべきところはきちっと正していかなければなりません。したがいまして、外務省は省内に調査委員会をつくりまして、荒木副大臣を委員長として外務省内におきます問題については目下調査中でございます。

 私は、この荒木委員会の調査の行方を非常に関心を持って見ているわけでございます。と申しますのは、メディアの報道によりまして、外務省の中の機密費が不正に使われているんではないか、目的外に使われているんではないかというような指摘がございまして、もしそういうことが非常に指摘どおりにあるということであれば、これは厳正な処分をしなければなりませんし、その方法についても考えなければならぬと思っています。

 ただ、報道はなかなか具体的な指摘がなくて、少し雲をつかむような報道は、いざその報道をもとにしてそれではこういう事実があったかどうかを調べてみようと思うと、これはなかなか伝聞の伝聞が書かれているだけでなかなか事実はつかめないということもあって、調査をしてくださる荒木副大臣には大変御苦労をかけているわけでございますが、いずれにしても、でき得る限りその実態を把握したいというふうに考えております。

 情報公開の問題でございますけれども、この情報公開法に基づきまして外務省にその開示請求がなされた場合には、当然のことでございますが、情報公開法の規定に従って個別に判断をするということしか今お答えをできないことを申しわけなく思っております。これは、一つ一つの請求を個別に判断をする以外にないという意味でございます。

広中和歌子君 ということは、情報公開に向けて、もちろん個別に精査はなさるとはおっしゃいましたけれども、一応前向きに検討していくと、そういうふうに受けとめてよろしいんでしょうね。

国務大臣(河野洋平君) 外務省といたしましても、外交文書その他の情報公開は、情報公開法に基づいて当然対応しなければならぬと思っております。

 問題は、機密費についてどういう対応ができるか、これについては目下十分検討をしなければならぬと、こう考えているところでございます。

広中和歌子君 ともかく、国民に疑惑をこれだけ与えてしまったことでございまして、本当に外務省に対する信頼が地に落ちたというような部分もあるわけでございますので、ぜひここのところをきっちりやっていただきたいと思うわけです。

 それから、これだけむだ遣いされたし、されたに違いないのだから、今までの予算ですよね、機密費予算、それを減らしてもいいんではないかということで、民主党としては予算の組み替え要求などもしているわけでございますけれども、それについて一顧だにしないというのは、少し国民感情を無視したものだと思うのでございますけれども、いかがでしょうか。今度のこういう種類の予算に関しては削減されているんでしょうか。ことしのは削減されていないわけですよね。来年あたりから削減される方向に行くのか、お伺いいたします。

国務大臣(河野洋平君) これは二つ申し上げなければならないと思います。今、不正に支出されている、目的どおりに支出されていないと言われて、今捜査当局に捜査をお願いして、捜査当局が捜査をしておられるものは、官邸におきます官房報償費でございます。外務省報償費は、もちろんその性格がある意味で似ておりますから、官房報償費についてこういう不正が行われていたということで今捜査をされておりますが、外務省報償費についてはその捜査の対象になっているわけではありません。

 ただし、外務省報償費についても、先ほど申し上げたようにいろいろな御批判もありますし、厳しい御指摘もありますから、これについては外務省として厳しく受けとめて、自浄能力、自浄作用を発揮させなきゃいかぬというふうに思っているわけでございまして、この点について我々は、相当多額のむだ遣いがあったと言われると、これはちょっと、いやそんなことはありませんと申し上げる以外にないわけでございます。

 いずれにしても、報償費について厳しい御指摘、御意見がありますのは、つまり報償費はその性格上、その使途その他を明確にできないという性格のものでございますから、それだけに支出に当たってはみずから厳正なチェックをして支出をするべきだと思いますし、また、その精算についてもきちっとした精算、あるいは事後の検査、そういったものがきちっとしていなければならないというふうに思っておりまして、今回のこの事態を踏まえて、より厳正な支出のあり方、より厳正な決裁の仕方をやろうということで省内では議論をしております。それから、先ほど議員がお話しになりましたように、外部の方々の御意見も今伺って、四月末までには御提言をいただけると期待しておりますので、御提言があればそれに従ってできるだけきちっとした改善策をつくり上げたいと思っております。

広中和歌子君 立派なお言葉をいただきましたので、どうかそれを実行に移していただきたいと思う次第でございます。
 次に、あいまいさのコストについて考えていることがありますのでちょっと御質問させていただきたいわけですけれども、戦争中にいろいろなことが日本軍によって行われたことに関しては、日米講和条約その他で法律的には解決済みであるということで、我が国は個人補償はしないんだということになっております。慰安婦の問題についてもしかり、その他の強制連行の問題についてもしかり、あるいは捕虜収容所におけるさまざまな問題についてもこれは解決済みということになっているわけでございます。

 講和条約が結ばれましたときには多分第一次世界大戦の反省があったんではないかと思います。あのときに敗戦国ドイツに多額の賠償を科すことによってドイツの戦後の経済がめちゃめちゃになり、超インフレになり、そしてナチの台頭を招いたということがあるのではないかと思いますけれども、その反省に立って、今度は第二次大戦後の敗戦国に対してはかなり寛大に取り扱ったんではないかと思います。少なくとも賠償問題に関しては、ドイツも日本もイタリーも疲弊しておりましたから、そういう意味では非常に少額の賠償金を支払うことによって法的に解決されたんだと思います。

 しかしながら、戦後非常に日本は豊かになってしまった。そして、迷惑をかけた近隣諸国の国々はまだ途上国にある。そういう中において、日本はODAという形で、ある意味では贖罪というんでしょうか、罪滅ぼしというんでしょうか、そういうことで御理解を願ったという部分も少なからずあったのではないかと思います。日本はODAをやっているんだからという気持ちはございますし、向こうももらっている立場ですから政府としてはいろいろ言えないわけですけれども、ドイツとの比較をどうしてもされてしまうのが日本でございまして、ドイツでは国と国との関係ではなくて、個人補償をいろいろな形で行っている。

 そういう中で、中国の人たちや、それからアメリカにいる人でさえ戦争中にこうむったさまざまな被害に関して個人補償を求め、謝罪を求め、そして訴訟も起こしている。これは日本の外交にとって非常にマイナスであると思います。その額は非常に小さいにもかかわらず大きくマスコミにも取り上げられるし、大変に私としては残念なことだと思っている次第でございますけれども、こうした個人補償の要求に対して政府はどのように対応していかれるのか。

 特に今度、サンフランシスコ平和条約五十周年に当たるわけでございまして、日米それぞれ独立してお祝いをしようと、将来に向かって日米関係のきずなをさらに深めていこうという、そういういい趣旨で企画されているところでございますけれども、もしかしたらそれに対して個人的にデモが出るのではないかとか、それから、いろいろ裁判ざたになったりしておりまして、こういうことが日本の外交にとっては非常にマイナスであるというふうに思っておりまして、これに関してどのような対応を考えられるのか、外務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

国務大臣(河野洋平君) 議員が御指摘のように、ことしはサンフランシスコ平和条約締結五十年という一つの節目の年でございまして、サンフランシスコにおいて日米双方の関係者といいますかが集まって式典もやろうというような計画もあるやに伺っております。

 そういう中で、今議員もお話しになりましたように、カリフォルニアでは日本企業を相手取った訴訟が行われるというようなこともございまして、先日、アメリカの方と話をしましたら、こういう問題があるよと、日本側はこうした問題にやはり注意深く対応するべきではないかというような御指摘もございました。

 ただ、法律的なことだけを申し上げる以外にないわけですけれども、今お話しのように、さきの大戦にかかわります賠償とか財産請求権の問題につきましては、今申し上げたサンフランシスコ平和条約などによりまして、あるいは二国間の平和条約及びその他の関連条約などに従って、我が国としては、国としては誠実に対応してきたことも事実でございまして、したがって、政府として個人補償をやるかと言われると、これは個人補償を今から行うということは政府としては考えていないと言う以外にお答えのしようがないわけでございます。

 もちろん、今議員がお話しのように、近隣諸国との関係を考えますと、我が国と経済的な繁栄の度合いが相当違ってきてしまっているということもあって、日本がもう少し何かを考えてくれてもということをおっしゃる方もありますし、それから、あの当時、サンフランシスコ平和条約当時にはそんなことがあるとは思わなかったということで、その当時想定をしなかったような問題が出てきているということがあることも事実だと思います。

 しかし、いずれにせよ二国間関係あるいはサンフランシスコの平和条約で、賠償あるいは財産請求権の問題は決着済みということを法律的に決めているわけでございますから、これを越えて何かをするということは、国としてあるいは法治国家としてそこまでやれるというふうには私どもは思っていないわけでございます。

 ただ、例えばこれまでの例でもそうした方々に対してある種のおわびの書簡を出すとか、何かそういうことでその気持ちを伝えるということはあったかと思いますけれども、それ以上のものが法律的にきちんとあったというふうには思っておりません。

広中和歌子君 本当にお立場がつらいことはよくわかります。慰安婦の問題でも、むしろ民間のイニシアチブで、また政府がお金を少し出していただくことによって個人的にお見舞金を出すとか、それから女性のための何というんでしょうか、そういう集会所をつくるという……

○国務大臣(河野洋平君) アジア女性基金ですね。

広中和歌子君 ええ。いろいろやっていただいたことはあるわけですけれども、いつも後手後手になるということもあり、今サハリンの問題もございますし、そういうことで本当に一日本人としてもそういう問題が出てくるのはとてもつらいことですので、やはり外務省としては積極的に、二十一世紀もう越えたんですから、むしろ過去は過去として前向きにという、私としてもそういうふうに言いたいわけですけれども、単にODAをし、そしてさまざまな地球規模の問題に対して日本がリーダーシップをとるということだけで許されない部分も個々にはあるのではないかなということで、本当にこれは外務省が背負っていかなければならない重荷だろうと思いますけれども、できるだけ前向きに検討していただくということを心からお願いする次第でございます。

 それから、最後にこのODAについてなのでございますけれども、これは前から私もさまざまな機会にお願いをしていたわけですが、日本のODAの規模は世界でナンバーワンであり、そのことはすばらしいと思うわけでございますが、ただNGOを通じての小規模支援というんでしょうか、そういうものはまだまだ非常におくれていると思います。

 例えば、カナダのCIDAという援助機関はその全体の予算の半分ぐらいをNGOを通じて出している。そしてまた、アメリカのUSAIDにいたしましても三〇%を目標にやっているということでございます。

 額が少なくても非常に顔の見える支援になるというのがこのNGOを通じての、ボランティアを通じての支援でございまして、今、日本ではその現状はどのようになっているのかまずお答えいただきたいし、そしてそれが非常に低いということを私は知っておりますので、ぜひふやしていただきたい。もう今だんだんNGOも育っておりますし、それからまた海外のNGOの方々がこの前日本にいらして外務省もかかわられたと思いますけれども、ぜひ日本のNGOと協力しながら、例えばマイクロクレジットみたいな形で貧困撲滅に向けて、あるいは環境問題について頑張りたいというふうに言っていらっしゃいますので、ぜひそうした前向きのプロジェクトに対してODAの予算の配分を大幅に変えていただくことをお願いいたします。

国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のように、政府開発援助の方法はさまざまな方法がございます。
 まず最初にお答えを申し上げておきますと、今御指摘のとおり、NGOを通じた援助の割合というものはまだまだ極めて低うございます。一九九八年の実績で二・四%、これはOECDのDACに対して報告した数字が二・四%でございます。まだ先ほど議員が御指摘になりましたカナダ、その他に比べると大変低うございます。

 この政府開発援助はもう本当にさまざまなやり方がある、支援の仕方があると思うんです。開発援助と、こういう言い方になっていまして、開発のための援助というやり方もあれば貧困のための援助というやり方もある。

 貧困のための援助ということになると、これも表現は悪うございますけれども、小規模でなるべく手元に届くものに力を入れる。それから開発援助ということになると、これは相当大規模で、インフラの整備というような大規模な援助をするということになっていくわけでございます。貧困のための援助ということになると、これは場合によっては毎年恒常的に出さなきゃならないということがある。それが、インフラの援助をするとそのインフラができ上がればそこで自立の可能性が出てくる。その自立を目指したインフラの援助ということもあり得るわけで、これはやや両極、典型的なことを申し上げたわけですけれども、そのどちらをとっていくべきか。もちろんどちらと決めるのではなく両方をやるわけですけれども、そうしたことを十分考えなければいけない。

 それからもう一つは、やはり議員がおっしゃったNGOにつきましても、随分育ってきてくれましたけれども、もっともっとNGOが積極的に活躍できる状況、これは鳥と卵だと思います。支援があればNGOも活発になる、また一方でNGOが活発に動いてくれれば支援もできるという、若干鳥と卵みたいな関係もありますけれども、確かにNGOがもうきめ細かく非常に機敏に動いてくれるということを考えれば、NGOを通しての援助というものをやっぱり相当考えていかなきゃならぬだろうというふうに私考えております。

広中和歌子君 どうもありがとうございました。終わります。